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64.啓吾の興味と命令 side-K

相変わらず面白おかしく大雅との日々は続く。


大雅は喧嘩好きだが、私生活では意外とそれ以外の悪いことをしない。

普段の行動もジムで運動したり、食べ飲み歩いたりがメインでたまに勝負だ!とダーツやボーリングに行きたがる。

負けず嫌いだから、初心者の啓吾も全力で負かせにきて勝ち誇ってくる。

悔しいからコソ練して、持ち前の器用さで勝ち星を取ると本気で悔しがっていて大人気ないなと啓吾は思う。


酒と煙草は死ぬほど好きだけど、違法なお薬に手を出してるとこは見たことないし、飲酒運転もしない。

車の運転は荒いけど、″絶対に捕まらない″を徹底していて、ルールを守らない車に対してよく「ちゃんとウインカーくらい出せ!」とか独りごちて謎に怒っている。



「大雅くんって意外と悪さしないよね?」

「悪さって~?」

カゴダッシュ()とか?あと引ったくりとか、ノーヘルでバイク乗り回したりとか…」

「…あのね~啓吾くん、俺は大人なんですよ?」


大雅は呆れた顔で言ってくる。

確かに今出したのは啓吾の周りにいる子供の不良がしてる悪さだ。

啓吾は一生懸命大人のしそうな悪さを考える。


「んー、詐欺とか?あとは飲酒運転もしないし、気に食わない奴ボコって、連れてる女をレイプしようともしないよね?」

「待った最後の何よ。」

「なんかそういうのしたがった奴が前にいたから、キモすぎて止めたけど。」

「止めたならよし。そうな~、ほんとうに悪いやつは簡単に捕まるような真似はそうそうしないってことは覚えておけ。」


大雅はそう言った。

啓吾は素直にそういう物なのかぁと納得した。



大雅が仕事で忙しい日は他の知り合いや女の子に呼ばれたところに行ったりして遊び回ることもある。

どこにいっても歓迎されるけど、自分の後ろの大雅を見据えて関わってくる人間か、自分といい関係になろうとする女子しかいなくて、からかい半分でやる悪事にも相変わらず「なんでこんな事で楽しそうにしてるんだ?」と理解出来ずにいた。


「大雅くんが俺が悪いことに関わらせないようにしてるのに、こいつらとするお遊びみたいな悪さなんて、価値ないよな~。」


と我関せずを貫き通し、目に余るほどの行為をしようとした時は止めて自分のいないとこでしろと言うこともあった。


それでも呼ばれたら懲りずに出ていくのは、暇だからだ。


暇つぶしに出て行ってはダルい気持ちになって失敗したなと思い、大雅と楽しく遊んで憂さ晴らしをして、大雅が忙しそうにしてる時はまた暇つぶしをする。

不毛なのは頭のどこかで分かっているが、若さゆえの未熟さで、啓吾はグダグダとそんな繰り返しをしていた。

楽しい日々の中で唯一の不満、いや、不満と言うほどでもないモヤモヤはそこだけだった。



「お前は本当に友達いねぇからなぁ~」


と大雅が呆れたように言う。


「そうなの?男女問わずモテてるのに」


と大雅の隣に座る女の人がクスクスと笑いながらそう言う。


大雅の横にいた女の人は毎晩コロコロと変わっていたが、ここ最近はいつもこの人だ。

今日は大雅が「俺の店~」と言っている、ダイニングバーの個室に連れてこられた。


─本当に俺(大雅)の店なのか?19歳ってお店持つとか出来るの?


と思っていたが店長らしき人が挨拶しに来た時になんか仕事っぽいお金の話とかしてたから本当らしい。

これからここに人が集まってくるらしく、先に3人で飲み食いしていた。


ノアと呼ばれるその女性は、大雅に連れていかれたキャバクラで大雅が呼んでいた人だ。

二の腕に何かの花の刺青が入ったノアさんは、18歳だけど同じ年頃の女の人の中では断トツで落ち着きがあって、気が効いて、綺麗で色気のある人だ。


ちなみに啓吾は連れていかれるが「こいつは子供で社会科見学だから女はつけるな」と言われていつもコーラを飲んでいる。

何が楽しいかよく分からない店だが、大雅の親がやってる店で付き合いで顔を出していると大雅も言っていたので、女好きの大雅でもそんなに楽しくは思ってないんだな~と感じていた。


─そんなこと言ってほんとは彼女がいるから行ってるだけだっとか?いや、そんな人じゃないか。


とか考えてたが大我の声で話に戻される。


「こいつ壁あるからな~」


と大雅に言われて壁…ある気がする。と思う。


「…壁っていうか、大雅以外に興味無いよね、啓吾は」


とノアに言われて興味…ない気がする。となる。


全部が図星なような気がするし、気付いてなかったことが言語化された様な気もして少し恥ずかしい気持ちになる。


「つまり俺が1番モテるってことだな~」


と満足気に笑う大雅を啓吾は否定は出来ないがなんとなく肯定もしたくなくて、じとっとした目で睨んだ。



「よし!お前は高校で友達を作れ!!」


また唐突によく分かららない命令下してきた。


「なんで高校で?今でもいいじゃん~」


知らない環境で上手くやれるかなんか分からないし、作れと言われればその辺から見繕う方が楽だと啓吾は思った。


「ダメダメ~、今お前の周りなんて反社、チンピラ、半グレ、ヤンキー、クズ、水商売の女に非行少女しかいなんじゃん。そんなんじゃなくて、ごく一般的な高校生活で部活と勉強したりして青春してる少年少女とお友達になるんだよ!」


大雅の言ってることの意味が分からないという顔をしてると、意外にもノアも頷いてた。


「私たちが言えることじゃないけど、やっぱりこういう環境ってロクな人間いないからね~。」

「お前の周りがそんな環境になってる最たる原因は俺なんだけどな~!」


と言って大雅が大爆笑しだしたのをノアは仕方の無い人だ、みたいな目で見てた。


「…いや、大雅いなくても多分環境はそんなだっただろうし、大雅いなかったらもっと大変だったと思う…」


本心からそう言う。初めて喧嘩を買った日から止めるつもりもあまりなく、止められることも出来なかっただろう面倒すぎる負のループみたいな物を断ち切ってくれたのは大雅の一声だ。その恩は忘れていない。


ノアは目をキラキラさせて「え…可愛い~何それ。」と言い何故か大雅が「そうだろ~?」と自慢げな顔をしていた。


「お前は良くも悪くも目立つからな、求められんのも、やっかまれるのもどっちも激しくなるんだよ。男からも女からもな。まぁ言っても俺にはかなわないけど~」


─絶対に自画自賛挟んでくるんだよな。正しいからたちが悪い。


「だからお前は高校通う間で普通の友達を作れ!これ命令!これ破ったら俺に泣くまでボコられるからよろしくね~」


とまた恐ろしいことを言われた。


初めてであった時に同じことを言われた時よりも真面目に「こいつはほんとにやる」ってことを理解している啓吾は「は~い」と諦めたように頷いた。


「頑張ってね、啓吾はすごくいい子だから、絶対にすぐいい友達が出来るよ。対人関係は鏡だから。」


ノアがそう言って優しく微笑んだ。



受験は、名前書くだけで受かるとジジイが言っていて、どこまで本気か分からない言葉を鵜呑みにするのもな…と思い直前に少し勉強はした。

本当に少しだからどうかなと思っていたけど、祖父の高校には普通に受かっていた。


そして啓吾は中学を卒業する。

ほんとうに悪いやつは簡単に捕まるような真似はそうそうしない=俺は悪さはバレないようにやってます。

という意味で大雅は答えましたが啓吾には上手く伝わってません。

警戒心が薄い啓吾にはどうしても大雅を極悪人として認識も出来ません。



※カゴダッシュはスーパーのカゴに商品沢山入れてお金を払わずダッシュして逃げる万引きのやり方です。


次は「前途多難」です。

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