六話 「妹がバカすぎる件」
うーん。遅くなって本当に申し訳ないです……
「うぅ、この洞窟暗いなぁ……」
洞窟を歩いている私達。全く前が見えずそれでいて寒い。どうすれば良いのだろうか……
「えー。でも、この暗さは別に嫌いじゃないなぁ。なんか、落ち着く!」
実は私は暗いところが好きなのだ。前が見えないのも、時間が経てば見えるようになるし、何故か落ち着くんだよねぇ。
「さすが、お姉ちゃん!私も見習わなきゃ……!」
なぜ、妹はこうも姉の真似をしようとするのだろうか。まぁ、別に良いんだけどさ……
「真似なんてしなくて良いよ!?」
やっぱり私の真似なんて良くない!私みたいに友達が出来なくなっちゃうよ!!
「えー。お姉ちゃん可愛いから全部真似したいんだけどなぁ……」
うっ……そんなのずる過ぎる……上目遣いで言われたらどうしようもないじゃんよ……
「しょ、しょうがないなぁ。今回だけだからね!」
って、今回の何を真似するか分かんないけどね。
「よっし!このクエストでお姉ちゃんみたいになる!」
全く何を真似するんだか……やれやれ
「ねー。結構歩いてるけど、道合ってるのかなぁ? モンスターも出てこないし」
私の方を見ながら歩いている妹。なんか嫌な予感がするぞ……
「ん? お姉ちゃん、何か踏んだかも!さっき変な音したよー」
こやつ、何を言っているんだ。ん? あれれ? なんか音が聞こえてきたような……
「お姉ちゃん!後ろ後ろ!!」
言われた通り見てみると、明らかに私達よりも大きく、道を埋めつくそうとしている岩が転がってきた。
「えーーーーーー!!おい!なんで罠を踏んでるの!?もっと注意して歩きなさいよぉぉぉぉぉ」
私の叫びは無残にも消えていく。
「しょうがないよお姉ちゃん!ドンマイ!だから、頑張って走ろっか!」
ほんとに何を言ってるんだこの妹は!
「もう走ってるからぁぁぁぁぁぁぁ。ほんとバカぁぁぁぁぁぁぁ」
岩が転がる中全力で走る私の前に、一筋の光が射し込んだ。
「お姉ちゃん!あれ見て!あの隙間ならどうにか二人入れるんじゃない!?」
妹の指差す方には、ぴったり押し込めば二人入れるくらいの隙間があった。
「よし!あそこに入るしかないし、入ろう!」
二人して無理やり入り、ギリギリ岩を回避することが出来た。めっちゃ怖かった……
「ふぅ。いやー、やっぱり私ってさすがだね!」
何度も言おう、何を言っているんだこの妹は!
「全部あんたのせいだからね!?自分が悪いの分かってる!?謝られてもいいくらいだよ? 私は!」
むむ、妹に言い過ぎたかな? まぁ、失敗したらを私が罠を踏んでた可能性あるし、ちょっと怒りすぎたかなぁ……
「お姉ちゃん……私。私……が悪かったよ……でもさ!まぁ、しょうがないよね!今回は気にしないでいこう!」
なんて前向きなやつなんだ。ほんと、そういうとこ真似したいよね……はぁ。
「ま、別に良いよ。今回は、私にも非があるし」
とりあえず、私達は、仲直り? をしてから、進みだした。
「ねぇ。どうする? 引き返す?」
私達は迷っていた。岩が来た方を戻るか、先にどんどん進むかを。
「うーん。戻るのも面倒臭いし、進むかなー。あんたはどうする?」
この際別に一人でもいい気がする。まぁ、妹だから普通の人よりは断然一緒に居るの楽だけど。
「えー!やだよ!お姉ちゃんと一緒に居る!私も進むもんね!!」
ふむ。これがシスコンというやつか。なぜ、ゲームの中ならシスコンで現実なら普通なのかは謎だが……
「なら、一緒に行くしかないか。ま、私的には戦闘とか楽そうだし良いけどね」
行く先を決め、私達はようやく歩みを始めた。
「もしかしてさ、この扉って……」
「言うな。何も言うんじゃない。これは触れてはいけないやつだ!」
進んだ先には、如何にも怪しげな大きな扉があった。まぁ、存在感ありありだし、完全にボスだよね。
「お姉ちゃん!面白そうだし、行ってみようよ!にひっ!」
妹の笑顔をこれ程もなく嫌な日はないだろう。だって、絶対勝てないもん!ボスとか無理!
「まて、妹よ。私たちのレベルを確認してみなさい。それを見れば、この先勝てないということが明白であろう」
うん。妹よ。私の言ってることわかってないな。扉開けるとか普通にないよね。
「って、なぜ開けるし!」
「突っ込むの遅いよ!もう、開けちゃったじゃん!!」
突っ込むの早かったら辞めてくれてたとかおかしいよ!!ほんと、なんなんだよこの妹は!!!!!
「あーー。開けちゃったかぁ。これは、覚悟決めなきゃなぁ。やだなぁ。せっかくまだ一回も死んでないのになぁ」
「お姉ちゃん何言ってるの? 私達は負けないよ? だって、レベル差なんてプレイヤースキルでカバーすればいいし、勝てるって!」
私のPS高くない気がするんだけどなぁ。まぁ、ゲームは結構やってるからそこらの人よりは上手いかもだけどさぁ。
「はぁ。戦わなきゃいけないし、頑張るかぁ!」
ようやく決意し、私も扉をくぐる。
「お姉ちゃん!頑張ろうね!!」
扉を潜った先の広間にて、まだ見えぬ敵を待つ。こうして、私達の初めてのボス戦が始まるのだった。
ちょっと同じ言葉使いすぎた感……それに今回短いですし。本当に申し訳ないです…