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ゲームで少女は夢を見る  作者: ねぎとろ
序章 『終わりの始まり』

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十五話 「共闘?」

うーむ。なんか上手くなってる気がしない……

「システムアップデート終了。ゲームをスタンバイします」

 五分ほどの時間経ち、システムアップデートが終了した。もちろん、私はアップデートで何が起こるのか楽しみで楽しみで仕方なかったけどね。

「スタンバイ完了。ログイン致します。認証中……認証完了。ログイン完了。開始致します」

 ようやく終わり、ゲームが始まる。


「んで、始まったのは良いけど、何か変わったのかなぁ?」

 独り言のように呟き、運営のお知らせやら、アップデート情報を確認する。そこには、わたしにとっても、ほとんどの人にとっても嬉しいであろう情報が載っていた。

「嘘っ!イベントが始まるの!?」

 思わず、大きい声を出してしまい、周りの視線を感じる。どうしてこう、私は声を大きくしてしまうのだろうか。

「えーっと。今回のイベントは……」

 イベント情報を確認する。そこには、このように記されていた。


 クリスマスイベント開催!!

 今回は、レベル上げや、アイテム収集。あらゆる要素においてお得なイベントを開催します!期間は年末まで!誠に勝手ながら、明日からは、皆様専用のエリアに移動してもらいます。そこにて、モンスター狩ったり、アイテムを取りに探索するも良し。しかし、良いアイテムは必然と難しくしております。では、皆様明日をお楽しみあれ!


「クリスマスイベントか……」

 ちょっとこの運営の文章が馴れ馴れしい感あるが、まぁ良いとしよう。きっと、昔からこうゆう風な文章なのだろう。

「ん? メール?」

 突然のメールが私に届いた。メニュー画面を開いていたので、すぐ開くことが出来、差出人が誰か分かった。


 お姉ちゃん!イベントについて話がしたいから、噴水のある中心に来て!


 メールの差出人は妹だった。多分、私とパーティーを組むのだろう。私としても、イベントは一人で不安だったのだが、少しは、一人でやりたい。

「やば!それよりも、噴水広場行かなきゃ!」

 ここから、噴水広場までさほど遠くない。走ればすぐ着くだろう。迷いさえしなければ……



「はぁはぁ。お待たせ……」

 何故か私は迷い、噴水広場まで割と時間が掛かってしまった。

「お姉ちゃん遅い!!なんで迷ってるの!?有り得なくない?」

 むっ。なぜ妹のやつ私が迷ってるとわかったのだ。

「ま、迷ってないし……ちょっと探索しただけだし……」

 子供のように私は言い訳し、目を逸らす。

「はぁ。まぁいいや。それより、イベントを一緒にやらない?」

 やはり、私の予想通り。ま、ほとんどの人が分かることだと思うけど。

「うーん。私としても、やりたいんだけどなぁ。一人でやりたい気持ちもある。どうしようかなぁ」

 私としては、チームプレイも好きなのだが、ソロも好きなのだ。なんてったって、自由だからね。

「えーーー!!一緒にやろうよ!!一人でやりたいなら、私がログインしてない時やればいいじゃん!!」

 ふむふむ。そうか。その手があったな。私の方が圧倒的ゲームをする時間は多いんだ。なら、一人でログインした時にやればいいのか。

「うん。じゃ、一緒にやろっか。で、明日は出来るの?」

 私としては、明日からすぐ参戦したい。レベルも上げたいし、何より、初めてのイベントだ。

「明日……うん。大丈夫!」

 よしっ!これで、明日から参加出来る。確か、10時からエリア移動だから、10時半頃ログインすれば丁度いいな。

「んじゃ、予定も決まったし、私は行こ……」

 妹との話も終わり、一人でクエストついでのレベル上げしようと思いきや、服を引っ張られてしまった。

「お姉ちゃん!どうせならさ、一緒にやらない?」

 なぜだろう。服を引っ張る力が強い。こんなの拒否権ないよね。うん。諦めよっと。

「わ、分かったよ!んで、何するの?」

 ようやく、服を離してくれたので、目的を探ることにした。どうせ、何かを企んでるのだろうから。

「ふっふっふ。きっと、お姉ちゃんもやりたいと思って、いいクエストを入手したのだよ。入手経路は秘密だけどね!」

 な、なんなんだ。私のやりたいクエストって一体……

「それは、ズバリ、服の素材クエスト!お姉ちゃん、服を欲しがってたでしょ? このクエストやれば、少しは作れるはず!」

 ま、まじか。これは素直に嬉しい。この素材が集まれば、ユリナさんたちの所で作ってもらえるかもしれないし。

「でも、私達だけで勝てるの? クエストを見た感じ、強そうだけど……」

 クエストの情報には、大体適正レベルがついている。ゴブリン狩りなら適正レベル3などだ。だが、このクエストは適正レベル15。私達では勝てるか正直不安だ。

「ま、大丈夫でしょ!回復の薬とか買ってけばなんとかなるって!」

 はぁ。これでまたお金が……まぁ、服のためだ背に腹は代えられない。

 こうして、妹とまたもクエストをやるハメになった。しかも、たった一日でクリアしなければならない。しかし、やると決めた以上、なんとしてもクリアしたい。そのために、私たちは道具屋などで薬を買い、クエストの目的地へと向かった。


「ふー。やっぱり外はいいねぇ。街道辺りを外れれば人はあんまり居ないし、最高!」

 妹が背伸びをしながら言っているが、その声でモンスターが現れたりしたらどうするんだろうか。

「全く。もうちょい静かにしてよ!この辺、モンスターが結構強いんだから!」

 実は、私達はクエストの目的である、鉱山へと向かっていた。そのためには、一つの山を抜けなければならない。そして、今はその一つの山、アステ火山にいる。とても暑く、まるで夏のようだ。

「分かったよ!お姉ちゃん……でも、もう遅いかも、あれ、モンスターだよね……」

 指差す方向には、私たちを見つめる三頭の真っ赤に染まった竜のようなトカゲがこちらを見ていた。

「ひぃっ!絶対あれ、強いし……しかも、めっちゃキモイ。これは、先手必勝だな」

 出来るだけ寄りたくない。故に、私は杖を構え、魔法を発動させた。

「ダークバインド!からの、ウィンドカッター!」

 安定の動き止めてのウィンドカッターで切るコンボ技だ。

「えっ、嘘っ!」

 私は勝ちを確信した。だが、予想外の出来事が起きた。ウィンドカッターが全く効いてないのだ。有り得ない。

「お姉ちゃん!他に魔法あるなら使って!まだ、ダークバインドで止まってるから倒せるはず!しかも、見た感じ、あいつらの素材も服のクエストに必要だから!」

 妹は私に言い残し、一人倍速で、突っ込んでいった。

「他の魔法……あ、サンダーボルトならいけるかも!」

 私が考えているうちに、妹が一頭倒していた。トカゲのような敵は、首を無くし、絶命したようだ。首が転がっている。さすが妹。

「や、やば!私も倒さなきゃ!」

 つい、見てしまっていたが、私も援護する。サンダーボルトを発動させ、一頭を一瞬で絶命させた。そこまで、強くないようだ。

「今のうちに、鑑定するか……」

 店主さんに教えてもらった鑑定を発動させる。もちろん、妹が戦っている敵にだ。

「ふむふむ。こいつ、ファイヤーリザードって言うのか」

 ファイヤーリザードは平均的に、レベル5。ファイヤーボールを使ってくるが、あまり強くない敵のようだ。

「お姉ちゃん!?何してるの!?」

 私に気付いた妹が驚いている。そりゃそうだ。一頭を倒し、一人ファイヤーリザードを見つめているのだから。

「あ、ごめんごめん。ダークバインド掛けるから、サクッとやっちゃって!」

 鑑定していたお詫びに、すぐさまダークバインドを掛け、動きを止めた。ちなみに、最近知ったのだが、ダークバインドはレベルが自分より低い的にほど強くなるらしい。高すぎると全く効かないとか……っと、そんなこんなで、妹が首を掻っ切り、倒していた。ちょっとグロイ。


「全く!お姉ちゃんは……」

 返り血まみれで戻ってきた妹が話し掛けようとした瞬間、私たちから少し離れたマグマから何かが現れた。

「えっ、何!?」

 突然の敵に私達は唖然とし、武器を構えることすら、忘れているのだった。

今回もありがとうございます!!

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