七十話 「久々の出会い」
難なく魔物を退け、花奈は休んでいる。
「ねぇ……花奈も解体覚えない?」
花奈が休んでいる中、私しか解体が出来ないため、全力を尽くして解体している。
正直、解体には結構力が必要なのもあり、花奈にも覚えて欲しかった。
「えー。血とか苦手だしなぁ……うーん。グロくなければなんとかなるんだけど……」
花奈の返答は、まぁまともだろう。普通の女子は解体とか嫌がるはず。ってことは、私は普通の女子じゃない? いやいや、グロイのが好きな女子だって居るはず……だよね?
「ふぅ。とりあえず、こんなもんかな」
大事な角は傷つけないように取り、スジが入っている肉は取り除く。といっても、この魔物は殆どがスジなので、取る部分はなかった。
「雪ー。この近くにほんとに村があると思う?」
解体が終わって、疲れ果てている私に花奈が訊ねてきた。確かに、私もそれは思っていた。この辺りは割と強い魔物が多い。さっきの魔物も、私たちが割と強かっただけで、レベルの低い人には強い魔物だろう。
「うーん。どうだろうね? もしかしたら、ここらの村の人がめっちゃ強いかもしれないし、エルフとかそうゆう種族なのかもしれないよ?」
「そっかぁ。ま、エルフとかだったら納得出来るね!」
「うん! さ、早く行こ! 」
「そうだね!!」
幾ら解体が終わったといっても、死体自体は残っている。とゆう事は、それに群がる魔物もいるという事だ。一体一体が弱くても、数でこられたら私達も負けるだろう。
そうならないためにも、ここから早く離れるべき。
「あ!!雪!早く行こ! 私の千里眼で村が見えるよ!!」
「ほんと!? 」
「うん……でも、あれ? なんか、煙がめっちゃ出てる気がする……」
「えっ……もしかして、魔物に襲われてるんじゃない? それなら早く行かないと!」
「それはやばいよ!! 行かないと!!」
念のために、私達は歩くスピードをあげた。随時花奈には千里眼で見てもらい、状況を把握しといてもらう。
「やばいよ!! 魔物がめっちゃ襲ってるんだけど!!!」
「花奈!魔物が逃げてる!! 早く追いかけるよ!!」
既に千里眼を使わなくても見える位置に村が見える。壊れた数々の家。未だ暴れてる魔物。女子供を連れ去ろうとしている魔物。
「花奈! 花奈は村にいる魔物頼める? 私は逃げた魔物倒す!!村の方が魔物多いから、キツイかもしれないけど、よろしくね!」
「ちょ、まっ……雪……村よりも逃げた魔物のがやばいよ……」
花奈の声は私に届かなかった。ただ、私は魔物の数が少ない方を選んだだけ。でも、これが悪い選択だなんて今はまだ思っていなかった。
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花奈に街を任せ、私は魔物を追うために森を走っていた。出来る限りバレないように足音を無くし、足跡のある方へ向かう。
「はぁはぁ……私だけで勝てるかな……」
私は今更になって不安になっていた。花奈と違って、私は弱い。世間一般では分からないが、弱いと思う。
果たして本当に一人で救出出来るのだろうか。
「あれ使うかぁ……」
走るのをやめ、メニュー画面を開き、ステータス画面を開く。
「【キアラン召喚】を使えばなんとか……」
能力ポイントを大幅に失うが、これで誰かを救えるのなら軽い。
私は躊躇なくポイントを使い、スキルを習得した。
「よし。さっそく使おっと。【キアラン召喚!】」
大声は出さず、小さめの声でスキルを唱える。身体から少しだけ力が抜ける。この感覚は魔法を使う時も起こるが、未だ慣れなかった。
「主よ……召喚に応じ参上いたしました。もう一度出会えて光栄です」
光に包まれ、魔法陣が出てきたと思ったら、中から現れたのは金色の騎士だった。ゲームで見たまんまの騎士。私が何度も助けてもらった騎士だ。
「キアラン……私も会えて嬉しい! でも、今はそんな暇ないの。魔物に攫われた人達を助けないと……」
「では、私もご同行致しましょう。主を守ってこそ騎士。私にお任せ下さい」
「うん!! 早く行かなきゃ! 行こっ!」
一人じゃなくなって私の心に勇気が芽生えた。更には、私のそばにいるのはいつも守ってくれていたキアラン。ほんと頼りになる。
「では、失礼して……」
私が走ろうと思った時、キアランが私の腰に手を回した。
「えっ? なになに?」
私が困惑していると、キアランは私を持ち上げ、そのままお姫様抱っこしてくれた。ちょっと恥ずかしいが、今は二人だけなので遠慮せず運んでもらうことにした。
「では、行きますよ!」
キアランが走り出した。同じ視点で見ているからなのか、速さがあまり実感出来ないが、速いことだけは確かだった。それに、私に風が当たらないように配慮してくれているのも凄い。
「見つけた! キアラン! 降ろして!!」
私が魔物を見つけた時、既に魔物は連れ去った人を木に括りつけていた。
本来なら、私はこっそりと助ける予定だった。でも、どうにも体が勝手に動き、いつの間にか魔物の前に立っている。
「ねぇ!! その人たちをどうするつもり!?」
「ナンダキサマハ!!! ワレラノジャマヲスルノカ!?」
「とにかく助けなきゃ……」
「では、私が魔物を引き付けましょう。幸いにも魔物は四匹。私でも余裕だと思います」
「じゃあ私はあの人たち助けるね!!」
ひとまず私は魔物を無視してキアランに任せる事にした。
だが、この時私は知らなかった。四匹の中に私と圧倒的なまでの差をもつ魔物がいることを。
もしかしたら次の更新遅れちゃうかもです……




