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舞い散る道を歩く男女は新品の制服に身を包んでいた。

眼鏡を掛けた細身の男は本を読みながら歩いている。


「なぁ優実、学校行くのメンドクサイ。一緒に帰ろうぜ。」


優実と呼び掛けられた女は苦笑いしながらポニーテールを揺らして言葉を返す。


「いやいや、それは無いでしょ。いくらなんでも入学式を休むとか。っていうか、その前にこんな可愛い子の制服姿を見て何の感想も無いわけ?」


そういいながら優実はスカートの裾を軽く摘まんで持ち上げて回る。

男は本を鞄に入れて答えを返す。


「自分で可愛いとか言うなよ。あとそれ、メイドみたいに回ってるけどパンツ見えるぞ。」


「なっ!?」


優実は慌ててスカートを押さえる。


「そういうことは回る前に言いなさいよ。」


「無理だな。」


「もういいから、で、感想は?」


自慢げに聞いてくる。


「あぁ、なんていうか…………。」


(普通に可愛いと思う。明るい髪と良く合っていると思うし。なによりスカートから伸びるすらりとした優実の足が綺麗だと思う。)


「すごく似合ってると思うぞ。特にすらりとした……。」


「あ?」


すらりとした、と言ったところで急に優実の雰囲気が変わった。ポニーテールが怒りに震えているようだ。


「真。もう一回言ってみ?」


笑顔だ。満面の笑みだ。なのになんだろうすごく怖い。

これはまずい、慎重に言葉を選ぶべきだ。

ポニーテールが怒りに震えているようだ。


「お、おう。すごい似合ってると思うぞ。

特に…………すらり゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛。」


腹部に優実の拳がめり込んでいた。


「すらりとした胸で悪かったわね。」


俺は膝を付いた。パンチがみえなかった。


「ああ、今日は入学式だった……な。」


そんな感じで迎えた入学式の朝。

俺の意識は少しずつ遠のいていった。









喋って、殴られて、笑って。

そんな感じで学園にたどり着いた。

校門には教師と思われる人達が何人か立っていて何かを配っていた。

俺たちにも声がかかる。


「はい、これが白銀学園の電子生徒手帳となります。生徒一人一人の情報は電子生徒手帳で管理されていますので大切に扱ってくださいね。」


「あ、はい。」


綺麗な先生だった。名前は…………坂下さんか。

胸元の名札に『坂下』と書いてある。


「もう、デレデレしない。」

「痛い、痛い、耳を引っ張るな。」


それを見ていた坂下さんがこちらにはなしかけてかけてくる。


「ふふっ。仲がいいんですね。入学式は九時からなので遅れないようにしてくださいね。」

「すいません、お仕事の邪魔しちゃって。ご忠告ありがとうございます。」

「どういたしまして。それじゃあまたあとで。

次の人どうぞ。こちらが白銀学園の…………。」


少し校門から離れて先ほどもらった電子生徒手帳を開いて確認する。

電源をつけるとすぐに本人の写真と名前が出てくる。


「ほー、さすが白銀学園。生徒手帳までこんなもんとは。さすがだな。」


俺は電子生徒手帳をいじりながら呟く。

優実はそれを聞いていたようで、


「そうだね。さすが日本に七つしかない霊石を扱える学園だね。」


「そう……だな。まぁ、そんなことよりもうすぐ時間だ。入学式に遅れる。会場はどこだっけ?」


「それこそ、もらった生徒手帳とかで確認しなさいよ。

まぁいいわ、えっと会場は……ここから西の方向にある講堂よ。」


「わかった。時間もない。早くいこうぜ。」


俺は電子生徒手帳を後ろポケットにしまって優実と会場に向かった。







「私が白銀学園の校長を務めさせてもらっている。長瀬剛力だ。」


檀上で筋骨隆々とした老人が名乗る。

(年齢を感じさせない強さがあるな。)


「白銀学園の校訓は『世の礎となれ』だ。

この学園に入学する若き戦士たちよ。君たちにとって、この学園での生活が未来への糧とならんことを。」


拍手とともに長瀬校長が檀上から降りる。

司会者である教頭から次のプログラムが告げられる。


「生徒会役員による霊石のデモンストレーション。

生徒会は檀上に。」


「りょーかいでーす。」


気だるそうな声をあげた青年が教頭からマイクを受け取って新入生たちの前に出る。

目が細く、ニヤニヤしてるような男だ。


「はいどーも、生徒会長の金井でーす。

えーこれから、白銀で行われている霊石。まぁー分かりやすくクリスタルって言った方がいいかな?」


新入生たちが少しざわつく。

やはりクリスタルを扱えることに興奮しているのだろう。


「ねぇねぇ真。」

「ん、なんだ。」


優実が隣から話しかけてきた。


「デモンストレーションって何するの?」

「まぁ、武闘の軽い練習じゃないか?」


「はーい、新入生の皆さん静かにー。

えーと、今から俺が呼ぶ人はちょっと何人か出てきてねー。

えー、一組代表、阿部義行。二組代表、清水菜々子。三組代表、アルベルト・ローグ。四組代表、相澤疾風。以上四名は前へ。」


金井会長が新入生リストらしきものから目を離した。その視線と目が合った気がした。


「んー、そうだ。君。」


会長がこちらを指差した。

新入生も何人かがこちらを振り返る。


「は?俺?」


自分を指差す。


「んーそうそう。そこの白い髪のメガネかけてる君だよ。」


「マジかよ。」

「ほら会長じきじきのご指名だよ。入学式から人気者じゃん。行ってきなよ。」


優実も笑いながら背中を叩いてくる。


「めんどくせーな。」


席から立ち上がって前に出る。


「はーい、じゃあこの五人でデモンストレーション始めまーす。一組から順に副会長、会計、書記、庶務があいてするからー。まぁ頑張って。」


「えっと、俺は会長とですか?」


「いやいや、めんどくさいから君は……そうだなー、副会長が一組と戦い終わった後で副会長とやって。」


そう言うと教頭の近くにいた生徒会の腕章をつけていた黒髪の長髪の女がこちらにきた。


「待ってください会長!なんで私が二回なんですか!勝手に人増やしたの会長なんですからご自分で戦ってくださいよ!」


「まぁーいーじゃん。それとも何?美琴ちゃんは新入生二人と連続やったら負けちゃうのかな?」


「な!?そんなわけないでしょう!バカにしないでください!わかりました。私が阿部くんと……えっと君。名前は?」


副会長が会長と話してる途中でこちらの名前を聞いてきた。


「自分は…………真、真です。」


下の名前しか言わなかったのを不審に思ったのか副会長はこちらを値踏みするかのようにじろじろ見てきた。


「真君ね。分かったわ。阿部君の後で相手しますから、少々お待ちください。」


話が付いたのを察知したようで会長がプログラムを進行させようとした。


「はーい、じゃあ役員の皆はよろしくねー。新入生はまぁ…………さっきも言ったけど頑張ってね。

あー、大事な物を忘れてたね。先輩である役員は個人クリスタルを持ってるけど、君たちはまだ汎用クリスタルになるよ。はいこれ。」


会長がポケットから透明な石のようなものを投げてくる。きれいに削られている。ダイヤのような石である。


「一人一つ受け取ったねー。あとは霊力を適当に流し込んで使ってねー。それじゃー一組の阿部君から、第一闘技場にいって役員と戦ってきてねー。」


五人はそれぞれ闘技場に向かった。

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