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ゲームで少女は夢を見る  作者: ねぎとろ
2章 『親友』

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五十七話 「帰還」

 勇者とヴラド三世の戦い。

 一度倒れても未だ立っている勇者にヴラドは驚いているだろう。現に、私も驚いている。

 まぁ、他の人は驚いてないみたいだけど……


 まぁ、そんな事よりも、勇者の戦いが大事だ。復活して、明らかにさっきとは強さが変わっている。

 先程までは、ヴラドとあまり大差ない実力でどっちが勝ってもおかしくない状況だったけど、今は勇者が優勢すぎる。


 必死で抵抗しようとしているが、その全てを防がれ、今や倒されそうになっている。復活して強くなるとかもはやチートだろう。まぁ、勇者自体チートキャラみたいなもんだけどね。


「よし。これで終わりだな」


 最後の一言が私の耳にも聴こえた時、それと同時にヴラドは聖剣によって斬られ、そのまま倒れてしまい霧となって消えた。

 これでこのダンジョンをクリアしたわけだが、まぁ、ぶっちゃけ私は居なくても良かった気がする。


「あ、そっか。ダンジョンクリアしたら宝箱出るんだっけ?」


 こっちに向かって歩いていた勇者が急に向きを変えてヴラドが消えたであろう場所に向かった。まぁ、良くあるダンジョンクリア報酬みたいなものだろう。


「ねぇ花奈。わたし、ここに居なきゃダメ?」


 正直な話、私は完全に場違いな人間だ。レベルは低いし、勝てもしないのにこんな強いダンジョンに挑むし、挙句の果てに助けられている。もはや、居る意味すらないに等しいだろう。こんな私はさっさと何処かに修行しに行った方がいい気がする。


「何言ってんの? これから雪のこと勇者達に紹介するんだから、ちゃんと残ってなきゃダメだよ。勝手に逃げようとか思わないでね」


 なんだろ。花奈が不敵な笑みを浮かべている気がする。こうゆう時は大体私はいじられる。やばい、逃げないと。でも今回はガチで逃げたら花奈に怒られそうだな……うん。残るか。


「も、もちろん。逃げる訳ないよ。アハハっ……」


 花奈に怒られることは避けないと。このまま喧嘩なんかしたら、絶対に桜のこととか言えない。とゆうか、もはや言わなくてもいいんじゃ……


「あ、あと、さっきの事ちゃんと言ってもらうからね。勇者の戦いが終わったら話すって約束したからね!」


 ぐぬぬ。結局言わなきゃダメかぁ……やだなぁ……花奈の事だから絶対悲しむよね。友達の悲しむ顔は見たくないんだけどなぁ……


「ほんとに言わなきゃダメかな……多分、私の話は嫌な気分になるけど……」


「大丈夫。友達の悲しみを半分にするのが友達としての役目だからさ! 雪にとって悲しいことを私に背負わせてよ! えへへっ。なんか、すっごい変な事言ってる気がする……」


「ううん。ありがと。街に戻ったら話すね。出来れば、二人の時がいいから、夜に私と会ってほしいの」


「うん。分かった。絶対行くから!」


 やっぱり花奈は優しいなぁ。友達をちゃんと想ってくれてるし、一回私と喧嘩して友達といえるか分かんない状況になったのにも関わらず、こんなに優しくしてくれるなんて。なんで、もっと早く花奈と仲直りしなかったんだろ……


「よし!アイテムも取ったし、街に戻って、呑もうぜ!」


 勇者が私達の元に戻ってきた。既にダンジョン入り口に戻るゲートは解放されている。すぐにでも戻れるだろう。と言っても、こんな血塗れの部屋に居座るのも嫌だからさっさと戻るかな。


「勇者。早く行こう。お腹空いた」


 今になって気付いたけど、勇者のパーティー女しかいねぇ。今はまだ追及しないけど、絶対後で聞いてみよっと。


「そうだな。おい! 花奈と、そこの人! 早く行こうぜ!」


 私と花奈も呼ばれた。ちゃんと私もパーティーの一人みたいな扱いを受けてちょっと嬉しかったのは内緒だ。

 とりあえず、みんなで揃ってゲートに入り、ダンジョン入り口に戻る。これでこのダンジョンはもう入れなくなるだろう。

 既に地響きと共に崩れ始めているダンジョンがそう告げている気がした。なんか少しだけ自分でクリア出来なかったのが悔しいけど、まぁ、生きて帰れただけマシかな。


 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

 街に戻り、メニュー画面を開くと、私のステータスはおかしい事になっていた。


  スノー


 レベル:41


 HP:35

 MP:42(+16)

 スタミナ:34(+23)

 STR:15(+125)

 VIT:26

 DEX:34(+28)

 AGI:29(+15)

 INT:143(+18)

 LUCK:10

 CHARM:10


 武器:レイディスの短剣

 頭:マジカルサークレット

 胴:マジックローブ

 腕:賢者の手袋

 腰:ショートパンツ

 足:ロイヤルブーツ


  アクセサリー:王の指輪 鑑定の指輪


   スキル: 【ファイヤーボール】 【鑑定】


 能力振り分けポイント:250


 取得可能スキル:【フレイムインパクト】【アイスアロー】【ブレイブスラッシュ】【ダーク】【ライトニング】【キアラン召喚】


 なんだこりゃ。あれれ? 何でこんなにレベルが高いんだろー。はい。分かってますよ。勇者が戦ったからですよね。あそこの空間に居た人全員にどうせ経験値入ったからでしょ。分かってましたよ。そんな事よりも、気になるのは取得可能スキルだけだね。


「【キアラン召喚】が欲しいなぁ……」


 勇者達が歩いている中、私は歩きスマホならぬ、歩きメニュー画面をしている。そうしていると、私の脳内に直接語りかけるような声が聞こえてきた。


『キアラン召喚を会得するには、振り分けポイント300が必要です。このスキルは特殊スキルなため、王の指輪装備時に限り使用することが可能』


 一瞬ビクッとしたけど、まぁ、周りの人に見られてないからよし。とゆうよりも、私のポイントが足りないことが問題。


「おーい! 置いてっちゃうよー?」


 遠くから花奈の声が聞こえ、私は咄嗟にメニュー画面を閉じた。その前に、残りのダンジョン数を見て、一つ減ってることに少しだけガッツポーズをしたのは内緒。


「今行くー!!!」


 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


 私はまるで勇者の仲間になったかのように、街の人からの喝采を浴びた。とりあえず、私はその空間に耐えれそうになかったので、皆とは後で落ち合う約束をし、離れることにした。花奈が勝手に付いてきたのは正直驚いたが、まぁ、私が逃げないかどうかの監視の為だろう。


「絶対後で酒場行くからね! 私達はお酒飲めないけど、勇者達のこと雪にも知ってもらわなきゃいけないんだから!」


「はいはい。それよりも、花奈こそちゃんと夜に私と会ってよね。話すこと一杯あるんだから」


 いっその事レイディスのことも話すつもりだ。私がこの世界に来てどうゆう風にここまで辿り着いたか。後は、花奈がどうやって生き抜いてきたのか聞くつもりだ。


「んじゃ、私はいつも通りの宿屋に行って部屋取って荷物置いてくるから、花奈そこで待っててね」


 宿屋の外に放置し、私は部屋を取りにおばさんの所へ向かった。

 おばさんとは意外と話をしてしまい、少しだけ時間が掛かったがいつも通りの部屋を取ることに成功した。

 おばさんは私が生きて帰った事が嬉しかったらしく、宿代とお風呂とご飯のお金を無料にしてくれた。なんと優しい人なのだろう。


「んで、なんで花奈もいるのかな?」


「良いじゃん別に! どうせ夜話すし!おばさんも良いって言ってたしもんね! 私にだって置きたい荷物くらいあるんだから! ……それに、雪と久々に一緒に寝たいし……」


 最後の辺り小声で聞こえなかったが、まぁいいだろう。一緒の部屋なら夜に話すとかも困らない。これはこれで良いとするか。


「よいしょっと」


 荷物らしい荷物は全部アイテムバッグに入ってるから特に何もないが、薬などが入っている荷物はある。今から回復薬は使わないだろう。置いてくことにした。普通に重たいし。


「さてと行くかぁ……」


 正直あまり気乗りはしないが、もうどうせ行くだから諦めて行くことにした。改めて勇者のパーティーと話すと考えるとコミュ障の血が騒ぐ。こう、話そうと思うとちょっと辛いのだ。ま、今はだいぶ余裕で話せるようにはなったけどね。


「よし!レッツゴーだよ!」


 やたらハイテンションな花奈と久々に二人で歩きながら酒場へと向かうのだった。

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