四十四話 「村の村長」
完全に寝てました!遅れてすいません!
入口に脚を踏み出して尚、私は戸惑っていた。この場所に来て、初めての人間。いや、もしかしたら、人間ですから無い可能性もある。そんな所に私が入って行って良いのだろうか。私の心は不安でしかなかった。
「おい!そこの者!何をしている!!」
突然の大声に私はビックリし、思わず、尻もちをついてしまった。ただ、尻もちつきながら私が思ったことは一つ。それは、日本語で聞こえるということだ。とゆうことは、もしかしたら、この世界でも日本語が通じる可能性がある。という事だ。
「返事がない。おい、どうする? 一応、村長の所に連れていくか?」
私が唖然としている間に、もう一人の門番がやってきたようだ。そして、二人で話している。完全に私は蚊帳の外だ。
「お前!立て!こっちに来い!」
どうやら、話し合った結果、私を何処かへ連れていくらしい。えっ、ちょっと待って? いつもの村に、全身ジャージの私。これは、やばくない? しかも、相手に返事もしてないし。えっ、これってもしかして、牢屋とかに入れられるのかな? 怖すぎるんだけど……
「あ、あの、私を何処に連れてくんですか?」
勇気を振り絞り、私は話しかけてみることにした。いや、とゆうよりも、話しかけなきゃまずい状況だからだ。
「あぁ、お前は村長の所に連れていく。そこで、お前が怪しい人物かどうかの調べをするという訳だ」
割と素直に、私に返事してくれた。そして、どうやら、まだ私は牢屋に入れられないらしい。まずは、村長の所に行き、私を確かめると。きっとこれは、怪しい人物、もしくは、この村の人以外には全員にやってる行為なのだろう。
「ほら、入れ!」
背中を強く押され、私は一つのデカイ家に入れられた。
「イテテ……」
押された拍子に、腕を柱にぶつけて、とても痛かったが、今はそれどころじゃなかった。
「どうやら、来たようだな。さて、お前を見てやろう!怪しい人物ならば、即殺されると思え!」
うわぁ。これは、まずい。本格的にやばい。どうやって調べるか分からないけど、この人の思考は中々にやばい気がする。
「あのー、一つ良いですか? 私を調べるって言いましたけど、どうやるんですか? もしかして、服を脱がせるんですか? 女の子にそうゆうことするんですか?」
相手は男。この世界においても、女の子の服を脱がすには抵抗がいるだろう。まぁ、他に調べる方法があったら私は何を言ってるんだ状態になるが。
「はっ? お前は何を言ってるんだ? 俺が使うのは【鑑定】だぞ? お前みたいな女の服を脱がすなど、するわけがなかろう」
やっぱりそうですよねぇ。この世界で調べるって言ったら鑑定ですよねぇ。薄々気付いてましたよ。これじゃ、完全に私は変人ですね。はい。
「あ、それと、毎回調べるためにこの家に連れてくるっぽいですけど、それやめた方が良いんじゃないですか? もしも、貴方を殺したい人がいて、この家に案内されたら普通にラッキーだと思うんですよね。だから、この方法はちょっと危ない気がしますよ?」
何となく、この男の態度にイラつき、私は強めの口調で更には、早口で言ってしまった。もちろん、相手は唖然としている。そりゃそうだろう。いきなり来た変人が色々早口で口走ってるんだから。
「まぁいい。お前の案もとりあえずは聞いといてやろう。それと、お前を見させてもらったが、怪しい所は無さそうだ。ならば良し。とりあえずはこの村に居させてやる。だが、長居はするな。そうなると、お前には永久的にこの村に住んでもらうことになる。まぁ、お前がいいならそれでもいいが」
あれ? いつ鑑定されたんだろ。全然気付かなかったや。もしかして、まだ私には魔力的なものが無いとかかな? それとも、魔法を使うための魔力の通り穴的なものが必要で、それが私はまだ扱えなくて、魔法を使われても気付かない的なやつとか?
「まっ、どっちもラノベとかにある設定だから、ないと思うけどね……」
「ん? もしかして、お前、鑑定されたことに気付かなかったのか?」
えっ、なんでこの人わかるの? 怖すぎ。心読めてるのかな?
「えっ、なんで分かったんですか?」
「たわけ。そんなのお前の顔を見れば分かるわ。お前みたいに、鑑定された事がわからない奴には俺が直々に教えてやる。どうやったら、魔法を使われたことが分かるのかをな」
どうやら、この人。性格はちょっとあれだけど、中身はめっちゃいい人っぽい。あと、口調も荒くて結構変な人だけど。
「で、どうやったら分かるんですか?」
私も一回強気に喋ったら、普通に喋れるようになってしまった。しかも、男に対してだ。これは、私にとっての大きな進歩に違いない。
「あぁ。まず、お前は魔力ゲートというものを知っているか? まぁ、知らなくてもいい。とりあえず聞け。この魔力ゲートという奴は、一応全人間、魔族、あらゆる種族の者に絶対にあるものだ。まぁ、極たまにだが、ゲートの存在を知らないか、ゲートの開き方を知らない者がいる。それがお前だ。まず、このゲートを開かないことには、魔法感知も出来ず、鑑定されたこともわからない。そして、何よりも魔法が使えないんだ。まぁ、開き方は、簡単だから、教えてやらんこともないが、どうする?」
この人は、私に喋る隙を与えないほどに尚且つ、丁寧に説明してくれた。こうなれば、もちろん、聞くしかない。私だって魔法使いたいし!
「あ、貴方がそんなに教えたいなら、教えて貰ってやってもいいけど?」
やばい、つい、変な口調になっちゃった。どうしよう。このままだと、絶対怒ってるよね。
「ふむ。俺にその態度、気に入ったぞ!直々に教えてやろうではないか!さぁ、聞くがいい!この俺の華麗なる説明を!」
うん。どうやら、普通に大丈夫なようだ。目を輝かせてるし。今まで、こいつにこうゆう態度とったやついなかったからなのかぁ。普通の人なら強気になって言い返すと思うけどなぁ。
「で、どうすればいいの?」
「そんなの簡単だ!まず、大気の魔力を受け取るように体に入れ込む。まぁこれは、目を閉じ、集中すれば分かる。これで魔力の粒子が入る感覚があれば良いが、無い場合はお前自身に魔力ゲートが無いことになる。正直、ここで全てが決まるからな。とりあえず、座禅組めるか? その体制で一時間ほど待つだけだ!」
私は言われた通り、座禅を組んだ。座禅なんて、中学校の時の修学旅行以来だ。少し体制が辛いが、一時間程度なら耐えることは出来る。
「これでいいの、かな?」
とりあえず、私の知ってるように、目を閉じ、意識を集中させた。
すると、どうだろう。初めの十五分程は何も無かったが、徐々に私の体に何かが入ってくる感覚がした。これがいわゆる魔力の粒子なのだろうか。
「ほぅ。お前……」
何か言われてる気がするが、気にしない。そして、言われた通り、私は体感的に一時間程だろうか、正確な時間は分からないが、座禅を組んでいた。
「えっ!?」
座禅を組んでる最中、突如私に対し、複数の視線のようなものが襲いかかってきた。思わず、声を上げてしまったが、これは一体何なのだろうか。
「今、俺はお前に鑑定の魔法を使った。もちろん、試しにだ。もしかしたら可能性を確かめようと思ってな。そして、お前は俺の鑑定魔法により、激しい嫌悪感に襲われたか? 返答によっては、お前に魔力の才能があるという事になる」
「いや、嫌悪感は感じなかったです。誰かに見られている視線のようなものを感じました。鑑定というのは、こんなに嫌なものなんですね……」
自分があの時気付かなかったのが、おかしいくらいに感じる。だが、これを受けたことにより、私には魔力ゲートがあったという証明になった。でも、何故私に魔法の才能があると思ったんだろうか。
「あの、何で、私に魔法を扱う才能があると思ったんですか?」
「あぁ、お前、自分が集中していた時間がどれくらいか分かるか? まぁ、教えてやろう。お前は、俺が考えていた時間よりも、短い。それも、たったの三十分だ。それに加え、俺の鑑定魔法は、相手の魔力が低いほど、嫌悪感を与え、魔力が高ければ、視線を感じる。とゆうことは、お前は普通の人よりは魔力の才能があるというわけだ。もしも、視線が複数感じるようならば、相当な魔力感知も併せ持っているということになる。まぁ、それは無いと思うがな」
あぁ、これは、うん。言わないでおこう。言ったらめんどくさくなりそうだし。
「そうなんですね。あ、とりあえず、教えてくれてありがとうございます。それと、少しの間村にお邪魔しますので、どうぞよろしくお願いします!」
こうして、私は村に居座ることを許された。それに加え、魔力ゲートも開くことが出来、まずまずの成長だ。
「あぁ。別に感謝されるほどではない。それと、初めのうちは村の者が興味本位で話しかけてくるだろうが、気軽に接してやってくれ。あいつらも性格はいい奴らだからな、ちゃんと嫌なものは分かるはずだ。俺が保証する。そうだな、後は、困ったことがあったら、俺に聞け。教えれることなら教えてやろう」
褒められた恥ずかしくなったのか、少し俯いていた。少しだけ、村長が可愛く見えたのは、私だけの内緒だ。さて、村長がこう言ってくれてるんだ、聞きたいこともあるし、聞くとしよう。
もちろん、魔法についてをね。




