二十六話 「少し仲良くなりました!」
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空は段々と荒れてきて、煙の他にも吹雪が舞ってきている。そのせいもあってか、未だにエミリちゃんとホワイトウルフの姿が見えない。
「ふぅ。ちょっと不安になってきたなぁ」
もしも、私のせいで死んでしまったら本当に申し訳ない。いくらエミリちゃんが、自ら言ってきたとしても、やはり、殺してしまったという事実は身に染みる。
「痛たたた……」
ようやく、煙の中から声が聞こえてきた。そして、その声とともに私は安心感を得た。エミリちゃんが生きている。それだけで、自分の心に余裕が出来た。問題は、怪我をしてるかどうかと、ホワイトウルフの存在だ。
「エ、エミリちゃん!大丈夫!?」
もしも、まだ近くでホワイトウルフが生きていたらと思うと、私は駆け出していた。すぐにエミリちゃんの傍に行く。そして、無理やり引きずってでもホワイトウルフと遠ざけねばならない。その気持ちでいっぱいだった。
「大丈夫だよ〜。幸い、私はほとんど怪我ないし、いつの間にか、ホワイトウルフもいなくなってるから〜」
えっ。逆にそれは怖いんだけど。ホワイトウルフは私の攻撃を躱したことになる。ってことは、今も何処からか狙っているのかもしれない。そう思うと、自然と肩が震えてしまう。
「ふぅ。まさか、雪見ちゃんに攻撃されるとは……」
煙も晴れ、吹雪も弱くなり、ようやくエミリちゃんと合流した。そして、その直後にこの言葉だ。
「え、だって、エミリちゃんが、やれって……」
私は半ば泣きそうになっていた。まさか、責められると思わなかったし、こんな事言われるとは思わなかったから。
「嘘だって。泣かないでよ……冗談のつもりだったのに……」
私が泣きそうな顔をしているのを見たエミリちゃんは、困惑と悲しいが入り混じったような顔をしていた。
「冗談……なの?」
目が少し潤っている私の上目遣い。まぁ、狙ってやったわけではないが、これはこれで良し。
「うっ……ごめんなさい」
良かった。これでもし、冗談じゃなかったらマジでやばかった。本気で、ゲーム辞めるまではあった気がする。
「よ、よかった……そ、それよりも、ホワイトウルフの事、知りませんか?」
今なお、潜んでいるかもしれないモンスター。やはりここは、一緒に魔法を受けた、エミリちゃんに聞くのが良いと思う。
「あ、うん。一応、私のスキルで周り一帯は探してるけど、居ないよ。大丈夫」
えっ? スキルでここら一帯を探してるって? 何そのスキル。めっちゃ欲しいんだけど。索敵とか? それとも、気配察知的なやつかな。羨ましい。
「あ、あの、そのスキルってなんて名前のスキル……ですか? そ、それと、治し方をおしえて……ください」
とりあえず、スキルの名前を全力で聞く。なんとなく、知りたい。そんな気持ちが私の中を暴れ回っているからだ。それと、コミュ障の治し方。これも重要だ。自分としても、早く治したいからね。
「あ、スキルはね!確か、【気配察知】ってスキルだよ!」
ふつーに、ステータス画面開いて、スキル一覧から見るエミリちゃん。そんな貴方を可愛いと思います。
「それと、コミュ障の治し方だっけ? えーっと、確か、私は、ひたすら話し掛けた気がする。なんか、1日10人に話し掛けなきゃ、ログアウトしちゃダメ的な試練を出されまして……」
う、うん? 試練? コミュ障治すのに試練とか必要なの? 普通に、嫌になってきたぞ。しかも、エミリちゃんの試練が鬼畜なんだけど。一体誰なんだよ、その試練出した人。おおよその検討はつくけどさ。
「ちなみに、その試練を出してくれたのは、もちろん、ユリナさんです。流石に、私も焦りましたけどね、まぁ、話す相手は決められてなかったので、可愛くて、自分と歳の近そうな女子に頑張って話し掛けてました。あ、ちなみに、私、女子とは話せるんですけど、男子は正直キツイです。ってか、話したくないです」
凄い。ある意味凄い。男子嫌いすぎだろ。まぁ、私もどうせなら可愛い女子と話したいから、その気持ち分からなくもないけど。
「う、うん。教えてくれて、あ、ありがとうございます……」
未だ、エミリちゃんは、話したそうだ。このままだと、永遠と話し続ける気がする。流石に、止めよう。私の理性がそう語りかけている気がした。
「ん? 別に、大丈夫だよ!それじゃ、ホワイトウルフは放っておいて、ダンジョン探そっか!」
ダンジョン……なんだろう。やっぱり、色々ゲームをやってきた影響が私にあるのか分からないが、物凄く行きたい。
「ダンジョン……行ってみたいです!」
おっ。今、言いたいことが言えた気がする。もしかして、ちょっとずつ、良くなってるのかなぁ。
「ふふっ。頑張って探そっ!」
私がちょっと笑顔で返答してくれたのが嬉しかったのか、やる気に満ちた顔で歩き出している。
「わ、私も、が、頑張ります!」
エミリを見ていると、少しだけ、笑顔になれる気がする。
そして、2人は、仲良く、ダンジョンを探すため歩き出した。
「んー。これは、ダンジョンかなぁ?」
私たちの前には、祠のようなものが存在している。普通のRPGだと、これは、ワープ式のやつだろう。多分、このゲームもそうだと思うけど。
「の、乗ってみる?」
危険を顧みず、乗ることを提案する。そして、もちろん、エミリは、頷き、2人で乗ろうと思った瞬間、後ろから声が聞こえた。
「あのー、女性だけのパーティーですか?」
突然の声にビビる私とエミリ。そして、振り向き、姿を確認する。
そこには、集団の男達が笑みを浮かべてこちらを見ている、異様な光景が広がっていた。
すいません……明日と明後日バイトがあって、更新できるか分かりません。最悪、二日間更新出来ないですか、ご了承下さい。




