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JSDF異世界戦記  作者: やぶ
召喚
3/8

3話

荒野は2つの満月の光を受け輝くように明るい。

兵団は境に向け進んでいた。

バティストは満月を観た。2つの月は東と北に別れ落ちはじめていた。

月の位置から荘境に着く頃には日が登る頃かと想う。

兵団の歩みを止めさせ短時間の休息を命じた。す

「アルス様、お疲れではないでしょうか」

「大丈夫と言いたいですが、駄目ですね」

アルスは馬から降り一息ついた。

「アルス様も馬に乗れるようになれば良いのでしょうな」バティストはつい笑みを漏らした。「不敬でした」頭を下げた。

「いえ。兄様のように馬と心まで通わすようになりたいですね。今の私では何百の時が必要になる事でしょう」アルスは照れ笑いした。

6番隊は結局、国元に留まる事になった。駄々をこねるようにリオネルは反対したが父様と姉様を守れるのは6番隊しかおりませんリオネル殿にお任せしたいとのアルスの言葉に納得したのだった。

「おい、バティスト。俺の所は先行させてもらうぞ。いいな」短躯で肥満気味の男がそう言い捨てると木材を積んでいる馬車の群れに合図をしながら先頭の馬車に乗るために歩き出した。

「レアンドル!すまん。頼むぞ」

「金貨10枚の仕事だからな!このくらい何とも思わん」レアンドルは振り向き手を上げ応えた。

「あの方は」

「木工ギルドの長、レアンドルです。我らの陣を作るのに先に行きます」

「護衛の兵が居ないようですが」

「職人の集まりですが、屈強な男共です。いざとなったら自分たちで戦いますよ。それにレアンドルか兵を嫌っておりましてね」

「そうでしたか」アルスは見送るように馬車の群れを観た。

地平線から土煙が立ち昇る。騎兵の群れが向かって来るのが観えた。

「兄様?」

「アベル様ですか」バティストも地平線に目を凝らす。

騎馬が地平線を埋め尽くす。蹄が地面を響かせる。

旗が観えた。帝国騎馬隊の紋章の旗が翻る。

「違う。アベル様では無い!帝国だ!」

騎馬隊はレアンドルたちの馬車の群れを飲み込む。慌てふためき散らばろうとする馬車の群れ。矢を受け馬車から地面に落ちるギルドの男たち。

騎兵が放った弓矢がアルスのそばの地面に矢が刺さる。

兵たちは陣営を組みだす。

「弓隊!放て!」バティストは声を張り上げた。

放物線を絵描き飛ぶ弓矢。騎兵は盾を頭上に掲げた騎馬隊は数騎の落馬した騎士を出しながらも迫りくる。

和議は失敗したのか。兄様はどうなったのだ。

「前衛!行け!」

槍隊が密集し長槍を付き出し駆ける。ぶつかる騎馬。

「アルス様、後ろ手にお下がりください!」バティストが叫びアルスの前に立ちふさがる。

「いいえ」アルスはバティストの前にでた。杖を横に降る。

兄様をどうした!憤怒がアルスの身体から沸き上がる。

取り囲もうとした騎馬隊の足元から豪災が吹き挙がる。炎に舞い挙がる数十騎の騎馬。

前衛の長槍隊は驚きと歓喜の叫びが上げた。

「私が炎の壁を造ります。バティスト殿は横から攻め上がってください」

「かしこまりました。4番隊はアルス様をお守りしろ。横から攻めるぞ、合図をしろ」バティストは怒鳴ると駆け出した。

角笛が鳴り響く。

兵たちが駆け出す。密集し隊列を組みながら走る。

投石兵が投石機を頭上で回し石を放つ。落馬する騎兵たち。馬乗りになり兜や鎧の隙間を狙い兵が剣を刺す。隙間から鮮血が吹き上がり騎兵は断末魔の叫び声を挙げ身体は痙攣する。

次々と投石兵が落馬させ騎兵に群がる兵たち。落ちた騎兵の兜棍棒を叩き込む。

槍で身体を貫き通される兵。凝縮した肉が矛先を巻き込み引き抜く事が出来ない。槍を捨て騎兵は剣を抜く。近くの兵を邪魔だと言わんばかりに頭に剣を叩き込む。近い距離から放たれた弓矢。弾く鎧。

術式を唱えアルスは杖を振り上げた。豪炎が密集する騎馬隊の中を駆け抜けた。炎と混乱が騎馬隊を襲う。

数回で炎の壁は創れなくなる。アルスは杖を握り直した。炎を操る術式を自在に操るのはまだま力は足りない。無理をしてもこのままでは騎馬隊の餌食になる。力が欲しい。

杖の先から炎の矢を投射した。兵を斬りつけようとした騎兵の胸を貫く。一瞬にして騎兵は炎に包まれ声にならない叫びを挙げ馬と共に地面に倒れた。

これが戦場…アルスの思考が交差する。私は力が欲しい。

騎馬隊の後ろ手に周った兵が叫ぶ。「トロールだ!トロールが来る!」

緑色の裸体にボロ布を巻き、巨木の枝のような棍棒を振り回しながら数十のトロールが迫りくるのが観えた。

トロールの緑色の身体は悪夢の男達をアルスに想い出させた。

一斉に放たれる弓矢。

トロールの巨体に刺さるが致命傷にはならない。

憤怒か怒号か、吠えながら棍棒で兵たちを薙ぎ払う。吹っ飛び地面に叩きつけれた。

アルスも炎の矢を放つ。身体の奥まで深々刺さり燃えトロールの身体を焼くが炎は小さくなった。

巨体には効かないのか、力が弱まったのかアルス自身にも解らない。

私は力が欲しい。皆を護れる力が欲しい。アルスの意識が混沌し始めた。何が頭の中を過ぎる。数式。形にはならない図形。

投石兵がトロールの顔面に石を放つ。鼻を潰された痛みの咆哮を挙げグラつくトロール。

長槍が身体に刺さる。浅い。兵は満身の力を槍に込めた。深々と槍は刺さる。

トロールは槍をへし折り兵に棍棒を叩きつける。頭を四散させ倒れる兵。

兵団の圧力が弱まり徐々に騎馬隊が押し始めた。

バティストは躊躇する事なく撤退の合図をした。角笛の音が響く。バティストはアルスの元に駆ける。

「国元にお逃げください。」

アルスは黙ったまま虚空を観ている。

「アルス様!」頬を殴りつけた。

「え?はい。バティスト殿?」

「お逃げください!アルス様!馬だ!馬を引け!」

乗り主がいなくなった騎馬隊の馬が兵に引かれて来た。

馬に跨り手綱をアルスは取った。

「首に掴まりください」馬の尻に棍棒を叩きつけた。馬は駆け出す。

意識がハッキリと戻ったアルスは馬首に掴まった「バティスト殿!」

「アルス様をお守りするぞ」迫りくる騎馬隊を睨みつけバティストは落ちていた剣を拾う。

周りの兵は構え直した。




赤い陽が地平線の山々に落ちはじめた。

FOBサンタフェには他国の部隊が集結をしていた。

春山指揮の車両部隊は英国の隊員に誘導され停車した。

部下たちに下車を命じ自身も降りると春山は軽く屈伸運動をしてから方面司令官を探した。

「有朋自遠方來、不亦樂乎」

後ろから掛けられた声に振り向くと懐かしい顔に驚くと笑みを浮かべた。

「柯上尉(大尉)

「春山少尉、お久しぶりです」左手で右拳を包み胸元で構えた。

春山も同じ構えをすると二人は硬い握手をした。

「失礼します。この方は」成瀬2尉は怪訝な表情をする。

「台湾海軍陸戦隊の柯少校。台湾独立戦の時の戦友だ。大変にお世話になったんだよ」

「お世話になったのは私の方ですよ」人懐こい笑みを浮かべた。

「成瀬准陸尉です。宜しくお願いします」

「こちらが宜しくお願い申し上げます」

成瀬と柯は握手をした。

「上尉、方面司令は何処にいるかご存知ですか。変更時間について意見具申を言いたいのです」

「あちらです」柯はドラム缶が大量に置かれている所を指差した。将兵が集まり談義しているのが観えた。

「失礼ですが、先程からお二人の階級がチグハグですが。何かの冗談ですか」

春山と柯は顔を合わせ笑う。

「あだ名みたいなもんさ。配属先の上官が柯上尉。その時の俺の階級が1尉だったから少尉」

「参戦してくれた部隊は義勇兵の部隊で謎の部隊。あくまでも謎で兵士の名前も謎。階級でしか呼べませんでした」

「その時は、とりあえず小隊全員、退官して私個人として参戦していたけどな。隊と政府には迷惑をかけてないはずだ。今なら堂々と部隊を派遣するかもしれんが」

「堂々と言っても」成瀬はニヤリと笑う。

「そう、堂々と謎の部隊」春山もニヤリと笑う。

「少尉。部隊に戻ります。お会いでき感謝です。武運長久祈ります」左手を右拳で包み胸元に構える柯。

春山も同じ構えした。

「武運長久を。君去春山誰共遊,鳥啼花落水空流。如今送別臨溪水,他日相思來水頭」スラスラとは言えないまでも春山は言った。

「良く覚えていました」柯は手を差し出す。

「友から贈られた言葉は忘れるはずはありません」

二人は固い握手をした。




赤い朝日が地平線の山々から登りはじめた。

陽の光の中、荒野を駆けるアルスは馬上で泣いていた。己の力の無さが招いたことに泣いていた。

身体は馬上で激しく振られ砕けそうになっているがそれも構わない。

いっそ、砕け散り、この世から消えて無くなれば良いとも想う。

意識が混濁しウトウトし始める。

頭の中に光り輝く冷たい線が走る。線は複雑に走り魔導数式を描き始めた。恐怖。恐怖が身体の中から湧き上がる。線の動きを止めようとすれば止めれる。忘れようとすれば忘れられると解っていた。

だが、その数式を見たい欲求が勝る。アルスは解った。理解したのだ。13番目の魔導数式。そして13基の魔導数式を組み合わせると師匠ラルカンジュが求めいた魔導方陣が完成すると。

師匠は何を召喚するつもりかは知らないがこの完成した方陣を使えば火竜級の怪異さえも使役として召喚できるのではないかと想う。いや、それ以上の何かを。

冷たい光は動きを停め魔導数式は完成した。恐怖で鋭い叫び声を挙げ覚醒した。馬から転げ落ちた。

身体は冷えと恐怖から震えていた。アルスは地面に四つん這いになり吐いた。

フラフラと立ち上がる。身体が重苦しいが馬に乗り手綱を握る。城、師匠の部屋に戻り方陣を完成させたい欲求がそうさせた。


アベリックは城の地下に降りる階段を降り

鍵を差し込み重々しい木戸を開け、牢獄が立ち並ぶ地下室に入った。

前領主。いやこの地を支配していたと言うべきか。穢れのオークの王にして残忍なる将軍と呼ばれたデルクールが居城としていた当時のままだった。

牢獄の前を次の間に向け進んていく。投獄され者たちの阿鼻叫喚が聴こえてきそうだ。

聖騎士の1人ラブハムがデルクールの残酷な拷問で死去した。その霊は毎夜、地下から這い出し城を徘徊していたとアベリックは幼い頃に乳母から聴いたことがある。

ラブハムの怨みと未練の深さはを想うとアベリックは我が身のように心が引き裂かれるようだった。

次の木戸を開けた。他国人から見るとガラクタと想われる物が乱雑に置かれた部屋の中央に剣が床に刺さっていた。

5千の時を過ぎても刀身は鈍い光を放つ。剣から聖素が放たれているように感じる。武具の類いは興味の無いアベリックでもこの剣だけは美しいと感じる。

聖なる森の乙女が祝福を与えしモリヤ銀の剣。始祖アベルの剣。

ラルカンジュは墓を創る事に猛反発しその他代わりとラブハムの霊を鎮めるために部屋の真ん中に刺さっているが今では始祖アベルを奉る具像になっていた。

アベリックは剣に語りかける。まるでそこに始祖アベルが居るがの如く。




隊列の中程に停車してある89式装甲戦闘車から降りた山田2等陸尉が軽く屈伸をしていた。

車両から降りた畠中陸曹長が降り愚痴をこぼす。

「輸送中の隊員は荷物。荷物は愚痴をこぼさないもんだ。とは言え半日乗り放しは辛いわな」山田は豪快に笑う。

「大将は緊張されないのですか」このタイミングで笑う小隊長は不謹慎とも想う。

「今から緊張してどうするよ。訓練通りにやれば大丈夫だ。でもお前さんは実戦は初めてだから無理もないな。俺ぐらいになると朝の散歩みたいなもんだ。お前さんも場数をこなせば慣れる。とは言え俺達が活動する世の中ってのも考えもんだ」

無線が山田を呼んだ。

「フタハチ」

ヘッドセットに集中しながら山田の顔から笑みが消える。

「フタハチ了」

畠中は不安になる。まさかの作戦中止。

山田は無線のチャンネルを切り替えた「山田から各員ヘゼロ・アワーはマルヒトマルマル。移動開始はヒトヒトマルマル。それまで充分に休養しとけ。送れ」

畠中は安堵の息を吐く。俗に言う、山田のスイッチが切り替わったと想う。

南東から爆音が近づくのが聴こえた。

V-22Jオプスレイ3機が砂塵を巻き上げ着陸した。

「フタキュウ、了」小川2等陸尉が応答をする。

「決まりか」宮崎陸曹長は小川の表情を読み取る。小川は頷く。

無線で小隊全員に指示を出す小川を尻目に宮崎はオプスレイを眺めた。

救出した人質たちを載せ『かが』に還る機体と重傷者、そして…

「どうした?糧食、取りに行くぞ」小川は先に歩き出した。

「今、行く」俺は還りもFVで絶対に還る。89式装甲戦闘車に触りながら小川の後を追った。




陽の光が南の塔の窓に当たる。

クローディアはゆっくりと目覚めた。

ベッドから起きると城内の騒がしい雰囲気に気がついた。収穫祭までにはまだ日がある。

「クローディア様、お目覚めでしょうか」城女中長ジョアンナがドア越しに語りかける。

居室に招き入れたクローディアは「何かありましたか。城内が騒がしいようですが」と水差しから洗面台に水を指し入れるジョアンナに聴いた。

ジョアンナは一瞬、表情を硬くした。「帝国との戦の準備で騒がしいのでございます。兵団を招き入れる準備で。アベル様とアルス様は既に戦場に出立されました。陛下からお話しがありましょう」一礼をすると居室から退室をした。


城下町の広場は彩り取りの旗が風に靡く音が響いていた。

テヴディア荘の騎兵、兵団から成る軍団(レギオン)は広場に座り込み荘の女子供達と城女中から給仕されながら麦パンと羊肉の焼き肉を葡萄酒で食べていた。

「帝国だって?」

「ガイヤール家が帝国と何かやったんじゃないか?」

「何を?」

「さあ?例えばだ。クローディア様を嫁っ子によこせ、嫌だ。だったら戦ってな」兵は骨を噛み砕くと骨髄をしゃぶる。

「すこぶる別嬪って話しだからな。一度は観てみたいもんだ」

「クローディア様は俺らの歳にすっと」指を折り数を数える。「12か14か。熟れ頃だな」

「エルフは違うかもしんねいぞ」しゃぶり尽くした骨を捨てると目の前の大皿から肉を取り上げ喰らいつく。

「どうでも良いがな。収穫が始まる前に戦が終わんないと大変だぞ」木のコップで葡萄酒を飲んだ。

「そうだな。荘長様のために麦を刈り取るのも戦をするのも俺ら。楽じゃねえの」

ロムルテリア郡の軍旗を掲げた軍団が着た。

「おうおう。ロムルテイアもか!確かに大戦だ!」

「魔導大戦のように語り継がれる戦になるな!」

「それならよ、戦場で活躍すれば騎士様に取り立ててくれるかも!」

テヴディア荘の兵たちは歓喜と興奮の渦となった。


アラカザド山の中腹にそびえ立つ荒城。

5千の時の前、冥界からの侵略者、ボルザークが居城としていた城。

大広間の空間に珠、蒼白の光る線と黄金色の光る線が渦巻く珠が浮かんでいた。

火花が突如として珠から放たれる。珠は大きくなり空中に方陣を絵描き出した。

激しい光の方陣。強い風と激しく光が部屋に満ち溢れた。

方陣の中からラルカンジュが現れ方陣は消え去った。暗闇になった大広間。亀裂が走る壁から赤い光が漏れ、亀裂がまるで生き物のような鼓動をするのをラルカンジュは見た。

「馬鹿な!封印が解かれ始めてるじゃと!」

ラルカンジュは杖に火を灯す。急ぎ城外に駆け外に向かう。封印する為だけに生かされてる生命を友を救うのに使うのは罪と言うおつもりかと問い掛ける。

それとも我が命の終わりが近いのか力の衰えかなのか。戻ったらアルスに封印の儀のか跡を継がせるしか無いのか。酷じゃあまりにも残酷じゃ。

ラルカンジュは城外に出た。麓の三日月湖に浮かぶ城が観えた。

ワシが残した不始末はワシが片付けるのじゃ。

ラルカンジュはそう想いながら封印方陣を地面に絵描き始めた。




サンタモニカと米海兵隊によって名付けられたFOBは陸上自衛隊施設科の手により前線基地としての稼働準備に入っていた。

2人の隊員がFOBの外周にフェンスの設営をしていた。

「たかが仮設補給基地に金網は要らねじゃないか。くだらねえー仕事さすなって」佐竹2等陸士は金網を張る手を停めた。

「アメリカさんが補給基地として使った後は駐屯地だか基地だかで使うって話しだぜ」若林2等陸士は金網を張りながら応えた。

「は?それを俺達が造るってのか?」

「派遣法のおかげだぜ。クソ」若林も作業の手を停めた。

改正された自衛隊海外派遣法により友軍の要請により糧食、武器弾薬を安易に貸与できるようになった。野党は武器3原則に抵触するとの指摘や政府は武器輸出、日本を武器商人の国にする危険な政府と一大ネガティブキャンペーンを貼ったのだが改正されたのだった。

今も駐屯地から普通科小隊に護られた73式大型トラックの護送団が多量の物資を運び入れた所だった。

「百歩譲って自衛隊で使うって話しだったらよ。良いとしてだ。なんで他国の軍の為にしないとならないんだよ」佐竹は足元にある金網を蹴る。

「貴様ら!何をしとるか!」施設科の河野2尉が2人の後ろから激が飛ぶ。

「すんません。小隊長。ですが、これだけの物資と施設をアメリカさんに与えるって話しじゃないですか。自分には理解出来ません。これじゃアメリカさんのコンビニですよ」

河野は当然、人質救出作戦の事は知っているが知る必要の無い者には知らされてはいない。溜め息を吐く。

「貸与だ。後で何かで返してもらうのだろう。自分にも解らんがな。とにかく、構築を終わらせろ。駐屯地に帰隊するぞ」と言うと他の隊員の様子を見る為に歩き出した。

「なんだか、いつもの小隊長と違うな?」佐竹は渋々ながらも作業を開始した。


「まったく寒いぜ」

小型トラックの助手席に座る道川は暖房を最大にした。

トラックの護衛をし着いた道川の小隊はそれまで護衛任務についていた小隊と入れ替わり施設科隊員の護衛任務に着いた。

隊員たちは要所に着き朝まで任務を遂行し設営完了後、施設科と共に駐屯地に帰隊する。

道川は私物のタブレットを出し動画サイトアプリをタップした。「オイオイ。Wi-Fi着て無いのか。使えないな!」タブレットを運転席に放る。

「寝るしか無いか」席を倒し腕を組むと眠り出した。

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