二十二話 「ボス戦攻略」
今回、久々の更新です!よろしくお願いしますっ!
「キアラン!そこ、後ろに回り込んで!」
ブリザードウォリアーとの戦闘は長引いていた。さすがの、ボスだけあって、キアランと私よコンボも躱し、尚且つ、攻撃まで加えてくるという強さ。これは、普通の人じゃ勝てないはず。私はキアランが居るからまだ良いが、正直、私の魔法じゃ、ほとんどダメージは与えれていないはずだ。
「御意。主様は、援護を引き続きお願いします」
私の言葉に忠実で、普通に強いキアラン。ほんと、この指輪貰ってよかったと思う。
「【フレイム!】」
密かに、溜めていた魔法を解き放ち、キアランが移動する間の目眩しに利用する。が、それも、ブリザードウォリアーにはほとんど効かない。剣を一振りすれば、吹雪が舞い散り、私のフレイムがことごとく消されていく。
「では、死んで頂きます」
ほんの数秒の目眩し。それだけで、キアランは移動し、剣を構えている。そして、一気に背中から突き刺し、引き抜いた。
「やった!!勝った!!!」
私は、勝ったことが、ものすごく嬉しく、はしゃいでしまっていた。だが、勝ったという事実はない。未だ、ボス部屋からは出られず、ブリザードウォリアーが倒れたまま消えていない。
「えっ? 私、勝ったんだよね?」
段々と、まだボスは生きているのではないかという疑問が浮かび上がってきた。私は、無謀にも、倒れている所へと赴き、確かめようとした。
「主様!それ以上寄ってはいけません!!」
何かを察知したのか、キアランが全力で私を引き止めた。とゆうより、後ろへと投げ飛ばした。私は、あまりに突然の事で、驚いたのと同時に、目の前の光景に唖然とした。
「何……あれ」
私の目の前には、先程のブリザードウォリアーとは違い、目が真っ赤に染まり、一振りの大剣を担ぐ者。そして、それは、私が近寄ったと同時に、目覚め、私を瞬時に殺そうとしたのがわかる。きっと、キアランが吹き飛ばしてくれなかったら、真っ二つになっていたであろう。私が元いた位置にある大地への亀裂がそれを証明している。
「主様。あれが、この場所の本来のボスのようです。さっきとは桁違いの強さを感じます。これは、私でも多分……」
その言葉の続きは容易に想像つく。多分、私たちでは勝てる見込みが少ないのだろう。
「でも、戦わないと……せっかくここまで来たんだから!」
今更、転移石を使おうとは思わないし、多分、転移石を使う隙すらこの敵は与えてくれないだろう。
「主様!戦闘準備を!来ます!」
荒れ狂う、吹雪を瞬時に出し、私たちに突撃してくる戦士。先ほどとはスピードも桁違いのようだ。私だと、ほとんど目に見えない。
「くっ……なんて力を……」
小さな短剣と、剣を持つ二刀流のキアランでは、大剣を抑えるのもやっとのようだ。両手を前に構え、必死で抑えている。そんな中、私は足がすくみ、身体が震え、動けない。心では戦いたい、それに、魔法だって撃ちたい。なのに、言葉が出ない。声が出せない。それほどまでに、この敵は強いのだ。私なんかじゃ勝てないというのを証明している。
私が動けない中、ふと、隣に何かが吹っ飛んできた。それは、激しい音と共に、壁へと衝突した。
「えっ……キア……ラン?」
そこには、ギリギリで防いだのだろうか、切り傷は無いものの、片方の剣が折れてしまっているキアランが居た。いや、倒れてしまっていた。右手には、未だ折れていない短剣を持っている。
「次、貴様、殲滅、開始」
次は、私を標的に決めたのか、高速で私に突撃してくる。私は、未だ震える足を無理やり動かし、ギリギリで回避するが、これもどのくらい持つかどうか。だが、私の目の端には、キアランが懸命に立とうとしているのが見える。もしかしたら、もう一度、背中から一突きすれば、勝てるのかもしれない。それだけを願い、私は逃げに徹することにした。キアランが動けるようになるまでの間。
「効いて!【サンダーボルト!】」
ようやく、この敵に慣れた私は、魔法も撃てるようになっていた。
そして、少しの隙をつき、魔法を放つ。
「えっ? もしかして、効いてる?」
私の前では、雷が弱点だったのか、悶えているブリザードウォリアーがいる。が、その悶えも一瞬だ。私は、ほんとに少しの間見た後、またも、距離を取った。
「ほらほら、こっちだよ!」
少しでも、キアランから注意を逸らすため、自分に引き付ける。それが、今何よりも重要だ。
「殺す……」
やはり、ブリザードウォリアーは挑発に乗り、私の方へと走ろうとする。が、もう遅い。
「終わりだ……」
いつの間にか、ブリザードウォリアーの後ろにいたキアランが最後の短剣を使い、背中から突き刺した。
「グハッ……」
私の前で、背中に短剣を刺したまま倒れるブリザードウォリアー。これで、私たちの勝ちだ。
「主よ、ありがとうございます。また機会があれ……ば……」
最後の言葉を言う前に、倒れてしまい、光となり、消えていってしまった。
「うん。ありがとう、これからもよろしくね!」
初めてのボス戦を倒した後、その場に残ったのは、唯一、ただ1人の少女。
その少女は、勝利の余韻を噛み締めながら、床に倒れ込み、真ん前に出てきた宝箱よりも、休むことを優先とし、瞼を落としたのだった。
明日も、多分更新します……最近、多忙なもので、申し訳ない。




