十九話 「奇妙な殺人者」
今回は、戦闘シーンです!!よろしくお願いしますっ!
「そろそろ新スキル教えてくれない? あんたの事だからどうせ強いんでしょ?」
桜のスキルはどれも強い。多分、倍速化は結構良いスキルだろう。どこで手に入れたのか気になる所だけど。
「えー。やだー!無理ー!楽しみに待っててね!」
そんなたわいもない話をしている時、後ろから羽ばたいている音のようなものがする。
「ねぇ、この音なんだと思う?」
真っ先に気づいた妹が尋ねてくる。
「そろそろ後ろから何かが来ると思うよ。多分だけとね!女の勘ってやつ」
多分、音的にただの蝙蝠だとは思わない。きっとモンスターであろう。ただ、音が多いからどのくらいの量なのかが問題。
「やばくない? そろそろ近く来るよ?」
段々と近づいてくる音に妹はビビっている。正直私も逃げたい所だが、私には範囲魔法というものがある。それを今から後ろに放とうと思う。
「ま、任せてよ!一気に殲滅しちゃうから!」
だいぶ近くなった所で、私はなんとなく詠唱する。ぶっちゃけ、詠唱なんて必要ないが、雰囲気が欲しいのだ。詠唱も自己流だしね!
「延々と燃え続ける炎よ、一切合切を容赦なく燃やしつくせ。フレイム!!」
結構カッコつけてやってしまった。やばい、すごく恥ずかしい。妹に見られているのがさらに恥ずかしい。
私が顔を覆っているうちに、フレイムによって羽ばたく音は無くなった。だが、その代わりに、一つの足音が聞こえる。
「ハッハッハッ。まさか、気付くとは思わなかったよ。ま、今君たちが倒したのはただの偵察用の雑魚。私が使うスキルの一つでね。虫を出すことが出来るんだ。ま、君たちには相性が悪いみたいだから、違うスキルで闘うとするよ。さぁ、今からが本番だ。君たちを殺して、この洞窟は僕が攻略させてもらうよ」
まさかの予想外。私たちと同じプレイヤーだった。しかも、小さい虫を出すことが出来るらしい。
「な、なんで殺す必要が……!?」
それよりも何よりも気になるのは、私達を殺す理由だ。私たちより早く攻略したいなら私的に道を譲る。勝てない相手っぽいし、闘いたくはない。
「お姉ちゃん……多分、この人には何を言っても無駄だと思う。きっと、単に人を殺したい人だと思うから」
妹の忠告は最もだ。単に人を殺したいなら、私たちを狙うはず。
「そう、だよね。闘うしかないか……」
杖を構え、覚悟を決めた。その時、相手は口を開き一言呟く。
「話は終わったかな? じゃ、死んでもらうよ。百足の腕!」
言葉の最後にスキルのようなものを発動させ、こちらに突っ込んでくる。未だ姿は見えない。
「お姉ちゃん、私が引きつけるから援護よろしくね!!」
相対するように、妹も倍速化を使い戦闘へと向かう。
「ハッハッハッハッ。その程度の力で私に勝てると思うなよ!」
ようやく敵の姿が見えた時には、桜は既に傷だらけだった。おそらく、相手の身体の影響だろう。
「なに……あれ。あんなの、近接戦闘じゃ勝ち目ないじゃない」
相手の身体は無数の棘のようなで覆われ、腕と足の部分には、さらにたくさんの棘が生えている。口には牙を、腰には刺々しい腕がさらに2本生えている。言うならば人間の形をしているのモンスターだ。
「どうやら驚いているようだな。このスキルについて死ぬ前に教えといてやろう。次に会った時に対策できるようにしといてやるよ。このスキルはな、俺がムカデを殺しまくり、時にはムカデを食べてようやく手に入れたスキルだ。人を殺すために、ここまでやったんだ。フヒヒっ」
最後には、気持ち悪い笑い声をあげ、未だボソボソと喋っている。今なら隙だらけだ。やれるかもしれない。
「ダークバインド!!」
あの身体は近寄られたら困る。とりあえず私は動きを封じようと思ったのだが、それは無駄に終わった。
「そんな雑魚魔法で縛れると思うなよ?」
私のダークバインドはことごとく棘によって遮られ、全くの無意味で終わった。しいていえば、少し棘が消えたくらいだ。
「お前達は相当な雑魚のようだから、今回は容易に殺せそうだ。ヒヒッ。これで23人目。このスキルで殺すのは簡単だなぁ……」
これは、本格的にやばい。私のダークバインドが効かないなら私に勝ち目があるのだろうか。
「はぁ。私死ぬのかぁ……嫌だなぁ」
あまり戦っていないのに、戦意を喪失してしまった私は杖を下ろし、遠くを見つめてしまっている。
「お姉ちゃん!まだ倒せる!!」
いつの間にか近くに寄っていた妹が私の背中を叩き、励ます。
「私に秘策があるの、今からそれを伝えるから、すぐに実行して!早くしないと私負けちゃうから!」
私の耳に小声で作戦を伝え、桜はまた戦闘へと戻った。きっと、あいつを引きつけるのだろう。
「妹が頑張ってるのに、私が先に逃げるわけにはいかないよね!」
辺りが暗く、あまり見えない中、杖を構え相手を補足する。ほんと、こうゆう時は目が良くて良かったと思うよ。
「行っくよー!ファイヤーボール!サンダーボルト!からの、ダークレイン!」
私の魔法は炸裂し、ファイヤーボールから直撃する。
「そんな雑魚魔法効かないと言ってい……なんだこれは!?」
サンダーボルトも引き続き喰らい、最後にダークレインが発動する。それを喰らい、ようやく相手は驚いている。
「や、やめろ。この魔法は、私の最強スキルが!棘が消えていく!やめろーー!!!」
ダークレインの効果によって、相手の棘に当たる度棘か消えてゆく。そのことに恐怖を覚えた相手は私を標的と決め、殺しにかかってくる。だが、それも作戦通りだ。
「よし!お姉ちゃんありがと!これで攻撃が通りそう!」
敵の後ろから突如現れた桜は刀を構え、斬ろうとしている。その姿が見えるのは私だけだ。棘が削げていて、私の方しか見ていない相手には全くもって見えるはずがない。
「もらったよ!」
がら空きになった背中に対して、鋭い刀を振り、傷をつける。
「な、何故だ!俺が負けるはずない!あっていいはずがないんだ!!お前らも殺す!!殺す!!死ね!生贄操虫!」
死の間際に相手は最後のスキルを発動させた。その時、私たちの前から敵は消える。だが、その代わりにある一体の虫が現れた。
「フハハハッ!禁断なるスキル。虫を食し続けた者にのみ授かるスキル!自らが虫になるスキルだ!どうだ!お前らごときに勝てると思うのか!!」
こいつは何を言ってるんだ? 私たちが負ける? 有り得ないね。
「よいしょっと」
私は自分の足を持ち上げる。
「えっ? どうして、私の上に足が……」
グシャッ!という音と共に、光るエフェクトが出た。これは、倒した証だろう。
「なんか、最後あっけなかったね」
隣にいる傷だらけの妹が呟く。それもそのはず、相手は強そうに言っていたが、所詮はただの虫だ。しかも、小さい。普通サイズの虫なんて私たちの敵じゃない。とゆうより、普通の人にも負けるだろう。
「ま、勝ててよかったよ。はいこれ!」
傷だらけの妹に対して、私の回復薬を渡す。
「ありがとお姉ちゃん」
私たちは勝利の余韻に浸りながら傷を癒す。今からこの洞窟の攻略についてを頭の隅に置くが、今はとりあえず疲れたのでしばしの休息を得るのだった。
ちょっと次は地の文を多くして行きたいと思います!




