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ゲームで少女は夢を見る  作者: ねぎとろ
序章 『終わりの始まり』
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二十七話 「負けるかも……」

久々の更新です〜!

「あの!ここ攻略するんですよね!僕達もなんです!今だけ、パーティーとか組みませんか?」

 男達の第一声はパーティーのお誘いだった。そして、なんというか、優しそうではある。ナンパとかしてくる、下衆な目じゃなく、ただ純粋に、私たちとパーティーを組みたいようだ。

「そ、その、私たち、二人でやりたいので……ご、ごめんなさい!」

 私が全く喋れなかったのに対し、エミリちゃんが、断ってくれた。ほんとに助かる。

「そっかぁ……なら、しょうがないか。また今度、あったらよろしく!」

 男達は、素直に言葉を聞き入れ、ダンジョン? を諦め、何処かへと去っていった。


「いやー。あの人たちが素直な人でよかった……もし、変な人だったら、やばかったよ!」

 正直、私も、一回の断りじゃ全く効かないと思っていたから、驚きだ。しかも、普通に、良い言葉を言って、去るのも良かった。

「う、うん。これで、ここを攻略出来るね!」

 前よりは、少しマシに喋れるようになった気がする。でも、正直、男とは未だに喋れる自身があまりない。やはり、同じ性別のが話しやすいとかはあると思うのだ。まぁ、個人的な見解だけど。

「そうだね!早く入ろっか!」

 私たちは、多分、ワープ式の術式? 魔法陣に乗って、行くことにした。これで、何も反応なかったら相当恥ずかしいが。


「なんか、揺れてない?」

 ワープ式の予兆だと私は思っていたが、エミリちゃんは、地震か何かだと思ってるようだ。そのせいで、さっきから何回も揺れてるとか揺れてない? とか聞かれている。正直、めんどくさい。この際ハッキリ言おう。ワープの予兆だと。

「あ、あのね、この揺れは……」

 私が言おうとした瞬間、何かのイタズラなのか、それとも、わざとなのか知らないが、突然私らは光に包まれた。

「えっ、なになに!?」

 突然のことに、エミリちゃんはビックリし、私は言えなかったことにショックを受けている。

「はぁ……」

 光に包まれ、私の溜め息すらも誰にも聞こえず彼方へと消えていった。


「ほぇ?」

 ワープした直後の第一声は、エミリちゃんの、間抜けな声だった。

「やっぱりワープだった……」

 エミリちゃんが、間抜けな顔を晒している間に、私は一人静かに呟く。

「え? 雪見ちゃん、何か言った?」

 あっぶねぇ。私の独り言がまさかの聞かれそうになるとは……ふぅ。落ち着け私。多分、この反応は聞こえてない。ここは、無難に何も言ってないで済まそう。うん、それがいい。

「な、何も言ってないよ?」

 よし、これで、完全に騙せるはず……

「えー、絶対言ってたって!『やっぱりワープだった』的な感じのこと!私の耳は騙せないから!」

 な、なんだと……まさかの聞こえてたのか。いや、だが、まだ確信には至っていないはず。ここは、エミリちゃんを無視して、歩こう。

「さ、さてと、行こーっと」

 ちょっとぎこちなく、歩き出し、エミリちゃんの言葉が聞こえてない振りをする。

「あー!!!私も行くから、まってー!!」

 よし、完全にこれで、私の独り言の話は消えた。良かった良かった。


 それから、私たちは、歩いていた。周りは、そこそこ明るく、まだ少ししか歩いていないが、モンスターもいない……だが、今現在の私たちは、立ち止まっている。それは、古典的な罠に引っ掛かったからだ。

「ど、どうする!?で、出れないんだけど!!」

 まさかまさかの、エミリちゃんが宝箱トラップに引っ掛かりました。あんなに簡単に引っ掛かるなんて私思いませんでした。

「もう、諦めよう……」

 虚ろんだ目をしながら、エミリちゃんを見つめ、諦める。だって、四方八方を囲まれ、一切出れない。転移石も使えない。あとは、自分で死ぬしかない。手段は一つだけしかないのだ。

「待って待って、諦めないでよ!絶対出れるから!」

 その言葉がこの罠を動かしたのか、私たちに更なる絶望を与えてきた。それは、モンスター召喚だ。

「え、あれは、黒騎士?」

 召喚されたモンスター? は全身を真っ黒に染めた姿をし、剣も盾も漆黒の黒。見た目は完全に黒騎士だ。

「グギャギャッ!」

 さらには、周りにゴブリンとオークの軍勢。明らかに私たちの戦力不足が目に見える。

「や、やばいかも……」

 若干絶望しているエミリちゃんだが、私にも秘策がある。それは、やっぱりキアラン召喚だ。これで、人数は増える。少しは勝機が見える……はず。

「雪見ちゃん。あの黒騎士。リビングアーマーです!これは、本格的に負けちゃうかも……です」

 多分、鑑定スキルを瞬時に利用したのだろう。すぐさま、相手の名前を見抜き、私に情報をくれる。もしかしたら、そうゆうのが得意なのかもしれない。

「ど、どれくらい強いの? り、リビングアーマーって……」

 全くもって、リビングアーマーと戦ったことがない私には、強さは未知数だ。

「はい。以前、ユーリさんと店主さんと、パーティーを組んで戦ったのですが、相当な強さでした。ユーリさん達がいたからどうにかなったけど、私1人では多分……」

 ユーリさん達ってそんなに強かったのか。まぁ、自分たちで調達するくらいだし、強くなきゃダメなのだろう。

「雪見ちゃん!危ない!!」

 エミリちゃんの咄嗟の行動により、私はダメージを免れることが出来た。私が元いた場所には、剣で抉られたような跡がある。そして、リビングアーマーは1歩も動いていない。これは、剣の圧を飛ばしてきたのだろう。それだけで、この威力なのだ。私たちのような弱者には回避するので精一杯。勝ち目なんてある訳がない。


「相手さんは、待ってくれないですね」

 私の方を見て、少し笑い、エミリは単身で突撃してしまった。私は、呆然としてしまい、未だに脳の処理が追いついていない。故に、ただ見ている事しか出来なかった。たとえ、私の横をエミリちゃんが吹き飛ばされていようとも。

「ガハッ!」

 壁に衝突し、少し揺れる。それほどまでの力がぶつけられたのだろう。

「エ、エミリちゃん?」

 私の言葉に反応はない。エミリちゃんは、壁に衝突した後、グッタリと倒れ込んでしまっているからだ。

「と、とりあえず、【キアラン召喚!】」

 今にも、リビングアーマーはこちらに向かい、歩いてきている。ゴブリン達を率いて、刻一刻と私たちの悪あがきを笑っているかのように、わざと歩いて。

「主よ。キアラン、召喚に応じました」

 一瞬の光と共に、キアランが現れてくれた。だが、何かがおかしい。まるで、戦ったあとのように、身体のあちこちに傷がある。鎧は凹んでおり、身体には切り傷などもある。

「キアラン、その傷……」

 多分、今のキアランだと、まともに動けないだろう。私の命令で、無理やり動かすことは出来るが、それは、あまりにも酷すぎる。

「すいません。先日の戦いが、まだ癒えておらず、恥ずかしながら、立つことすら、ままならない状態です」

 その言葉は、真実だろう。その証拠に、私の前で、立っているが、足が震え、今にも、倒れてしまいそうだ。

「ありがとう、キアラン。今日は、休んでて……」

 キアランを指輪へと強制的に戻す。

「主よ。まさか、死ぬおつもりですか? ならば、この私も一緒に……!あなたが諦めて死んでしまったら、どうするのですか!!この身体でも、たとえ、動かないとしても、あなたを守り抜きたい。私は、あなたの使い魔。あなたを守る義務があるのです。なのに、私の身体を気遣うなど、あなたは、優しすぎます……」

 消え際に、キアランが残した言葉。その言葉は、消えても尚、私の耳に一字一句間違えず、残っている。

「エミリちゃん、私も後を追いかけるから」

 いつの間にか、エミリちゃんの姿はなかった。多分、死亡したのだろう。

「さてと、負けますか!」

 杖を構え、最後の悪あがきを私は見せることにした。

 だが、それも、ほとんど無に散る。私の魔法は、ことごとく、防がれ、今や、私はリビングアーマーに身体ごと、持ち上げられ、剣を突き付けられている。

 そんな窮地の中、私は一つの策を思い付き、杖へと、魔力を溜めるのだった。

土日もバイトですが、頑張りまっす!

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