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ゲームで少女は夢を見る  作者: ねぎとろ
1章 『再会できない姉妹』

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四十二話 「仲間が出来た?」

「うぅ、寒い……ゲームだと体感的に寒くなかったんだけどなぁ……」


 吹雪は私の体には寒すぎた。なので、結局私は洞窟に入り、休むことにした。正直、あいつが言っていた言葉は半分が嘘だと思っていたが、どうやら全てはホントだったらしい。それを今、身を以て証明した。

「さて、どうしようかな。誰とも連絡は取れないし、寒さを防ぐ物を探すにもこの洞窟からは出れないので無理。武器はないので敵と当たったら死ぬ可能性もある。」


 あれ? これ結構絶体絶命じゃない? でも、何故だろう。今も取り乱さずに冷静に考えている自分が正直よく分からない。これも、指輪のおかげなのだろうか。


「そういえば、吹雪って絶対止むはずだよね。それを待つしかないかぁ……」


 体を温めるため、洞窟の中を見渡し歩ける範囲で歩く。ゲームをする前に裸足だった影響からか今の私も裸足だ。さすがに洞窟の中で素足は寒すぎる。身体は暖かくても足の裏が寒い。幸いにも、洞窟の中は凍ってないので極限まで寒いという訳ではないが。


「とりあえず少しは温まった気がする。さて、後は何しようか……」

 未だ外は吹雪が吹いているので出れない。洞窟はもちろんの事抜け道やら、他の出口は見た感じない。なので私は、指輪を見る事にした。前回のゲーム通りならば、レベル15で『キアラン』が呼び出せるはず。


「うーん。でも、呼べちゃうとこのゲームが簡単になる気がする。」

 実際に、このゲームはあまり他のプレイヤーと会えないのだろう。まぁ、運が良ければ会えるらしいが。ってことは、この世界は膨大な広さのマップという事になる。そんな中、私が三人で攻略出来るなら、もはやチートだ。

「ま、とりあえず今の段階じゃ結局呼べないでしょ! もう、今は忘れて寝よっと!」


 寝る時に少し邪魔だったので、指輪をジャージのポケットに入れ、少しの間眠ることにした。もしかしたら、これは夢なのかもしれない。絶対に有り得ないが、今だけはそう思っても許されるだろう。

 そして、私の意識は落ちた。


 ┈┈┈┈┈┈┈ ❁ ❁ ❁ ┈┈┈┈┈┈┈┈


「ん……結構寝ちゃったかな……」

 目を擦り、あまり開かない目で周りを見渡す。そして、ステータス画面を見て、私は驚いた。


 スノー


 レベル:1


 HP:6

 MP:10

 スタミナ:3

 STR:10

 VIT:10

 DEX:10

 AGI:10

 INT:60

 LUCK:10

 CHARM:10


 武器:

 頭:なし

 胴:ジャージ

 腕:

 腰:ジャージ

 足:


  アクセサリー:王の指輪


   スキル:


 能力振り分けポイント:50


 そう。私のステータスは寒さの影響からか、少し低下していた。これはまずい。今はまだ空腹や疲労感はないが、このままいけば、何も食べずに空腹で餓死をするか、洞窟に閉じ込められたまま死ぬという選択になってしまう。これはやばい。


「とりあえず、食べれそうなもの探さなきゃ!」


 私の眠っていた間にどうやら吹雪は止んだらしく、今は広大な雪原が広がっている。これはこれで、素足の私には歩くのがやっとだが、今はそんなこと言ってられない。


「あれ? そんなに冷たくない?」

 人間はピンチの時、寒さも防ぐのだろうか。必死故に、寒さなど感じないのだろう。今の私はただ死にたくないという一心で食べ物と、武器、それに加え、生きていくのに必須なものを探している。


「あっ! これって、木の実かな?」

 どうやら、天は私に味方したようだった。この雪原の中、私は木の実が沢山生えている場所を見つけた。だが、問題はこれが食べれるかどうかと、私自身の味覚が寒さでやられてないか心配だ。


「でも、食べなきゃ死ぬし……」


 私は覚悟を決め、真っ赤な丸い木の実を食べる事にした。目を閉じ、口に放り込み、咀嚼する。どうやら、これは当たりのようだ。

 噛む度に甘みが溢れ、普通に美味しい。でも、この木の実。実はもう一つの青い色の木の実が生えているのだ。もしも、相対的だとすれば、こっちは毒ということになる。私は安全面を考え、赤い木の実を手に取り、ゲームと同じように、アイテムバックに放り込んだ。


「って、ほんとにアイテムバックはあるんだ……」

 これは使える。実際に、アイテムバックの理論などは分からないが、今の私でこれが使えるとしたら、最高すぎる。多分、取り出し方も以前のゲームと変わらないだろう。ならばと思い、私は赤い木の実だけを手に取り、どんどん放り込むことにした。


「いやー、大量大量。さて、後はこの雪原を抜けたいけど、これは、無理だなぁ……」

 いくら見渡し、歩いても景色は変わらない。たまに、先ほどのように木の実があるくらいでずっと雪が積もっている、白銀の景色だ。しいて言えば、謎の洞窟が幾つか見つかったくらいだ。


「やばい、夜が来る。どっかに入らないと!」

 この世界にも朝と昼と夜があるようだ。わたしが歩いているうちに、太陽は沈んでいき、普通に辺りは暗くなり始めた。現状の私の近くには、謎の洞窟と、雪原。これならば、選択肢は一つだろう。


「お邪魔しまーす……」

 物音をあまり立てず、洞窟に入る。もしも、これが魔物の住処ならば、私は死ぬだろう。これは確実だ。武器も泣くわ魔法も使えない私に戦う手段はないに等しい。


「あれってもしかして……」

 洞窟には月明かりが差し込み、思っていたよりも明るい。そんな中、見つけたのは一匹の魔物。それも、熊のような魔物だ。現状は眠っているようだが、起こしたら本格的に死を覚悟しなければならない気がする。


「でも、外は危なさそうだし、一か八か、木の実で仲良くなるとか?」

 魔物相手に食べ物が通じるのかは不安だが、今の私に出来ることはこれしかない。敵対したら終わり。仲良くなればハッピー。それでいこう。一か八かだ。


「あのー、お休み中の所悪いんだけど、一晩ここに居させて……頂いて……も……」

 私の言葉に反応するかのように起き上がった魔物は、とても大きいが、それに対しとても痩せていた。きっと、何も食べていなかったんだろう。


「これとか、食べる?」

 木の実を取り出し、魔物の前に出す。さて、これで私の木の実を食べれば、交渉は成立するかもしれない。このまま襲われれば、終わりだ。

「グルルルルッ……」

 どうやら、警戒しているようだ。まぁ、そりゃそうだろう。見ず知らずのそれも、人間からだ。本来、ゲームとしては倒されるべき魔物のに対し、優しくする人間なんて警戒するに決まっている。


「あの、私離れて寝てるから、食べてね……」

 警戒を解くために、結構な数の木の実を置いて、その場から離れる。そして、ある程度離れた距離で座り込み、寝る事にした。最悪、私は目覚めないだろう。もう、魔物のに襲われて死んでもしょうがない。こうゆう世界なのだから。

 そう思いながら、私の瞼は次第に落ちていき、私は眠りについた。


 ┈┈┈┈┈┈┈ ❁ ❁ ❁ ┈┈┈┈┈┈┈┈


 この世界に来て二度目の朝が来た。そして、何故か私の周りは毛が溢れていた。でもこの毛はとても暖かく、私を包み込むかのようになっていたお陰で、今の私はポカポカで温かい。だが、硬い床で寝たせいか、体が痛い。とゆうことは、痛みも私にあるということだ。死ぬ時は、痛みもあるのだろう。そう思うと少しだけ寝起きから憂鬱だった。


「あれ? 私、こんな所で寝てたっけ?」

 そんな時、私は自分が寝ていた場所に疑問を抱いた。明らかに移動している。そして、いつの間にか、魔物が近くにいるという事は、魔物が移動させたということだろう。しかも、私を温めるために。


「おまえ、もしかして木の実のお返しか?」

 どうやら、私のあげた木の実は既に無く、食べられてしまったようだ。でも、そのお陰で私は凍死せずに済んだのかもしれない。そう思うと、感謝の気持ちが溢れてくる。


「グルルッ……」

 その目はとても優しかった。私を見つめるその目は、昨日は気付かなかったが、とても青く、一切の敵対心のない目をしていた。

「ありがとね。でも、もう大丈夫。あと、今のお礼として、まただけど、この木の実あげるね! 私これしか持ってないから、ごめんね?」


 未だ沢山ある木の実を取り出し、朝ごはん代わりに私も食べる。どうやら、既に私への警戒心はあまり無いようだった。その証拠に、隣で一緒に食べているのだから。きっと、私が何も出来ないと分かっているからだろう。まぁ、攻撃とかはするつもりないが。


「うーん……さてと!私は行くかな!こんな人間に優しくしてくれてありがとね!じゃあまた!」

 眠気も完全に無くなり、朝の内に歩き出す。出来るだけ早く、この雪原から抜けたい。その為には、早く行動しなければならないのだ。


「ん? お前、そこに居なくて良いのか?」

 私も予想していなかったが、この魔物は私に予想以上に懐いていたらしい。まぁ、もしくは食べ物目当て、または私を非常食として見てるのかは分からないが、どうやら私に付いてくるようだった。でも、これは有難い。この魔物がいれば、私は温かいし、魔物に襲われても、守ってもらえる可能性がある。メリットしかない。


「まぁ、食べ物が無くなるのがちょっとだけデメリットかな」


 だが、このデメリットは、メリットと比べると些細なものだ。そして、ここで魔物はさらに意外な行動に出た。

「えっ? ホントにいいの?」

 そう。私を背中に乗せたのだ。素足で歩いている私を見てだろうか。この魔物は私を背中に乗せてくれた。背中の上はとても温かく、この雪原において、最高の空間だった。


「ありがとね。そして、これからもよろしく」


 背中に対し、語り掛けるように言った後、私の声に反応するように唸り声をあげた。その後、歩き出し、私を背中に乗せたまま、雪原を歩き出した。


 魔物が頑張ってくれているそんな中、私は背中でモフりながら、この魔物が優しくて良かったと思うのであった。

今回はステータス要らないかなと思い、最後にいれませんでしたよ!

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