三十九話 「最後の遊び」
そんなこんなでお昼ご飯も食べ終わり、私は支度をしていた。久々の外だから、髪の毛とかもセットしなければならない。
「うわぁ。お姉ちゃんが髪をセットしてる……」
いつもほとんどセットしていないからか、妹が私を見て驚いている。確かに、学校の時も、ほとんどセットしないし、最近全然遊んでもいないから、驚かれるのも無理はない。
「うーん。雪の髪だったら、普通にポニーテールでいいんじゃない?」
一応、いつも通りお団子の髪型にしようとした時、花奈がやって来た。そして、何故か私の髪を弄りだし、勝手に髪型をポニーテールへと変化させた。なんとなく、嬉しかったのは内緒だ。
「ほら!こっちのが可愛い!!」
言われた通り、鏡に映る自分を見ると、さっきの私とは違って、今どきの女子高生っぽくなっていた。まぁ、今どきの女子高生がよくわからないけど、なんとなく女子高生っぽいから良しとしよう。
「よし、雪も準備できたし行くか!……で、ショッピングモールって何処にあったっけ?」
ふむ。ちなみに、私も分からない。ショッピングモールとか、全然行かないし、電車乗らないきゃ行けないし……
「桜は、分かるよね!」
桜は割と友達も多く、結構遊びに行ってるから分かるはず。とゆうか、分かってくれなきゃ困る。行けなくなってしまう。
「うーん。まぁ、何回か行ってるから分かるけど、乗る電車間違えたらごめんね!」
まぁ、間違えたら間違えたで許すに決まっている。人間は誰でも間違いはあるからね。しょうがない。
「よし!とりあえず行くか! このまま家に居たら、グダグタになって行かなくなりそうだし。」
「うん!なんとなく、私もそうなる気がするから早く行こ!」
「しゅっぱーつ!!」
私も含め、何故かみんなテンションが高くなっているが、それは、多分、久々に三人で遊べるからだろう。
――――――
「ふぅ。やっと着いた……マジもう二度と電車乗らない……」
私達は電車も間違えることなく、ショッピングモールに着いたのだが、問題は電車内にあった。今や、女性専用車両が結構あり、痴漢などはなかったのが、あまりにも人が多かった。もちろん、私は人が多いのが苦手なので人酔いしてしまい、現在死にかけている
「いや、お姉ちゃん。帰りも乗るからね? しかも、帰りは帰宅ラッシュと重なるから、もっと酷いことに……」
妹が悲しくなるくらいの現実を突きつけてくる。正直、もう帰りたい。でも、電車は嫌だ。ぐぬぬ……まぁ、結局乗るんだし、諦めるか……はぁ。
「次は座れるといいな……」
せめて、人が多かくても座れれば満足だ。帰宅ラッシュで座れなかったら今度こそ私は死ぬかもしれない。主に精神的に。
「ま、まだ帰りまで時間あるし、行くよ!」
倒れそうな私の手を引き、花奈が歩きだす。私の手を引っ張ってる姿を見ると、どうも中学時代を思い出し、ニヤけてしまう。
「お姉ちゃん……口がニヤけてるよ……」
はっ!妹にバレてしまった。って、そんなに分かるほどニヤけてたのか……やばいな私。
「う、うるさいな!ニヤけてないし!久々のショッピングモールでちょっと嬉しくなっただけだし!」
「え〜。って、絶対それ違うじゃん!」
くっ。苦し紛れの言い訳は通用しなかったか。
「ほらほら、とりあえず入口に着いたし、入るよ!それと、雪もそんなに喋れるなら、自分で歩く!」
何故か花奈がお母さんに見えてきた。そして、私達が手のかかる子供。
「なんかやだなぁ……」
「何言ってんのお姉ちゃん」
また思ったことを口に出していたようだ。ほんと、私って口が緩い。
「さて、とりあえず何見る? どうせ、私は服を見たら時間が掛かるわけだから、最後でいいよ!」
私と妹の会話を一切無視して、花奈は喋り始めた。
「うーん。雑貨見たいなぁ……」
さりげなーく私は自分が一番最初に見たい物を言う。だが、これは思いのほか良かったらしく、二人共同意してくれた。ま、まぁ、私の予定通りだ。
「うーむ。どっち買おうかなぁ……」
色んな雑貨を見て思った感想は結局要らない。とゆう事だ。だが
私は今二つの選択を強いられている。まず、サボテンのような、変な植物。しかもその植物は、ハニワの形をしていてものすごく可愛い。もう一つは、半額セールのやっている壁掛け時計。これは、雑貨ではないが、普通に欲しい。けど、お金的に、どちらかしか買えない。
「お姉ちゃん〜。まだ悩んでるのー?」
先程から同じ言葉を何回も聞いている。この言葉を聞くと、逆に考えてしまうのだ。
「雪は優柔不断だよねぇ……もういっそ私が決めてあげるよ!」
花奈は私から二つを取り上げ、よく見定める。そして、ハニワのような形のサボテンを元の所に戻し、時計を私の手元に持ってきた。
「はいこれ。もうこれで決定ね!これ以上さっきのサボテンを見てはいけない!また買いたくなるからダメだよ!」
結局、押しに負けて、私は時計を買うことにした。これであとは、服を買うだけだ。
「よし。それじゃ、服を見に行きますか!」
どうやら、桜も新しい服が欲しいらしく、結局の所、割とすぐに服を見に行くこととなった。
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それから、私達は服を買い歩き、皆して、コーディネートをしたりして存分に楽しんだ。もちろん、両手には、買ったものがぶら下がっている。
「はぁ。もう夕方かぁ……」
ショッピングモールを出て、電車に間に合うように歩き出す。辺りは既に少し暗くなってきている。既に17時半だ。冬は夜が早く来ることもあり、早めにショッピングモールを出たのだ。
「まぁ、明日も遊べるしいいんじゃない? それよりも、荷物持ちが欲しい……」
妹と花奈はまだ良い。私なんて、両手に買った服と脇に時計を持っているのだ。正直辛すぎる。
「やばっ!電車17時45分なんだけど!!走らなきゃ間に合わない!!」
桜が携帯で調べ、驚いている。確かに、このままノロノロ歩いていると間に合わない。私達は、負けた人はジュースを奢るというバトルをしながら、駅まで走ることにした。そして、当然の事ながら、私は負けた。
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「よし!ようやく我が家に着いた!」
「いや、これは私たちの我が家だから!!」
家に着き、リビングでくつろぐ。さすがに、もうご飯を作る気力は皆にはなく、今日だけはピザを頼む事にした。
「さてと、私はお風呂入るから、ピザ来たら受け取っといてねー!」
私はお風呂に入り、今日のことを少し振り返った。久々に遊んだこと。花奈ともう一度遊べたこと。それを考えると、また嬉しくなる。
だが、私達はまだ知らない。今日遊んだことが、現実での最後の遊びになることを。
いやー。今回も日常とゆうか、グダグタでごめんなさい!
それと、次の更新は月曜日の夜にします!ご了承下さい。




