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56.お祭り②

「よしっ!じゃあ買いまくろ~!」


先程来た参道の道を少し戻ったとこにある大きな交差点も今日は祭りで歩行者天国になっており、それを右に曲がるとかなり大きな広場があって、勿論そこにも沢山出店が出ている。

イートインスペースのような場所もあって、見世物小屋や各種イベントや盆踊りなどもあるために、神社よりも人が集まる場所だ。

僕らは色んなものを買い集めて、そこに向かって買ったものを食べれるテーブルを確保すると言う計画だ。


戸田は「これ皆で食べよう~」と串ものを沢山買っていたので、僕は焼きそばを2つ買う。

野崎さんはたこ焼きを買って、浅葱さんはじゃがバターを買う。

テーブルと椅子を沢山用意してる出店で唐揚げと飲み物を買って、テーブルをなんとか確保して座ることが出来た。


「人が多いからか座れると安心するね~。」

「ね、一息つこ~。」


戸田と野崎さんの会話を聞きながら、ここに座れたのは戸田がイケメンなおかげだったなと思い返す。

席を探してキョロキョロしてた戸田に女の子達が注目して、ちょうど席を立とうとしてた女の子達に「あの、ここ良かったらどうぞ…!」と言って貰えたのだ。

浅葱さんと野崎さんと言う女の子連れだから、流石に変な声をかけてくる人はいないけど、祭りにきてから戸田はもちろん女の子からジロジロ見られている。



屋台で買ったものを食べるのは久しぶりだ。

祭りなんて小学生以来きていないが、なんだか昔より大分値段が高くなってる気がする。


─あ、意外とやりとりいけるな。


昔屋台でハズレを引いたことがあるからちょっと警戒してたけど、それなりに美味しいのに当たってよかったなぁと思いながら、戸田が買ってくれた串を食べ進める。



「食べるだけじゃなくて遊ぶ系の出店もあるの?」

「うん、あるよ。お化け屋敷とか見世物小屋とか、射的に」


「え?陽菜?」


戸田と野崎さんが祭りのたわいない話していると、ふいに話に割り込んできたのは、多分野崎さんの知り合いで、なんだか派手な女の子だ。


「わ、リナ!久しぶりだね!」


野崎さんはすかさず、すごく明るい笑顔でそう答えた。


「え、てか、戸田くんと一緒?ねー、戸田くんめっちゃ久しぶりなんだけど~!!元気してた~?」


戸田に声をかける第一声の声色で″これは面倒な絡みをするタイプ″と言う予感を察知できる様になった自分に気付く。


─いつのまにかおかしな能力を獲得してしまっているな。


「久しぶりだね~、カズキの彼女だよね。」

「カズキとは別れて~、えー、めっちゃ戸田くんに話聞いて欲し~!」


戸田がすっかり余所行きの笑顔になってしまったのに僕も少し気落ちするが、祭なら知り合いに会うこともあるだろう。

歩いていても参拝しても特に問題がなかったから少し油断していたのかもしれない。


「てかリナの友達?」「めっちゃイケメンじゃん」などとリナと言う事の周りの子も色めきたっている。



「てかなんで戸田くんと陽菜が一緒にいるわけ?」


「私たち高校一緒なんだよ~、最近仲良くしてて、ね~」と野崎さんが可愛く言うと、戸田も「ね~」と可愛く返す。


「へー、てか陽菜浴衣じゃん!めっちゃ気合い入ってんね~。」

「お祭りはやっぱり浴衣で来たくなっちゃうんだよね~、てかリナ、そのトップスめっちゃ可愛いね?」

「あ、うん、買ったばっかりで~。」

「似合う~!」



僕は勿論リナと言う子の視界には入っておらず空気だ。

浅葱さんも同じ空気扱いだが、そんなことは知らぬ存ぜぬで、じゃがバターに一人夢中になってて本当にこの子は凄いなぁと感心する。


─と言うかこの子多分同じ中学の…ヤンキーっぽい子で、なんか中学の時より派手になってるから気付かなかった。柴田…さん、だったっけ、名前リナっていうのか。


僕は気付くのが遅れただけだが、向こうは僕が同じ中学だったと認識すらできないだろうなと思う。


女性の変化が凄いのか、僕が変化に疎いのか…と考えつつ野崎さんを見ると、一瞬目が合う。

ずっと笑顔だったのに僕と目があった瞬間、目の色が変わった気がして、でもすぐすっと笑顔に戻って柴田リナと話す。


こうやって蚊帳の外から野崎さんを見ていると、野崎さんは人当たりの良い笑顔は大事な人にも使うし、警戒してる人にも使えるタイプなんだなと思う。

正直笑顔と対応だけを見たら、野崎さんは久しぶりに旧友に会えて喜んでる女の子に見えるし、戸田みたいに笑顔が余所行きかどうかは区別がつかない。

でも僕らには色んな表情を見せてくれるようになったから、今の一瞬の真顔で、この状況の笑顔が本意じゃないんだろうなと僕は察することが出来たのだ。


「てか、戸田くん最近全然会えなくて寂しいんだけど~!」

「もう夜遊ぶのやめたんだ~。」

「えー!皆会いたがってるよー?たまには出てきてよ~。」


周りに空いてる席が無いおかげで立ち話のままだけど、サッと居なくなりはしなさそうな感じだ。


「てか、連絡さ─」


柴田リナがそれを言いかけた時に少し遠くから「リナ、そんなとこいたの?柿本くんたちがめっちゃ探してたよ!」と、多分彼女の友達であろう子が声をかけた。

「マジで?わかったぁ」と言って野崎さんに「またねぇ」と言い、戸田には「今度連絡先教えて!」と言い去っていった。

声をかけてきた女の子に、野崎さんも手を振って声をかけていたから、知り合いなんだろうなと思った。


嵐が去ったように静かになった席で戸田がポツリと「お面しとこうかな」と言い、僕が「食べた後にしな」と声をかける。

野崎さんは「リナは積極的だからね、また彼女のふりするべきかめっちゃ迷ってたけど、サヤが声掛けてくれて助かった~。」と笑った。

戸田がまた申し訳なさそうにしだしたのを見て野崎さんが「謝ったらだめだよ、戸田くんなんにも悪くないんだから」と釘を刺す。

浅葱さんが「まぁこれでも食え」と言わんばかりにじゃがバターの残りを戸田に渡して慰めようとするから、皆で笑ってしまった。



その後は戸田がしっかりお面をつけて行動したので人に見つかることもなく、射的をしたり、冷やしキュウリやいちご飴を食べたり、浅葱さんが型抜きにハマったり、平和に祭りを満喫出来た。

次は番外編「伊藤沙耶香の独白」です。

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