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ゲームで少女は夢を見る  作者: ねぎとろ
2章 『親友』

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五十三話 「ダンジョンって難しい」

 ダンジョンに入った途端、真っ暗なはずだったダンジョンは明るくなった。人に対して反応する蝋燭? のようなものが壁に設置してあったのだ。


「ほぇ〜……すごい……」


 真っ暗だと思っていた私は、突然の明かりにビックリしていた。でも、それと同時に安堵もしている。

 明かりがあれば、探索も楽になるし、魔物がどこら辺に居るのかもわかる。天井付近が暗い所がちょっと怪しいけど、まぁ、真っ暗よりは全然マシだから良いとしよう。


「とりあえず、その辺鑑定してみようかな……」


 こうゆう時に鑑定は便利だと思う。自分の目の範囲に鑑定を使えば、範囲内の敵の情報が分かるのだから。まぁ、このシステム気付いたのはついさっきだけど……


「ま、どうせ入り口付近だから敵なんて居ないでしょ!」


 余裕満々で鑑定した瞬間だった。やけに遠くから鳴き声のようなものが聞こえ、その音は次第に大きくなっていた。


「えっ、なになに? 鑑定が反応しないってことは何も居ないんだよね?」


 私は見落としていた。鑑定の範囲が目に映っている範囲ということを。


「きゃぁぁぁ!!!」


 このダンジョンの天井は真っ暗で映らない。ってことは、そこに魔物がいた場合、近くでも鑑定に反応しないことくらい分かるだろう。まぁ、案の定コウモリのような魔物が私の目の前にやって来て私は柄にもなく叫び声をあげてしまった訳だが。


「ん? 一匹?」


 ダンジョンだから、一匹がやって来たら大群が来るのは予想していたが、その予想は外れたようだった。


「一匹なら楽勝でしょ!」


 結局、鑑定もせずに、短剣で倒す事にした。幸いにも、相手は光が弱いらしく、動きが鈍くなっている。これならば私でも充分に攻撃を当てれるだろう。


「ん? このコウモリ、ちょっと強い?」


 動きが鈍いから何度も斬りつけているのだが、一向に死ぬ気配がない。


「うわっ! 危なっ!」


 相手が何もしてこないと思って油断していた私は、不意の相手の攻撃にビックリして尻餅をついてしまった。


「……逃げた?」


 私が大きい声を上げたのが原因なのか、飛んでいたコウモリは身を翻し、闇に消えてしまった。


「ふぅ。良かった。でも、あの感じのが徘徊してるとなると、絶対ここのダンジョン強いよねぇ……」


 立ち上がり歩こうと思った瞬間、私はある一つのことを思った。それは、現在この世界で何個のダンジョンがクリアされているかだ。あんだけプレイヤーが居たんだ、半分まではいかなくても少しはクリアされているだろう。


「あそこの画面に書いてないかなぁ……」


 プレイヤーの生存人数が書いてある所を開き、確認する。もしかしたら、見落としている部分があるかもしれない。


 生存人数:6215


 ダンジョン残り数:43


「今まで絶対になかったよねこれ!」


 明らかに見やすい場所に書いてあった。絶対に書いてなかった場所に今書いてある。何故だろうか。でも、私が思っていたよりダンジョンは攻略されていた。残り43ってことは、皆が頑張ってくれたということだろう。ただ、生存人数があまりにも少ない。初日に比べると、実に十分の一以下だろう。

 考え事をしながら立ち止まっていると、私の他にもダンジョン探索者が居たのか、声が聞こえてきた。やはり、ダンジョンだから声が響くのだろうか。


「なんで私の魔法が効かないの!?」


「おい!こいつの事は無視して行くぞ!」


 何やら不穏な声だった。大方強い魔物に襲われたんだろう。私には関係ないと言いたいところだが、このダンジョンに私がいる以上、避けては通れない相手だろう。


「とりあえず、私も進もうかな……?」


 少しだけ進むのが怖くなったが、まだ全然探索していない。ここで引き返すのは勿体ないだろう。


 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


「うーん。魔物も出てこないけど、それはそれで怖いなぁ……」


 進めば進むほど暗い部分が増えてくる。そろそろ魔物が出てくると思って辺りをしっかりと見渡しているのだが、何も出てこない。


「この壁……」


 歩いていると、途中の壁に明らかに不自然な亀裂が入っていた。


「えい!」


 私は良くある隠し壁だと思い、軽く殴ってみた。

 案の定、壁は軽く壊れ、隠されている場所を発見した。


「ここ暗い……」


 ここには蝋燭が無いのか、めちゃくちゃ暗い。しかも、怪しい目が幾つか光っている。これは絶対に敵だろう。とゆうか敵じゃなかったらなんなんだろう。


「キシャァァァァァ!!」


 私がぼーっとしていると、猛スピードで突っ込んでくる謎の生物が現れた。それは、私を敵と思ってないのか、止まろうともせずに突っ込んできている。


「ちょ、どうしよう!」


 隠し扉の中も絶対危ない。かと言って、このままぶつかって死ぬのも嫌だ。


「しょうがないか……」


 私はこっそりと暗闇に入り、バレないように願いながらしゃがんでいた。


「キシャァァァァァァァァァァ……」


 声が遠のいて、何処かに行ったことは分かった。ただ、一瞬見えた魔物の口元辺りが血で濡れていた事から、あいつが誰かを食い殺したのだろう。


「良かった……バレなくて……」


 アイツに襲われたら絶対に私は死んでいただろう。まぁ、今の私の状態も結構やばいと言えるが。


「なんか近付いてきてる気が……」


 どんどん赤い目が近づいてきている気がする。それも、さっきよりも増えている。


「とりあえず、逃げようかな……」


 私は走り出した。でも、暗闇でどこを走っているのかわかるない私は、いつの間にか元々私が入った場所すら分からなくなっていた。この場所はあまりにも広いのだ。


「うわぁ!!追ってきてるー!!!」


 私が走れば走るほど後ろから私以外の足音が聞こえる。それも沢山。


「きゃっ!」


 何かの拍子に私は躓き壁にぶつかってしまった。でも、運がいいことに、この壁も隠し壁だったらしく、新しく開いた部屋に私は転がり込んでいた。


「いててて……」


 そこは、さっきの場所よりも明るく、部屋の全体が見えていた。


「そういえば、さっきの奴らは!?」


 私は振り向き、暗闇の中を見てみた。そこからは、私を赤い目でずっと見ている何かがまだいた。この魔物? も明かりが苦手なのか、こっちの部屋には入ろうとすらしてこない。


「ふぅ。これで安全だ……」


 ため息をつき、辺りを見渡す。敵は一切なく、あるのは中央に置かれている宝箱のみ。


「これ絶対怪しいよねぇ……」


 ついつい口から言葉が漏れてしまう。それほどまでに不自然ってことだろう。


 そんな中、目の前にあるこの宝箱を開けるか、またあの真っ暗な部屋に戻るか、私はこの二択の選択に迫られながら、一時の休息を得るのだった。

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