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最終話【内戦】
走る男は神か?悪魔か?ついには国会でも議論されるようになっていった。しかし議論は1歩も前に進まず、神と崇める派と悪ときらう派のののしり合いで終わるばかりであった。
そして走る男が発見されてから1年後の春、ついにその国で内戦が勃発することになった。
激しい銃撃戦、戦車による攻撃、戦闘機による空爆━━走る男を崇める者たちときらう者たちによる血で血を洗う戦いは果てしなく続いた。
そんな中、当の走る男は、自分の存在が原因で内戦が起きているなどとは露ほどの知らない様子で、くる日もくる日もぺたぺたぺたぺたと走り続けていた。
そんな走る男の目の前を手榴弾が飛び交い、走る男のすぐ1メートル横に爆弾が落とされた。しかし走る男はかすり傷ひとつ負うことなく、何事もないようにいつまでもいつまでも走り続けていった。
「あの走る男は神なのだ!」
「いいや、悪魔なのだ!」
国をふたつに分けての内戦は終わる気配はなく、両陣営ともに死力をつくして戦い続けていった。
そんな人々のことなどまるで気にかける様子もなく、謎の男はただ永遠に走り続けていくだけだった。幼児のようなぺたぺたぺたぺたという音を立てて……。【終わり】




