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make me sad

 静かな雨に体の熱が奪われ、僕は目を覚ました。

 そこは学校の屋上だった。一羽のアルビノのカラスが、銃弾を胸に受けて死んでいる。

 僕の右手には空になった注射器が握られていた、無意識の内に抑制剤を首に打っていたようだ。

 そっと立ち上がる。

 幻覚は一切見えない、日が沈んだため汚染物質が不活性化しているのだろう。

 僕は体に付いたゴミを払い、投げ捨てられていた銃を拾い上げる。

 そして屋上を後にした。

 崩壊した校舎の中も、もう幻覚に惑わされることなく、足早に通り抜けていく。

 校舎の様子や、当時の様子の残滓に、僕の感情が刺激されることはもうなかった。

 ものの五分で校舎から脱出できた。

 雨は先ほどより弱くなり、かすかに僕の体を濡らすだけに収まっている。

 足取りが軽い、思考は非常にクリアだ。

 僕の心に巣くっていたわだかまりは、この雨の中の涙のように、全て溶けて流されていった。

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