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JSDF異世界戦記  作者: やぶ
状況開始
5/8

2話

首都は英国の部隊によって送電線を破壊され停電をしていた。

暗号名、レキシントン・ホテルと名付けられた高層ビルの最上階のセレモニーホール。突如、照明が落ち満月の光りが差し込む。

ビルの自家発電機が稼働せず照明は点灯はしない。人質たちはざわつく。兵たちが静かにさせようと歩き、人質たちに怒鳴り散らした。隊長は部下たちに警戒を促した。敵兵と人質たち天井を見上げた。ヘリの爆音が旋回したと思ったが敵兵を挑発するかのように窓に近づく。

若い敵兵たちはうるさい蝿は邪魔と言わんばかりに無駄と解るがヘリ、ブラックホークをAKアサルトライフルで撃った。

天井一面の窓が爆風で割れる。床に墜ちた大量のスタングレネードの甲高い音と鋭い光。人質たちの悲鳴の中。天窓から垂れ落ちたファストロープとガラスの破片とともに床に白石指揮の第1分隊は着地した。

近藤は敵兵が目を腕でかばいAKアサルトライフルのマズルを人質たちに向けたのを観た。悲鳴とも気合いとも区別のつかない雄叫びをあげ近藤はマズルの前に飛び出す。フルオートのAKアサルトライフルが吠える。近藤はその場に崩れた。

本間は敵兵の右に周り込みながら撃った敵兵の顔面にダブルタップで弾を射ち込む。敵兵は崩れた。手足が痙攣して最後の生命活動を誇示した。本間は近づきながらその敵兵の頭部をシングルショットを撃った。

隣にいた敵兵は既に両手を上げていた。「getdown!getdown!」AKアサルトライフルを捨て両手を上げた敵兵の後ろから近づきながら叫ぶ。本間はタイラップバンドで後ろ手で縛り上げた。

「1人、負傷。1人負傷者あり!」本間は倒れ込み微動だにしない近藤に走り寄った。



軍議が終わり天蓋の外に出た。

ダヤンは二人を見送り自軍の陣へと戻った。

整列しダヤンを迎える兵に覇気は無い。これでも、共和国内で国元と戦力を争う程の兵団かと呆れていた。むしろ、共和国の戦への備え不足に。それも今夜までだ。

アルベリックを亡きものに、そして長が共和国を纏め上げるまでのこと。だが、アルベリックを庇護するような言葉が自然と口から出た事に自身でも驚く。

国元の長として、どことなく頼り気はないが人を惹き付ける。そんな力のような雰囲気がアルベリックだけではなくガイヤール家にはある。しかし、帝国との戦を長はどうするのか。

「ダヤン殿。先程は。陛下に忠の心をお見せできる機会を与えてもらい感謝いたしますぞ。あのままでは陛下に疑われますからの」

馬上からのジュスタンの声に思考が中断をした。

「いえ。思う存分、お働きください」

「流石はダヤン殿。我らアタニ属に差別が無い」ジュスタンは独り、納得するように何度も頷く。

「陛下に忠を尽す。同じ忠臣ではありませんか」

「おお…ダヤン殿…ですな。同じ忠臣ですな」

何を驚嘆しているのかダヤンには解らないのだがジュスタンの滑稽ともいえる素朴感にどこか、惹かれはじめた。




山から降り平原に移動をした長距離偵察隊の5組の2人はプローンでバスの車内を狙う。上半身にギリスーツを羽織っただけだ。夜間はアウトラインを崩せば良いだけなので偽装は簡単にした。

「バスまで720。脅威は2名。左を脅威1、右を脅威2と呼称」坂井はレンジカードに書き込んであった井戸と管制施設の距離からバスまでの距離を再度計算した。

坂井はスポッタースコープを覗き込む。バスを守衛する敵兵の足元の砂が風に舞い流れる。「驚異1から始める。風、左から」

甲村はレクテルを左上に合わした。

風は勿論、湿気や弾頭を引っ張る重力と地球の自転に影響され真っ直ぐに飛ぶ事は無く、長距離になればなるほど弾道は反れる。それらを考慮し着弾位置を調整する必要がある。

敵兵の右ポケットに貼って有る部隊章に意識を集中した。ヘッドショットなら確実に敵脅威を即座に制圧できるが確実に当て《HIT》させ2中隊を護るのが任務。そして、人を撃つと言う意識を薄れさせる。

セフティをオフにした。軽く抵抗が掛かる所までトリガーを引絞る。

「用意良し」

「撃て。撃て。撃て」

甲村はトリガーを引絞る。好みのフェザータッチに調整されたトリガーが軽い抵抗で落ちた。サプレッサーが竹を割ったような鋭い音が鳴りラプア・マグナムの重い反動が右肩を打つ。

数秒事、敵兵は糸が切れた操り人形のように崩れた。

「脅威1HIT。次、脅威2。右、10メーター」

レクテルを向ける。敵兵は異変に気づき倒れた兵に近づく。

弾道と敵兵が交差する位置にレクテルを合わした。トリガーを引絞る。「用意良し」

「撃て。撃て。撃て」

崩れた敵兵は手足を痙攣したように動いている。

「脅威2に再度射撃。無風。いつでもどうぞ」

トリガーを引絞る。

2発目のラプア・マグナムは敵兵の生命を奪う。

「3つ」

甲村は静かに呟いた。




アルスは城を抜け出すと砦、古の戦の時に造られ今では朽ち果てるまま放置された砦にいた。召喚する怪異の大きさを想うともっと広い所が良いとも想うが時間が無い。

中庭の地面に方陣を描く。

杖を握る手が汗ばむ。ローブの裾で拭い去る。

緊張。これから唱える魔導は師匠が永年追い求めいた魔導。結果が相違があっても答えのきっかけになるはずなのだ。そして、師匠を越えるきっかけにも。

再び汗ばむ手を拭い、章を唱えた。光り輝きはじめた。



「I am the second secretary of Otaki at the Embassy of Japan.Thank you for rescuing.How is the soldier's wounds?」手当てを受けている近藤に1人の男、薄汚れているワイシャツ姿の男が近づきながら言った。

「え?まさか。あなた達は自衛」本間は立ち上がり手で制止した。

「大滝書記官。私達はここには居ません。意味はお解りいただけるかと思います」

「そうでしたか。その方の具合はいかがですか?」

「防弾装備のおかげで致命傷にはなってません。骨にヒビが入って気絶してる程度です」

「良かったです。気がついたら知らせてください。改めて感謝させていただきたい」

「存在しない者には感謝は不要ですよ」

大滝は戸惑い自分の足元を見てから窓から月に視線を向けた。

「独り言です。今から独り言を聴いていただきたい。人質を代表して自衛官に感謝の言葉を述べたい。救って下さりありがとうございます。私は貴殿たち,皆様の事を、ご恩を一生忘れません」深々と頭を下げた。

「これで失礼します」大滝は涙を拭き立ち去ろうと歩き出した。「書記官!言い忘れてました」

立ち止まり振り向いた。帰国してからも守秘義務を守れと言われると思う。

「どういたしまして」直立不動で敬礼をする本間の笑顔は悪戯をしている子供のようだった。

大滝はにやりと笑い、呆れたように顔を振ると深々と頭を下げ小走りで立ち去った。

近藤は息を吐き出し気がついた。

「気がついたか。まだ横になってろ。しかし無茶しやがる」本間は方膝を付き様子を診た。

「すまん、体が勝手に動いちまった」

「肋骨がいってる程度だと思うが医務官に看てもらえ。これで危険手当が倍だな。心配させた詫びとして打ち上げは近ちゃんの奢り。これ決定」

「かんべんしてくれ。倍って言っても三千円だろ。奢ったら破産しちまうよ」

「上官命令」にやりと笑う。

「こんな時に上官顔かよ」

「さっき。人質の1人からお前さんに感謝の言葉貰ったぜ。良かったな」

「そうか…」照れた顔をして瞼を閉じた。

「ヤバい!」近藤は目をカッと開けた。

「どうした!」

「ウチのに怒られる」

「まだ、式も挙げてないのにウチ呼ばわりですかい」

本間はこんなバカ話しを又、出来るようになった近藤の状態に安堵した。



国元の物見の隊と共にベリアラス郡の郡長、グレゴワールの騎馬隊はダヤンの陣に駆け込むように着いた。

「万…ですか」ダヤンはグレゴワールに木のコップに入れた水を差し出した。

グレゴワールはひと息で飲み干す。

「そうだ。万の軍団。旗は帝国軍団のベルンハルトのだったよ」

「良く旗がお解りになりましたね」

「なに、旗が良く観える所まで行っただけだ」グレゴワールはにやりと笑った

「陛下に遅参の詫びを申し上げたいが、戦だからな。策を聞こうか」

「万の軍団が近づくと解る策の作になりますが。ジュスタンの騎馬隊を囮に、私の軍団で挿す。そんな所です。それとバリスタの掩護が期待できるはずです」

「ジュスタン?」

「テヴディア荘の騎士です」

「ああ、アタニ属か。なら、そのジュスタンの騎馬隊で削り取る。薄くなった所を我と貴殿の騎馬隊と歩兵隊で広げる」

「それだとジュスタンの騎馬隊には相当な犠牲がでます。せめて、長殿か私の騎馬隊も加わることに」

「アタニ属だろ。潰れても構わんと想うが。違うか」

「ええ、そうですね。ですが、今は貴重な戦力です。それに陛下が掩をしろとの仰せです」

「勅命か。なら、貴殿の隊で掩をしろ。陛下は相変わらず。お人好しだな」グレゴワールは呆れたように笑った。

「それに貴殿。噂とは違って貴殿もお人好しのようだ」

「噂…ですか」

「冷血と聴いているが。あくまでも噂だ。噂は宛にならんな」

従者がグレゴワールは戦意高揚のために配られる葡萄酒は戦の判断力が鈍ると断り、水を飲みほす。

「アベル様がいれば良いのだがな。この分では戦になっているであろう。何か聴いてはいないか?」

「いいえ。国元でも知らないようです。お戻りになっている所かもしれませんが。よしましょう、今はアベル様を期待されるのは。万の軍団を観たのは」」ダヤンは地面に剣先で線を引き地図を描いた。

「そうだな、ここだ。」グレゴワールは自身の剣で平原の所に印をつける。

「そうですか。我々は左から、長殿は右から真ん中に歩兵、弓兵を。で、どうでしょうか?」

グレゴワールは頷く。グレゴワールの騎馬隊は山岳を背負うことになる。


雲。炭色をした雲が空に湧く。

平原を進む帝国軍団の先頭を進む騎士、ベルンハルトは苦い汁を飲んだような表情をしていた。

ルイトポルト侯爵より下知の勅命に今でも納得がいかない。「ガイヤール家を滅ぼし、クローディア妃を帝国にお連れせよ」まるで盗賊か野盗の類いではないか。そして、怪異使いを配下として軍団に入れる。

戦の力にはなる。だが、誉れ高き己の軍団に怪異は屈辱である。

放った斥候から共和国の斥候と戦になったと報が入ったと従者のフォルクハルトが言った。

「陣を張る」というとベルンハルトは剣を掲げ合図をした。掲げた剣が重く感じる。

軍議はあえて開かない。共和国の戦力いくさりょくは、たかが知れている。むしろ、無いとも言える。

魔界との大戦おおいくさが終わり、ガイヤール家は剣聖アベルのガイヤール軍団を解散させ、今では盗賊と怪異の類いは騎馬隊と民の兵団が退治をしているという。その中で障壁となる騎馬隊はデリンガーの騎馬隊が龍の背に追い詰めたと伝令があった。

そして、最も障壁となるラルカンジュ。大戦の時に焰の魔導騎士との字名で呼ばれ、剣聖を助ける活躍をした。齢、千年は越しているとは言え焰の魔導は未だ衰えてはいない。そのラルカンジュは数日、城には居なく戦には出ないとの話しなのだ。これが事実なら勝利を手中に収めたものだ。だが、戦が十人貴族会が言う通りになるはず訳でもなく。例え、そうなるなら戦を侮辱する事になる。全ての力をもって戦に挑むのは変わりない。でなければ、世界を救い給うたガイヤール家に礼を失することになる。千人隊の長にはただ一言「全ての戦力で共和国を滅ぼす」とだけ伝えている。

ベルンハルトは馬から降り、自らの手で餌と水を与えた。配下の騎馬隊は側でやはり、そうしている。

雷鳴が1つ、山岳で鳴った。

「雨になるな」ベルンハルトは空を見上げ呟いた。



廊下の窓をC4プラッチック爆薬で爆破し侵入した岡本指揮の第2分隊はJGVS-V8、暗視装置を下げた。眼前に広がる緑の映像。

分隊は厨房に侵入をした。

PEQ-15Aの絞りを最大に開放しIRレーザーをライトのように照射する。

4人は物陰にマズルを向けながら進んで行く。

「クリアー」

「オール、クリアー」

隣りの部屋は食品と食器の貯蔵室パンドリー。前衛の2人が貯蔵室のスイング・ドアの両端に着く。後衛の2人は厨房の反対側のドアに移動して廊下にマズルを向けた。室川2等陸曹が岡本に合図する。スイング・ドアの隙間から灯が漏れ動いていた。2人は交差しながら突入をして部屋の角に素早く移動した。

敵兵は目潰しのつもりかライトを向けた。

暗視装置のキルフラッシュ機能が働き一瞬、暗くはなったが照度が調整され視界には影響はない。

電源コードで手足を縛られ痴呆けたような表情で全裸の白人女性の首に左手を巻きつけバトンライトを持ち右手で拳銃の銃口を敵兵は女性の頭に押し付けていた。

足元にはボロボロになった衣服姿の女性たちが倒れていた。

「Drop your weapons!get down!」室川は怒鳴る。

岡本はIRレーザーを絞り一本の線にした。肉眼では視えない緑色の光線は敵兵の額に当たる。

敵兵は現地語で怒鳴り喚く。現地語は解らないが自分を逃がせ、さもないと人質を殺すとでも言っているのだろうとは思う。だが、人質の女性たちが何をされたのかは解った。

「てめぇ…何をしたんか分かってるんだろな…」怒りに身を任せるように岡本はHK416のトリガーを絞り込む。サプレッサーが咳き込んだ。敵兵は後頭部から血を噴霧させ人質と覆いかぶさるように崩れ落ちた。

ショックで泣き叫ぶ人質の女性。連鎖するように床に寝転んでいる、他の女性たちも半狂乱で喚き散らす。

岡本はマズルを向けながら近づく。敵兵の亡骸を床に転がし拳銃を拾い上げダンプポーチに入れた。

女性たちに、もう大丈夫と声をかけたいが泣き声は大きくなるだけだ。岡本は室川に異常なしの合図すると2人は収納室から出た。女性たちが落ち着くまでこのまま放置をするしかない。

「小隊長。岡本です。貯蔵室にて1人制圧。人質の女性6名確保。至急、医務官とWACの手配をお願いします。それと、女性用の替えの衣服が必要と伝えてください」

「負傷者が出たのか」

「いいえ。人質がレイプされてました。医務官以外の立ち入りを禁止にしてください」

「了。手配する。小隊全隊へ通達、貯蔵室は入室禁止。送れ」白石は中隊本部に医務官の要請をした。

岡本はやり場の無い怒りをぶつけるように赤色のケミカルライトを折りスイングドアの下に叩きつけるように置いた。


「お前ら、何、やらかしてんだ。なぁ、おい」第1分隊の田中1等陸曹はタイラップコードで縛られフロアーの床に這いつくばっている捕虜の頭を踏みつけた。

「痛い。やめて痛いです」捕虜は懇願した。体重を田中は掛ける。

「裕太!止めろ!捕虜虐待だぞ!」佐藤3等陸曹が肩を掴み引き剥がす。「チッ」舌打ちをした田中は這いつくばっている捕虜たちを鋭い目つきで睨む。捕虜たちは田中の顔を見ないように顔を伏せた。


山田指揮の第8小隊は建物の陰から陰に小走りに進んでいた。無言で、まるで手話のようなハンド・サインを使い分隊と連絡を取り合う。

前方に蛍のように点滅をする火が2つ観えた。目指す家畜小屋の入口に敵兵2人がタバコを吸っていながらしゃべっている。

山田は合図する。分隊は裏口に回る為に闇に消えた。マイクを擦り、準備よしとモールス信号を送った。


第9小隊は、広場を挟み現地司令官がいる建物の周辺部に展開をしていた。2人の男の言い争う怒鳴り声が聴こえる。

小川は宮崎の肩に置いた手で2度揉んだ。宮崎は自分の肩口まで手を上げ合図をする。

「フタキュウより用意良し」

「フタマルよりフタキュウ。二人目の将官は捕縛。CIAが欲しいそうだ。繰り返す二人目の将官は捕縛。送れ」

「フタキュウ、了」。


島の分隊、第3分隊はバスにマズルを向けながら近づく。そばに敵兵2人が倒れているのが観えた。

バスの中の敵兵は既に警戒をしているのだろう。島は無線のマイクを指で擦りモールス信号で準備良しと中隊本部に送信した。

「フタマルよりフタロク。車内の脅威は1人。長偵で処理する」

島は無線のマイクを指で2回、擦りつけた。

空気を切り裂く音が駆ける。窓が割れ血飛沫が舞うのが観えた。車内から悲鳴が聴こえた。

「GO!」

島はバスに大垣2等陸士ともに突入をした。他の班はバスを回り込む。

通路には顎から上が消し飛んだ敵兵の屍体が転がっていた。

「Army!Godown!Godown!」島と大垣は通路を進みながらをマズルを座席に座り込む人質たち向ける。人質たちは悲鳴を上げ前の背もたれに顔を埋めすすり泣いていた。

外から数発のサプレッサーが咳き込む音が聴こえた。

「Asitis.keepquiet」立ち上がった人質たちにマズルをを向け左手で座るように合図を二人はした。人質は悲鳴を上げ前の背もたれに顔を埋めすすり泣く。

「車内はクリアー」島がAKアサルトライフルを取り上げ肩に担ぐ。

「外周もクリアーです」

「フタロクからフタマル。人質確保。5人排除。送れ」

「設備車両、クリアーです。損害なし。」

島は外を見る。7班が車両から降りてくるのが見えた。

「フタロクからフタマル。オールクリアーです。」


AH-6キラーエッグからレキシントン・ホテルそばの建物屋上に降りた長距離偵察隊の酒井1等陸曹と重松2等陸曹の二人は周囲を警戒した。

「対空ミサイル!6時の方向。パラボラアンテナが有る建物の下」観測手の重松が合図を送る。

敵兵は対空ミサイルを起動させて肩に背負い込む。

酒井はM110A1をダブルタップで撃つ。対空ミサイルの照準器が破裂するように割れた事に驚き対空ミサイルを放り投げた。転がるミサイル・ランチャー照準器に凝視する敵兵。後頭部を破裂させ崩れ落ちた。


矢谷1等陸曹は骸となった敵兵の裾で濡れたカランビットナイフの刃を拭う。西部劇のガンマンのようにカランビットナイフを一度、回転させると腰のシースに収めた。腰の拳銃を抜くとトラックの運転席側にまわる。ドアを開けマズルを車内に向けた。運転席には敵兵はいない。矢谷は拳銃からHK416に持ち替え掩護の位置に移動をした。

太田1等陸曹はトラックの荷台に乗り込む。

丸山2等陸曹は二人を見届けると援護の位置をかえた。

設備車両を制圧した7班は設備車両の隣に駐車してあったトラックを調べはじめていた。

「おっちゃん。当たりだ。BC、サリンだと想うが有りやがった」と太田は荷台の梱包箱をそっと閉めた。

ミサイル発射台の周辺部を警備する敵兵がゆっくりと近づくのが丸山は観た。「こっちもです。丸山から小隊へ警報。北西から脅威、5人近づく。送れ」

太田は荷台から飛び降りると幌の天井にIRストロボライトを点滅させ放り投げた。

「分隊長、太田です。ストロボのトラックにBC、サリンが積んであります。送れ。」

この情報は小隊本部を経由でSOCOMに連絡され。そして、CBIRF《化学生物事態対処部隊》が回収に来る手筈になっている。



雷鳴が轟く。風が乱舞する

魔導数式をラルカンジュは唱え続け両手を広げる。身体から聖素の光りが溢れ出す。

意識は無く、ひたすらに数式を唱える。

邪素が空に溢れ出す。城の中の封印紋章から魔界からの邪素が空に浮かぶ。

ぶつかる。空で聖素と邪素がぶつかり合い雷光となった。



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