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ゲームで少女は夢を見る  作者: ねぎとろ
序章 『終わりの始まり』

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三十六話 「花奈の離脱」

「グハッ!……くっ、こいつ、どうすれば……」

 花奈が倒れてから、私たちの戦況は狂っていた。ライカさんが必死に攻撃しても、逆に相手の霧を吸い込み、少しずつ体調が悪くなっていく。また、その一方で、ライカさんの攻撃のほとんどが当たらず終わる。ましてや、私の攻撃など、既に無意味だ。やはり、レベル差と武器と防具の差なのかもしれない。

「雪。お前は、逃げろ。せめて、お前だけでも逃げて、後の三人に伝えるんだ。こいつがどうゆう敵なのかを……」


 そして、ライカさんは随分と霧を吸い込んでしまったのか、今にも倒れそうだった。それを見捨てて私は逃げるべきなのか。言葉に従うなら逃げるべきだろう。幸いにも、転移ワープは現状使えそうだ。ただ、いつ使えなくなるかは分からない。それに、私が居ても変わるかは分からないが、この戦いは負けるだろう。

「で、でも、私が逃げたら、ライカさんは……」


 例えば、私がほかの三人を呼びに行くとしよう。だが、それが間に合うのかが問題だ。私のスピードもあるが、既に倒れかけのライカさんをここに残すのも問題。一体どうすれば……

「雪。いいから行くんだ。私はこの通り元気でまだ戦えるからな。もしかしたら、お前が三人を呼んでくれば勝てるかもな……」


 この人。ほんとに凄いなぁ。そんなに青い顔しながら言われても、信じようがないじゃないか。でも、やっぱり、私はここで選択しなきゃいけないのだろう。そして、その選択肢は一つしかない。それは、

「じゃあ、三人を呼んできますから、絶対に死なないで下さいね。それと、花奈も安全な所に避難させますね」


 花奈のステータスを先程見たが、このまま逃げれば死ぬ事は無いだろう。霧の影響なのか、見たこともない変な状態異常マークがあるが、これは後で考えればいいだろう。今は、それよりも逃げることを優先……

「おう。私もあいつをサクッと倒してお前達のとこ行くからな。」


 その言葉を聞いて、私は花奈を背負いながら転移ワープの上に乗った。

 乗る直前に聞こえたライカさんがやられている声。だが、もう決めたことを変えるつもりはない。早く三人を呼べばいいのだ。きっと、ライカさんなら大丈夫。私は自分の心に言い聞かせた。ただ、私は何も出来なかった非力な自分が少しだけ悔しい。

 そして、転移は終わり、私はまた山の中へ戻ってきた。

「まずは、花奈も宿屋に置かないと……」


 転移石を使い、宿屋へと向かう。そして、また走って戻り、ユリナさんたちと合流する。まぁ、メールは走りながら送ればなんとかなる……はず。

「よし、とりあえず、花奈はこれで大丈夫かな」

 まだ体調は悪そうだが、宿屋に居ればじきに治るだろう。あとは、合流する事だ。

「あれ? メールが来てる?」

 ユリナさんにメールを送ろうと思った時、ふと気付いた。これは、運営からのメールだ。内容は全部は見えないが、少しだけなら見える。だが、とりあえずこれは置いておく。まずは、ユリナさんにメールを……


『ユリナさん。そっちはどんな感じですか? 今、私は外に逃げました。現在、ライカさんが一人でボスと戦っています。出来ることならば、ユリナさんたちと合流して、戦いに戻りたいです』


「とりあえずこんなもんで大丈夫だろう。あとは、私が向かえば良いだけ」

 私が走ろうと思った時、すぐにメールが返ってきた。思っていた以上の早さだ。

「えっ。早く行かなきゃ……」

 私はメールを見て、驚愕した。それと同時に、早く行かなければという思いが出てきた。そのメールの内容は、ほんとに一言。『大丈夫』の一言。なんとなく、この一言だけで全てを察した。



 私は走った。途中で転んでも気にせず走り、山の祠に向かう。そして、体感的には結構な時間が経った頃、ようやく辿り着いた。

「はぁはぁ。あとは、乗るだけ……」

 転移ワープは未だ光っており、無事に使えるようだ。もしかしたら、もう既に、皆やられてしまっているかもしれない。それでも、私は……逃げたくない。

 少しだけ慣れた浮遊感を味わい、また私は戦場へと戻る。今考えれば、下手したらダンジョンの入り口に着いてた可能性があったのだ。ほんとに私は運が悪いのか? と言えるほど、運が良い。一発で戦場に戻れたのだから。


「 【フレイムインパクト!】」

 戻った直後、霧が燃やされていた。これは、まさかの予想外。それと同時に、やっぱり三人が来ていることを知って、嬉しかった。

「お、戻ってきたか。ありがとな。雪。」

 私の耳には、元気なライカさんの声が聞こえたきた。ただ、それは、おかしい。さっきまで体調が凄く悪そうだったのに、こんな急に治るわけが……

「あれ? ほんとに、身体大丈夫そう……」

 いつの間にか私の前に立つライカさんの顔は元気そのものだった。何故だろう。こんな短時間で治るものなのか? だが、この疑問は杞憂に終わった。それは、ユリナさんからの一言によってだ。

「あー。ライカの状態異常なら、私が魔法で治しといたよ!結構苦労したけどね、初めて見た状態異常だし。まっ、治ったから良いかな!」

 ほんと、この二人は凄いよ。なんか、二人と居れば、どこに行ってもやっていける気がする。

「さてと、花奈も心配だし、さっさと、こいつを仕留めるか! さっきのリベンジ!」

 ライカさんは元気になり、更には、周りからの支援もある。これは、勝てるかもしれない。そして、嬉しいのは、ライカさんが、花奈をちゃんと心配してくれた事。これが最も嬉しい。

「どうした雪。ほらほら、お前の魔法も必要なんだから!さっさと、杖出して頑張る頑張る!」

 少し俯いてた私を気にしてなのか、近くに寄り、私が必要と言ってくれた。必要とされた事が嬉しかったのか、私は一気に元気になった。傷ついてた体も、いつの間にかユリナさんに治され、私の準備も万端。あとは、あいつを倒すだけだ。

「ライカさん、私頑張ります!」


「おう、頑張れよ!」

 その言葉を聞き、私は杖を出した。そして、相手に杖を向けながら、大きい声で叫ぶ。

「さぁ、リビングアーマーよ。私たちと死闘のバトルを始めよう!」


「おっ、言うねぇ!」

 そう言われると、なんか途端に恥ずかしくなるが、今恥ずかしがったら終わりな気がする。

 こんなグタグタな感じで私のリビングアーマーに対する最後のバトルが始まるのだった。

結局更新できました(๑´ㅂ`๑)笑笑

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