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変なやつまとめ

04 - 唐揚げ

作者: 櫻井ゼノン
掲載日:2026/04/07

「唐揚げにレモンかける人~!」


飲み会の席でスーツ姿の彼は明るくそう言いつつ、

誰も声をあげなかったのに、レモン汁を唐揚げにかけ始めた。

なので私はそのことを咎めた。


「ダメだよ、誰もやって欲しいって言ってないんだから。食べ物を台無しにしちゃってるよ」


「あっ、そうだよね。申し訳ない」


彼は一歩下がって、地面に頭をこすりつけ、

唐揚げが乗っているテーブルに向かって土下座をした。


「ごめんね。ありがとう。ニワトリさんありがとう」


「ニワトリはそう言われても喜ばないと思うよ。死んじゃってるし」


「ああっ!!」


彼は泣き崩れた。


そうして彼はジャイナ教徒になった。

私もジャイナ教徒になった。


「やっぱりアヒンサーは徹底しないとね」


彼は休暇中の旅行先で自然に生きる動物たちを見て、

満面の笑みを湛え、慈しむような視線を送っていた。


「空気中にも水の中にも、体内にも微生物はいるけどね。勝手に傷つけちゃってるかも」


「ああっ!!」


彼は泣き崩れた。

そんな彼に私は一言を添える。


「…でも、私たちが死んでしまったら、償うこともできなくなってしまうよ」


「しかし、生きていればそれだけで生き物を傷つけてしまう…」


「そう。結局自分に都合よく生きることしかできないんだ。もっと傲慢に生きよう」


彼は私の言葉を聞いてハッとし、ジャイナ教徒であることをやめた。

私もやめた。


彼は再び飲み会で唐揚げにレモン汁をかけるようになった。

そして、飲み会のたびに他人の唐揚げにレモン汁をかけ続け、会社をクビになった。


ちくしょう一体誰がこんなひどい仕打ちを。

私は飲み会の彼のいなくなった席を見つめながら、

もぐもぐとレモン汁のかかった酸っぱい唐揚げを頬張った。


あー、やっぱ唐揚げはうまいなぁ。

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