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8.友達との休日

朝、特に目覚まもかけずに10時頃目が覚める。


横を見ると戸田がスヤスヤと寝ていた。

寝姿もイケメンだ。

寝起きに自分の部屋に友達がいるのは初めてで、現実感のない、なんだかソワソワした気持ちになった。


戸田は昨日はけっこう遅くまで漫画を読んでいたみたいで枕元に積み重なった漫画と部屋の電気のリモコンと戸田のスマートフォンが置いてあった。

僕は普通に早く眠くなったので戸田に「電気はつけてていいよ」と言い、父のアイマスクを借りてつけて寝たのだ。

漫画は20巻程まで読み進めたようだ、丁度1番のライバルとはちゃめちゃに戦ってる辺りだろうか。

セリフがそこまで多くないバトル漫画と言うのもあるけど、やっぱり平均よりは読むのが早いタイプだと思う。



なるべく音を立てないように廊下に出て、いつも通り歯磨きと洗顔をする。

母はもうすでに仕事に行っており、まだ気配を感じていない妹が寝てるか出かけているかは、玄関の靴見ていないのでまだ分からない。

誰もいない静かなリビングでコップに水をいれてそれを飲みつつ、ソファに座ってテレビをつけて寝巻きのままぼんやりする。休日って感じだ。


─戸田が起きてくるのは昼頃かな。母さんに朝ご飯入らないって伝えてたけどお米は炊いててくれてるみたいだから、起きたら適当にご飯作るか。漫画が読みたいと言っていたからきっと家から出ないだろうな。今日は駅の近くの本屋さんに行きたかったけど、今行っとくべきか…でも部屋戻って着替えたら睡眠の邪魔になりそうだな。


とぼんやり迷いつつテレビを見ていたらスルスルと時間が過ぎて、戸田が起きてリビングに顔を出してきた。



ダイニングテーブルに座るように誘導すると「起きたら部屋誰もいないからなんかびっくりした」と寝ぼけた顔で要領を得ない話をしている。

学校の寝起きよりもさらに寝ぼけている感じだ。

水を飲むかと聞くと頷いたのでコップに水をついでだしてやる。


朝ご飯食べる派か聞いたら「おなかすいたかも」と答えた。食いしん坊に食べるタイミングは関係なかったようだ。



顔洗ってこいと告げて朝食作りをする。

米は炊いてあるし、味噌汁も鍋に作ってあった、冷蔵庫に母が作ってくれてるほうれん草のナムルとか何種類かの副菜がある、自分がすることはウインナーと目玉焼きを焼いて配膳するだけだ。

戻ってきてだいぶ目も覚めたらしい戸田に配膳を手伝わせてテーブルについて朝食を食べる。


「んー美味しい~、直哉ってご飯作れるのすごいよね、俺毎日買い食いだよ~」

「いや、ウインナーと卵焼いただけで、大したことないよ…」


と言いつつ僕は戸田の″毎日買い食い″というワードにものすごく引っかかっていた。

まず普通の学生は料理が出来なかったとしても毎日買い食いなんてしない。

ただの言葉の綾かもしれないけど、昨日の話の感じからしたり違うのだろう。


─昨日家の話してくれたときも、普通に話してくれて嫌なこと聞かれたなって反応でもなかったし、もう聞いちゃっていいんじゃないかな。案外スっと話してくれるんじゃないかな。


そう思った僕は、僕にしては大胆に踏み込んだ発言をしてみた。


「…買い食いって、戸田の家の人はそんなご飯作らないの?両親がすごく忙しいとか?」


少しドキドキしながらなるべく自然に聞いたつもりだが変な発音になってないかは自信がない。


「あ、俺ね、高校から一人暮らししてるんだよ~!言ってなかったっけ~」


─言ってない言ってない。


「昨日も言ったけど父親とソリが合わなくてさ、中2の時くらいから中学卒業したら家出て適当に働こうと思ってたんだけど、ジジイ、あ、うちの爺ちゃんね、ジジイに大反対されて。無視しても良かったんだけど、あの高校にちゃんと通うならマンション借りて仕送りもしてくれるって言うからまぁそれもいいかな~と思って」


そう言いながら戸田はマヨネーズをつけたウインナーを頬張って幸せそうにしている。


「なるほど。」


自分と全く違う人生を送ってる人間にかける言葉が思いつかなかったのもあるが、なんだか全てに合点がいった僕が答えられたのはそれだけだった。



食べ終わった食器を下げて、どうするかとなったら戸田はお菓子を買いたいらしく、コンビニに行きたいと言い出した。

僕も本屋に行きたかったし、本屋は駅の近くで戸田の家も駅の近くだから着替えと本屋を済ませたらコンビニに寄ってまた家に戻ってこようという事になった。

着替えて家を出る時に「自転車ないの?」と聞かれて、2人乗りをして駅に向かうことになった。


戸田が前に乗って自転車を漕ぐ。

2人乗りなんて小学生の時に妹とした以来でその時は前に乗って漕ぐ役だったから後ろに乗るのは初めてだ。

実は少し恐る恐る乗ったが戸田が漕ぎ始めると安定感の凄さに驚いた。

やっぱ重量があって体幹がありそうな奴が漕ぎ手だからだろうか、小学生の頃のヒョロヒョロ運転と比べたらダメか、と思いながらも自転車は進む。


─お巡りさんと遭遇したら秒で自転車を飛び降りてしれ~っと何も悪さしてません風にやり過ごす手法は高校生になっても通じるのだろうか…確か自転車の取り締まりって厳しくなったんじゃなかったっけ。


などと考えていたらあっという間に戸田の自宅に着いた。



高校生の1人暮らしと聞いてなんとなくアパートを想像してたけど、しっかりオートロックの綺麗なマンションだった。

本当に家が金持ち、いや、戸田の家と言うよりは戸田の祖父の家がお金持ちなのは確実だろう。


エレベーターで7階に昇って玄関を開ける。戸田は「上がってていいよ~」と言ったけど、靴を脱ぐのが面倒だったので、僕は玄関先で待つことにした。


初めて行く一人暮らしの友人の家に少しワクワクして色々と見てしまうが見える部分だけでもなかなかに生活感の無い家だった。

玄関から短い廊下を経てキッチンとリビングが少し見えた、その奥の部屋に行った気配がしたから多分もう一部屋寝室があるのだろう。

朝昼は学校で夜は遊びに出てる生活だからほとんど家にいないにしても男子高校生の一人暮らしにしては小綺麗に整っている、案外戸田は綺麗好きなのかもしれないな、などと考えていると着替えた戸田が「お待たせ~」とやってきた。

私服の戸田は初めて見る。


─首元にチラリと覗くチェーンのネックレス…戸田がつけるとオシャレネックレスだけだ、僕がつけたらホームセンターで買った鎖を巻いてると思われそうだ。


などと、つい僕はおかしな関心の仕方をしてしまう。

イケメンは何を着ても様になるのだ。



本屋で狙いの新刊を買う。

「もう決めたの?早いね」「買う物決まってたからね」などとやりとりをして本屋を出る。

長居しようとすると戸田がうんざりするほど本を眺めてウロウロしてしまうし、今日はこの位でいいのだ。

コンビニによって戸田のお菓子も買って家に戻ると読書タイムだ。


本屋のビニール袋から真新しい本をだして、外装のビニール袋を破ってる瞬間が最高に好きだ。

今日買ったのは少年週刊誌で連載されている可愛い魔女とその護衛がドタバタするラブコメ漫画と、大ヒットしているオカルトSF作品の新刊だ。

妹から誕生日にもらった図書カードが大活躍したので妹に感謝しつつ読み進める。



あっとゆう間に夕方になっていて、仕事から帰った母がまた戸田に今日も夕飯食べて行ったらと誘っていたが、戸田は今日は夜に約束があってと残念そうに断っていた。

きっと友達と夜遊びの予定があるのだろう。

漫画はあと10巻ちょいで完結ってことまで読んでいたから残りを袋につめて貸すことにした。


母と僕と、偶然部屋から出てきた妹で戸田を見送って僕の初めての友達とのお泊まり会は終了した。

中学校までの自分では有り得なかった経験をした僕は″高校生って凄いんだな″と漠然と感じていた。

直哉(主人公)の料理スキルは″焼く″のみです。

戸田はお湯沸かすことしか出来ません。


高校生の二人乗りって青春って感じで好きでしたが規制が厳しくなってもう子供たちもしなくなるんだろうなぁとしみじみ。


次は「距離が詰まる時は一瞬」です。

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