表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/10

「……そう、貴方の父親はね。たしかにあの人ではありません」

 病床の母親が兄にそう語り始めた時、それを止める人間はその場に居なかった。

 大人しくベットの隣に座っていた兄は、黙って母親の手を握り。僕は部屋の隅からその様子を静かに俯瞰していた。

「貴方の父親は――」

 母親はそこで一瞬言葉を詰めた。それが躊躇いだったのか、ただの意識の遠のきだったのかは判らない。

 それよりも僕の注意は、兄の様子に向いていた。なぜなら、それが私にとって初めて見る兄の「大人しい様子」だったからだ。

 

「―――貴方の父親は、天使でした」

 

 兄は母が息を引き取っても、しばらくは落ち着いた様子のままだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ