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ゲームで少女は夢を見る  作者: ねぎとろ
3章 『天使』
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七十三話 「部屋に集まった三人」

 私達はとりあえず村の人たちに頼み込み、一つの部屋を借りた。

 もちろん、全く嫌な顔されず、逆にどんどん使ってくださいみたいな感じだったのには驚きだ。


「やっぱり私たちがこの村を助けたからかなぁ?」


「でも私何もしてないけど……しいていえば二人を助けたくらい?」


「うーん。多分それが大事だったんだよね。さっき見た感じさ、雪が助けた二人が村長の娘っぽい」


「そっかぁ。私も少しは役に立って良かったぁ」


「ま、雪を助けたのは俺だけどな!」


「えっ? あんた何で居んの? あんたの部屋はここの外だけど? まぁアイテムくれたから外で聞くくらいは許してあげるけどさ」


「なんか俺の扱いひどくない!? 確かに、花奈さんが雪さんを大事にするのはわからなくもないけどさ……」


「べ、別に大事にしてないけどね! 普通だし!!」


「えっ……そうなの?」


「嘘だよ!! 雪大好き!」


「あー。やっぱり百合は良い……」


 一つの部屋に集まった私たちは普通に雑談していた。というか、三人なのにめちゃくちゃうるさかった。熾天使の雫の話は一切しないくせに、レギスをいじって遊んだり、レギスに煽られた花奈が私に抱きついてきたりと色々な事をしていた。なんていうか、学校の放課後とかを思い出して嬉しかったのは内緒だ。


「それよりも! 早くこのアイテムを調べるよ!!」


 私が話を切り出し、みんなの前に雫を取り出す。


「やっぱり見れば見るほど綺麗だねぇ」


 確かに、花奈が呟く気持ちも分かる。誰がどう見ても綺麗と言えるくらいの輝きを放っている。


「やべえ。これ、売った方が値打ちやばいんじゃ……」


「えっ? なんか言った? 売るなんて言ってないよね?」


「はい。言ってません……」


 なんだろ。レギスがいじられてるのを見て私は楽しいけど、花奈もガチじゃなさそうだし良いのかな? でもやっぱり止めた方が良いのかなぁ……悩む。


「雪? もしこいつの事で悩んでるなら大丈夫だよ。こいつなら気にしてないから!」


「いやいやいや。結構精神にきてるからね!? 割と辛いよ!?」


「うるさい。どうせあんたなら大丈夫でしょ!」


「そっか!分かった! んじゃ今度からレギスがいじられてても止めないようにする!」


「うんうん。そうしなさい」


「なんてひどい奴らだ……」


 やばいやばい。ついつい話してしまったが、私たちの目的は熾天使の雫を調べることだった。ついつい忘れてしまうよ。


「ほら! とりあえず使い方調べるよ!!」


「はーい。んじゃ、手始めに投げてみる?」


 そう言って、私から雫を受け取り、すぐさま花奈は上に投げた。

 もちろん特に何も起きず、ただ床に落ちただけだった。


「ふむ。ならば、次は叩いて……」


「もう壊すことからは離れて!!」


「やっぱり天使に聞くのが一番だと思うなぁ。俺は」


「「それだ!!」」


 天使に聞く。言葉だけ聞くと絶対に無理に聞こえるが、私たちにはそれが出来る。なぜなら、前に手に入れたアイテムがあるからだ。

『天使の羽』私が入手した唯一のアイテム。天使を一度だけ呼ぶことが出来るらしいアイテムだ。


「それじゃ、天使の羽を使ってみるよ?」


「雪。気を付けてね?」


「へー。そんな羽あるんだ。ま、どうなるか俺は知らんけど一応気を付けとけよ?」


「うん。じゃあ、ちょっとだけ離れててね」


 私が天使の羽を上にかざす前に二人をまず部屋の端に避難させた。念には念を重ねてだ。どうなるか分からない時は気を付けるに越したことはないしね。

 ―――そして、私は天使の羽をかざした。部屋の中ということもあり、天にかざせなかったが、それでも効果はあったらしく部屋は真っ白な光に包まれた。


 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


「んん……ここはどこ?」


 私は一瞬だけ気絶していたのか、今も視界が揺れ、脳が回っている感覚を味わっていた。


「あれ? みんなが居ない……」


 少しだけ心の中で思っていた。大体、こうゆう風に気絶して飛ばされる時は私一人ってことに。


「でも、何処だろここ……」


 私は少しだけ違和感を覚え、自分が寝転んでいる場所を見てみた。


「ここ雲の上じゃん!」


 驚きのあまり声をあげてしまった。今私がいるところは雲の上で、さっきいた場所はここよりもっと下の場所。まずそこからおかしい。


「あら。慌てる姿はまるで人間のようですね」


 突然声が聞こえた。

 声の方向に振り向き、誰が喋っているか見てみると、そこには背中に翼の生えた、頭に輪っかのある文字通り天使が浮いていた。


「あわわわわっ……」


「あら? もしかして貴方、天使じゃない?」


「ち、違いますよ……」


「でも、天使じゃないならどうやって来たのかしら……うーん。ま、いっか。とりあえず大天使様の所に連れて行きましょ!」


「えっ? えっ、えっ?」


 私は問答無用に腕を掴まれ、圧倒的な力の前に、抵抗することも出来ずに連れ去られてしまった。

こうして、急に空の上へと連れてこられた私は、また勝手に引っ張られ、大天使様というか人の所へと連れてかれるのだった。


「雪。どこいったんだろ……」


 一方その頃、私がいなくなったら後の部屋に残された二人は、私がいなくなったことに困惑し、焦っているのだった。

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