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ゲームで少女は夢を見る  作者: ねぎとろ
序章 『終わりの始まり』

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十八話 「勇気があれば」

昨日は更新出来ず申し訳ないです。

「ゆ、雪……」

 私の声に反応してしまったのか、花奈もこちらを見て困惑していた。


「ゆ、雪。わ、私ね!!」

 少しの沈黙の後、第一声は発したのは花奈だった。

「おねえちゃーーん!どうしたのーーー?」

 少し遠くから妹の声が聞こえる。ちょうど良いタイミングだ。

「ご、ごめん花奈。じゃあね!」

 花奈は何かを喋りたそうだったが、私はとにかく逃げたかった。何故だか分からないが怖かったのだ。妹を口実に私は逃げてしまった。ごめん。花奈。私は心で思うことしか出来なかった。


「ごめんね。雪」

 私が去った後に一人呟く花奈。悲しい顔で呟くその声は一人虚しく、雪に掻き消されてしまった。



「お姉ちゃん!遅かったね!……って、なんかあったの?」

 妹の所へ走って駆けつけた私の顔はやばかっただろう。

「う、うーん。なんでもないよ」

 きっと今も困惑しているような悲しい顔のような、きっと泣きそうな顔をしているだろう。

「お姉ちゃん……もしかして、嫌なことでもあった?」

 なんだかんだ心配してくれる妹。その優しさでもまた泣きそうになってしまった。

「ううん。嫌な事じゃなくて、自分が嫌になっただけ。自分には勇気がないなぁ……ってね」

 ぎこちない笑顔で私ははにかむ。

「そっかぁ。お姉ちゃんが自分のことが嫌いでも、私はお姉ちゃん好きだよ。どんな時でもなんだかんだ私を心配してくれたり、一人寂しい時も、一緒に居てくれたり……言い出したらキリなさそうだよ!」

 全く。その言葉全部あんたに返したいよ……

「桜。いつもありがとね」

 俯きながら小声で呟いた。

「ん? お姉ちゃん何か言った?」

 こっちをニヤニヤしながら見てくる桜。きっと聴こえただろう。私は恥ずかしすぎて顔すらあげれなかった。

「もう!うるさい!はやく行くよ!」

 前に立っている妹を押し退け、私は赤面しながら歩き出した。

「ねぇお姉ちゃん。なんて言ったの〜?」

 後ろをニヤニヤしながら追いかけてくる妹から逃げるように私は近くにあった洞窟? のようなものへと入ってしまった。



「うわっ。何ここ……寒いし、最悪……」

 洞窟に入った途端、ひんやりとした空気が私を包んだ。どちらかといえば、寒い方が苦手な私にとっては、過酷な環境だ。

「やっと、追いついたっと!」

 背中から、妹にタッチされ、一瞬私はびっくりする。

「ったく。で、どうする? この洞窟の中、散策する?」

 私としては、イベント中初めての洞窟。出来れば探索やら、何やらしたいが、妹が嫌なら諦めるしかない。

「んー。別に良いよー。結構明るいから見えるし!」

 良かった。これで、洞窟が探索できる。とりあえずは花奈との事を忘れ、洞窟を歩こう。

「じゃ、行こっか!」

 頭から頑張って花奈のことを消しつつ、歩き出す。

「でさー、お姉ちゃん。あんまり、自分のことを嫌いにならないでね!」

 ほんとに唐突に言われてしまった。まさかこんな所で言われると思わなかった私は、不意をつかれてしまい、つい泣きそうになってしまった。

「あはは〜。お姉ちゃん泣きそうになってる〜!」


「うっさい!早く行くの!」

 無理やり手を引き私たちは洞窟の中。段々と細くなっていく道を歩く。


 洞窟を歩いていくと、そこには意外なものがあった。

「これは、水?」

 多分、洞窟の一番奥だろう。そんな場所に割と大きめの水たまりのようなものがあった。

「んー。お姉ちゃん、これ、潜れそうじゃない?」

 桜が石を投げ、深さを確かめる。割と深そうなので、人が一人くらいなら潜れるかもしれない。

「私、上手く泳げないからなぁ……」

 実の所、私は水泳が出来ない。別に泳げないこともないが、基本平泳ぎなどが出来ないのだ。

「じゃ、とりあえず私が行ってみるよ。お姉ちゃんは待っててね!」

 そう言い、妹は水へと飛び込んだ。私はただ一人、見ていることしかできない。

「はぁ。なんか妹に頼ってばっかだなぁ」

 一人呟く。私の声が反響し、洞窟内に響くが、きっと誰にも聞こえてないだろう。


「はぁはぁはぁ。お姉ちゃん!潜った先に、通路みたいなとこあったよ!」

 数分経った頃だろう、妹が息を切らせながら帰ってきた。数分も耐えていたんだ。相当凄い。

「私でも行けるかなぁ……」

 妹と比べ、私は自信が持てない。

「大丈夫大丈夫!私が手を引いてあげるから!」

 ぐぬぬ。こんなにも妹に頼るなんて、姉失格だ。だけど、頼るしか……クッ

「ちゃ、ちゃんと引いてよね!!」

 照れ隠しに強めの口調で言ってしまった。

「はいはい。さ、行こっ!」

 グイッと手を引っ張られ、二人で水に飛び込む。


 水の中は幻想的だった。何処から漏れているのか、光が所々あり、水は透き通っている。魚などは居ないが、この綺麗さは中々のものだろう。


「ぷはぁ!危なかった……まじで死ぬかと思った」

 割と遠くの場所に通路があったせいか、私の息がもう少しで終わるところだった。

「ふぅ。疲れた……」

 一方妹は別に普通そうだ。ほんとにこいつ何者なのか知りたくなるくらい。

「さてと、疲れたけど休まないで行くかな!」

 妹が立ち上がり、私も仕方なく起き上がる。

「はぁ。なんかそろそろ敵に会いそうな気がするけど……進むしかないしねぇ……」

 なんとなーく、そろそろモンスターと出会う気がするのだ。今の今までモンスターと遭遇しない。これは、完全におかしい気がする。

「ま、モンスターが出たら倒せばいいでしょ!私の新スキルで!」

 むむむ。聞き捨てならない言葉が聞こえた気が……

「新スキル!?あんたも覚えたの!?」

 スキルもやっぱり覚えるのか。ちょっと見てみたい……

「ま、モンスターが来たら使うから、それまで内緒で!」


「えー!見せてくれてもいいのに!」

 すっかり花奈のことを忘れ、妹との会話に走る。妹と会話しながら歩く私達。そんな中、物陰から見える無数の視線に気付くことはなかった。

ふっふっふ。花奈を少し登場させました!

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