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ゲームで少女は夢を見る  作者: ねぎとろ
3章 『天使』

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七十一話 「ピンチ」

「ほらほら! こっちですよ!!」


 私たちの作戦は順調だった。しっかりと、キアランは魔物を引き付けてくれている。


「あの。大丈夫ですか? 今この縄を解きますね」


 キアランが四匹と戦っている間に、私は攫われた人を助けた。人の数は二人。どちらも美しいと言えるくらいの美女だ。


「ありがとうございます……ですが、縄を解いてくれただけで大丈夫です。貴方はあの方のお手伝いをされた方が……」


「えっ? あの方?」


 私が驚き、キアランの方を見ると、キアランは傷ついていた。周りには倒したであろう魔物が二匹転がっているが、残りの二匹にやられているようだった。


「やばっ。助けなきゃ!!」


「はい。私達は村へのルートも分かりますから、後でまた会いましょう。その時に改めてお礼を致します」


「でも、本当に大丈夫?」


「大丈夫ですわ。今回の魔物には及びませんでしたが、そこらの魔物なら私の姉が倒してくれますから」


 そう言って、先程から一言も喋らない姉の手を握りはじめた。


「ごめんなさい。姉は内気な性格で……」


「い、いえ! 大丈夫ですよ!! それと、私はこれから戦いに参戦しますので、村についたら花奈という方を探してください。その人がきっと村を救ってくれたと思いますから!」


「はい! ありがとうございます。あなたもお気をつけて」


「うん! 村まで気を付けてね!!」


 二人は手を繋ぎ、走って行ってしまった。


「さてと、私もやりますか! 【アイスアロー!】」


 やはり、援護するなら細かいところも狙えるこの魔法が一番だろう。


「キアラン!今助けるから!!」


 傷ついた身体では二匹の猛攻を守りきれないのか、キアランの体に傷は増えていく。

 そんな中、私の撃った矢は、見事に一匹の魔物に刺さった。そして、私の攻撃が奇跡的にも急所に当たったのか、一発で絶命してしまった。


「あと一匹!!」


「フム。ゼンインシンデシマッタカ。ナラバ、オレモホンキヲダサナイトナ」


 私の攻撃に気付き、キアランへの攻撃をやめた。

 一瞬は諦めたのかと思ったが、それは全く違った。逆に、最後の魔物は力を貯め始め、どんどんでかくなっていく。


「鑑定!」


 私は突然寒気を感じていた。なんていうか、明らかに私より強い気がしたのだ。だから、私は鑑定を使用した。レベルを見ればハッキリするかもしれない。


 オークジェネラル


 レベル:94


 弱点:火、雷、闇


 スキル:【フルスイング】【兜割り】


 やっぱりだった。私とレベルが離れている。私の約二倍だ。

 ただ、鑑定をして分かったのは、まだ私に勝ち目があるという事。


「【ダーク!】」


 闇が弱点だと分かった今、とりあえず闇魔法を放つ。ただの目隠しだが、やはり脳筋に目隠しは有用だろう。

 現に、オークジェネラルは周りが見えなくなってか、暴れ回っている。持っている無骨な棍棒を振り回し、木を粉砕し、石をも破壊している。近付くのは容易ではないだろう。


「あれが、あいつの力か……」


 もしも、あいつが私らを狙って攻撃してきたらどうなっていたのだろうか。そう考えると、自分が闇魔法を使えて良かったと思える。


「では、私が止めを刺してきます……」


 キアランはふと立ち上がり、少しだけ傷が癒えたのか、愛用のナイフを手に持ちオークジェネラルへと近付いて行った。


「ダメ!キアラン!危ない!!」


 私の言葉は遅かった。既にオークジェネラルの闇魔法は解け、完全に目が見えている。そんな中、フラフラの敵が近付いたらどうなるのだろうか。そんなのは、考えなくても分かることだった。


「ガハッ……」


 腹に棍棒がめり込み、キアランは吹っ飛ぶ。

 本来なら何処まで飛んだのか分からないが、途中で光となって消えてしまった。死んだからスキルが終わったのだろう。

 そして、今わかることはもう一つある。それは、私が絶対絶命だということ。闇魔法を一度受けたからなのか、先程から【ダーク】を唱えても効いていない。


「どうしよう……戦っても勝てる気がしないし、周りに人も居ない。逃げる? いやでも、今逃げたらまた村の人が襲われちゃうし……」


 私は必死に考えていた。どうすればこの状況を抜け出すことが出来るのかを考える。でも、一向に解決策は見付からない。

 そんな時だった、私のことを影が覆いかぶさった。


「えっ……」


 私が顔を上にあげ、前を見ると、魔物が私に対して今にも棍棒を振り下ろそうとしていた。


「ほんと、私この世界で死にかけてばっかだなぁ……」


 目を閉じ、出来る限り頭に当たらないように身構える。

 棍棒を振り下ろされると思った瞬間だった。私の近くで大きいものが倒れたかのような音が聞こえた。


「あんま諦めた顔してっと、可愛い顔が台無しだぞ?」


 目を閉じていて、何処にいるのか分からないが、男の人の声が聞こえた。


「ほらほら!目を開けて!」


 言われた通り目を開け、前を確かめる。


「おっ、やっぱり可愛い! ってあれ? どっかで会ったことあったよね?」


 私の目の前に立っていたのは、オークジェネラルを寸前で倒してくれた恩人。そして、いつか何処かで見た事のある男の人だった。

‎やほぅ٩(。•ω•。)و

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