二十三話 「まさかの出来事!」
いやはやいやはや、今回もよろしくお願いしまする。
どのくらい時間が経ったのだろうか、私は、未だ重たい身体を持ち上げ立ち上がる。ボス戦との戦いで走り回ったりしたのが影響なのか、はたまた、魔法を使いすぎたのが、ダメだったのかよく分からないが、身体の節々が痛い。
「はぁ。なんか疲れたなぁ」
立ち上がり、疲れた身体に対し、ストレッチなどをしながら、呟く。
もちろん、私以外には人が居なく、私の言葉に反応することもなく、ただ、反響しただけだった。
「うーー……はぁ。よし!宝箱開けよっと!」
体を伸ばし終わり、ボス戦の報酬として出てきた宝箱に近付いた。
「うーん。罠とかだったらやだなぁ」
今まで色々ゲームをしてきた影響なのか、金色で装飾された宝箱を見ると、どうしても罠に思えてしまう。
「でも、調べる方法もないから諦めるしかないんだよねぇ」
宝箱を前にして、独り言を言う私。でも、ほんとに調べようがないのだ。とゆうわけで、私は諦め、普通に開けることにした。
「えぃ!」
目を瞑り、勢いよく開ける。
が、時間が経てど何も起きない。私は、恐る恐る目を開け、確かめる事にした。
「うーん……何も起きない?」
未だ、宝箱の中身を見ていないが、事実、何も起きていない。きっと、これは普通の宝箱なんだろう。
ま、普通に考えれば、ボス戦の後に、罠は無いと思うし。
「えーっと、中身は……」
宝箱の中には、お金と、スキルのスクロールと、氷剣? 的な、剣に冷気のようなものを纏った剣が入っていた。
「うーん。私、剣使わないしなぁ……いや、片手に剣ともう片方に杖とか?」
とりあえず、運用方法が見つからなかったので、私はアイテムボックスにしまい、帰ることにした。ちなみに、お金の量は、割りかし多かったので嬉しかった。
「転移!」
そういえば、私、どこに転移するんだろ……
「ちょ、ま、ちょ、」
その考えが私の頭を巡っている時は既に遅かった。転移の光が私を包み、何処かへと飛ばされてしまった。
「痛たた……」
変な風に転移してしまった結果、頭をぶつけてしまい、ちょっと痛かった。
「ここは……何処だ?」
一応、街ということはわかる。いつも通り、雪は降っているが、ギルドやら、酒場やらがある。
「はっ!私の目的を達成せねば……」
ここに来て、私は自分のゲームの目的を思い出し、ギルドへと入る事にした。次こそは、友達呼べる人を作るために。
「あ、あの、パーティーを……」
賑わっているギルドに私の声は全然聞こえていないようだ。私の声を瞬時にかき消し、お酒の匂いと、男女問わずの酔っ払った声しか聞こえない。やはり、私はギルドに入るには、年齢が向いてないのだろう。そう思い、私はギルドで友達を作るのを諦める事にした。
「次は、どこで探そうかな……」
顔を俯けながら、トボトボと出口へと歩く。そんな時、後ろから私に問いかける声が聞こえた。
「あの、パーティー組みませんか?」
それは、美少年? 美少女? のようなものすごく可愛らしい人だった。私は見知らぬ人と話すのが苦手だ。この人の問いかけに未だうまく答えることができていない。
「あの……私とパーティー嫌ですか?」
ついには、相手の人も俯き、小声になってしまった。これは、非常にまずい。
「い、いや。お、お願いしま……す」
途切れ途切れだったが、ちゃんと言えたはず!その証拠に、相手の人もいつの間にか顔を上げ喜んでいるように見えるし!
「ホントですか!?ありがとうございます!今日からよろしくお願いしますっ!」
丁寧に深すぎるお辞儀をしてきた。でも、一体、なぜ私と組もうと思ったんだろうか。もしかして、誰かに言われたとか? かなぁ。
「あの、そういえば、自己紹介まだですよね!じゃあ、私から!私は、エミリと言います!ちなみに女ですよ。私外見が男みたいだから間違えられるんですよねぇ。えへへっ」
場所を移してから、唐突に自己紹介を始める。そんな事よりも、なんだこの子かわゆす。これは、パーティー組んで正解かもしれない。ってか、今思ったら、私も自己紹介しなきゃじゃん!!や、やばい。
「あの、無理に話したくないなら良いですよ? 私も、一時期、他人と話すのが苦手だったのでもので、その気持ち凄く分かります!」
まさかの、私と同じコミュ障だったとは。驚きだ。どうやって克服したのかな。私は一生克服出来そうにないや。そ、それよりも自己紹介だ!とりあえず、適当にいえば良いよね!
「え、えーっと、私は如月 雪見で……す。よろしくお願いします……」
どうしても、声が出ない。声をだそうとしても、小声になってしまう。
「はい!よろしくお願いします、雪見さん!」
このゲームでの妹以外の初めてのパーティーがこんなに優しい人で良かった。出来れば、これからもパーティー組みたいなぁ。
「あ、もうこんな時間!私、今日はログアウトしますね!」
私も同じように時計を確認する。既に、日付を超え、深夜1時だ。
「う、うん。またね……」
最後まで私は小声だ。もっと、沢山話しかったし、明日も、どうするか聞きたかったのに、どうも言葉に出来なかった。はぁ。ほんと私ってダメだなぁ。
「明日はもっと沢山話しましょうね!とゆうわけで、フレンド登録します!そして、明日はログインしたら、場所をメッセージで教えてください。そしたら、私行きますので!」
ほんとに、この娘は。私のやりたいことを全部言ってくれる。この人と組めて本当に良かった。
その後、私たちは、フレンド登録し、別れた。エミリは、ログアウトし、私もついでにログアウトした。
「はぁー。あの娘ほんとにいい子だったなぁ」
現実に戻って、ベッドの上で呟く。
「ふぁ〜……」
ゲームをずっとやってた影響もあって、私は大きな欠伸をしてしまった。眠たい目を擦りながら、私は、夢のような事を考えていた。
「ゲームで、初めての親友出来るかも?」
ただ一回の交流でここまで思ってしまう。そして、明日が楽しみになっている私がいる。そんな事を思いながら、とてつもなく眠かったので、私は寝ることにしたのだった。
本当に申し訳ないのですが、今度からは2日に1回くらいのベースで更新しますね。もちろん、2日に1回が原則としてなので、たまに3日に1回とかになるかもしれませんが、ご了承ください。
ま、適当に気長に待ってくださいな。頑張りますので!




