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第4話【神か悪魔か】
ある日のこと。走る男にひざまずいて拝み出す老婆があらわれた。
その老婆に倣い、ひざまずいて走る男のことを拝める人が次から次へと続出した。
「あのお方は神にちがいない。飲まず食わずでくる日もくる日も走り続けられる人間なんぞいるわけがない。あのお方はきっと神の化身なのじゃ」
そうだそうだ、きっとそうにちがいない、あのお方は神なのだ━━人々は走る男を神のように崇め出し、口にしないのはわかりつつも食料や飲み物を走る男に捧げるようになっていった。
が、走る男に対して、まったく異なる意見を口にする者もいた。
「あの走る男が神だと?たわけ!あんな気味の悪い輩が神なわけなかろーが!きっとあの男は悪魔なんじゃ!」
そうだそうだ、きっとそうにちがいない、あの走る男は悪魔だ━━いつしかその町の人々は、その国の人々は、走る男を神と崇める派と悪ときらう派に分かれていがみ合うようになっていった。
ついには両陣営の若者たちが殴り合いのケンカをしでかすこともあった。
「あの神の化身を悪魔呼ばわりしやがって!」
「あんな気色悪いやつのどこが神の化身だ!」
「んだと、この野郎!」
両陣営の若者たちは殴り合った。ひどいときには死者が出るときもあった。




