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45.夏の予定

皆で1学期の打ち上げを終えて、今日は戸田は夜、義理のお母さんと外食に行く約束があるらしく、僕は一人で家路に着いた。



戸田学校を無事脱出させれるかに気を取られて、触れていなかったが、期末テストは150位だった。


範囲が広がった期末で、中間よりいい順位が取れたのは個人的に嬉しい。

野崎さんも30位くらいランクアップしてたらしく、とても喜んでいた。

浅葱さんはなんと388位!前に比べたら大健闘じゃないだろうか。

戸田は…31位だった。

緩いとは言え進学校、100位以内に入る生徒は普段から余念なく勉強している生徒だし、50以内に入る生徒は中学の頃から成績優秀者の生徒たちばかりの筈だ、それを僕らと一緒に勉強したとは言え、漫画読んだりしてたし、戸田にしては勉強したよな、くらいの向き合い方でそこに入り込むのって本当に凄い。


それで本人は「勉強好きじゃな~い」とか軽い感じで言ってるの、死ぬ気で勉強して50位内に入ってる人には聞かせちゃいけない気もしている。

そう考えたら僕だって戸田より時間をかけて勉強してるのに即成績を抜かされたのに、″凄いな″という感想しかないのだなと気付いた。


「こうなったら劣等感を感じる人もいるだろう」と思えるのに「自分は感じませんけどね」と言うスタンスで入れるのは、こう言っちゃなんだが、なんだか人間が出来てる気がして嬉しい。


これは、世界的に有名なわんちゃんが言った「配られたカードで勝負するしかないのさ」という言葉が僕に強い影響を与えてるからだなと思う。

これは黒歴史から脱却した時に知った言葉だから尚更自分に響いている。

そして僕の大好きな漫画では″力には責任が伴う″と言う価値観が描かれることが度々ある。

僕はそれに対しても確かにそうだよなと納得がある。

そして優秀な人たちが背負う責任や苦労を得たいかと言うと、そうでもないな、と言う気持ちが強い。

モテモテの戸田の日々の女難がもっとも身近で分かりやすい例になった。


多分その辺の影響で価値観が育って、僕は優秀な戸田に思うところがないのだろうなと考えた。

「凡人なら嫉妬してるぜ」と黒歴史時代の尊大な自分がシュっと出てきて呟いたので、脳内でそいつをマンホールに落として重たい蓋をしておいた。



話が逸れたが、通知表も、学習に取り組む態度が高評価でそこまで悪い内容ではなくて良かった。

国語や英語の苦手科目は授業中も集中が続かないこともあって、要改善な感じはあるが…。

あと担任からの総評がやたらいいこと書いてあって嬉しかった。内心に良く響きそうだ。



「は~い!じゃあパパから預かった、夏休みのお小遣いを配りま~す」


夜ご飯の後に母がおもむろに封筒を取り出した。

終業式が終わって、夏休みのお小遣いを配るのは我が家の恒例行事である。

お小遣いの金額は、基本お小遣いプラス、期末テストと通知表の結果によっての増減で決まる。

僕と妹の麻衣はワクワクとしながら封筒を受け取る。


「うわぁ~少ないよぉ~!」

「麻衣は期末テスト勉強サボったでしょ~?」

「…パパ怒ってた?」

「怒ったりはしないけど、お盆に帰ってきたら勉強するように言われると思うよ」

「だってさ~、テスト難しかったんだってば~」


新しく買ったゲームソフトにハマっていた事実をテストの難易度のせいにすり替えて嘆く麻衣をよそ目に、僕は封筒の中を覗く。


「おにぃ!期末良かって言ってたし、絶対多めに入ってたでしょ!」

「……。」

「その顔ーーー!!い~なぁ~!!おにぃばっかり~!!!」

「あら、お兄ちゃんだって成績悪かったら下げられるのよ?」

「でも~!」


母に正論を言われても納得がいかなそうな麻衣に「この前麻衣が欲しがってたシール買ってあげるよ。」と言うとすぐに「ほんとっ!?」と喜んだ。


「お兄ちゃん、またそうやって麻衣を甘やかす~。」

「ママ、パパには内緒にしてよね~!」


母は呆れた目で麻衣を見たが、きっと内緒にしてくれるだろう。


「そういえば父さんは何日に帰ってくるの?」

「9日~15日みたいよ。」

「えー、短い。それにもっと早く帰ってきてよ~。」


麻衣は不貞腐れたようにそう言う。


「無理言わないの。仕事なんだから。」

「そういえば、今年もキャンプ行くのかな?」

「あぁ…言ってなかったわね、とっくにキャンプ場の予約取ってたわよ」

「そりゃ絶対行くでしょ~。パパだよ?キャンプ行かないとかいうわけないじゃん!」

「…そのキャンプ参加人数増やせるかな?戸田連れてってもいい?」

「啓吾にぃ!」

「あら~いいじゃない!いつもの場所取れてるなら余裕よ。戸田くんをお父さんに紹介しようと思ってたしね~、明日電話してみるわね。」

「うん、よろしく。あ、戸田はキャンプ初心者だから」

「あら~それは仕込みがいがあるからお父さん喜ぶわ。」


母の言葉に僕は頷く。



部屋に戻って、ホクホクとした気持ちで、お金の入った封筒を机の引き出しにしまう。

壁にかかったカレンダーをとって、今日決まった予定をスマホのメモから書き写す。


夏休みの予定は、僕、戸田、浅葱さん、野崎さんが1つづつ自分がしたいことをあげて、それにできる限り付き合おうと言う、野崎さんの案が採用された。


僕は迷った。

皆となら何もしても楽しく感じるだろうと思ったら、特にしたいことが浮かばなかったのだ。

困った末に、前に一人でもいいからしてみたいなと思っていた隣町にあるプラネタリウムを見に行きたいと提案した。

皆の反応が好感触でほっとした。


浅葱さんが地元にはなかったらしい水族館に行ってみたいと言い、野崎さんはお祭りに皆で行きたいと言った。

そして戸田がキャンプに行きたいと言ったのだが、野崎さんが「絶対楽しそうだけど、友達とはいえ男の子達のと外泊は親に反対されちゃうと思う…」と言って、僕らも「確かに…!」となったのだ。

高校になって出来た友達に舞い上がって完全に忘れていたが、僕らは男で、野崎さん達は女の子なのだ。

行動次第では野崎さんたちが不健全だと思われてしまうことに気付いて、僕は気を付けないとなと思い改めた。


戸田のやりたいことは考え直して再提案させることにしたけど、戸田の希望を叶えてやりたいからうちでやるキャンプに誘うことにしたのだ。


ちなみに戸田はその後「遊園地って楽しいのかな?」と聞いてきたから、1番近くでそれなりに規模のある遊園地の名前を出す。


「…と、こんなアトラクションがあって、戸田が絶叫系とか好きなら結構楽しめると思う。絶叫乗れなくても、このメンバーなら楽しいとは思うけど。」

「確かに~!」


という事で、戸田の希望は遊園地になった。

ただ、真夏は流石に暑いよねという事になり、2学期の中間テストの後に行こうという話になった。



そんなこんなで夏の予定はけっこうある。

こんなに予定がある夏休みは人生初めてかもしれない。

お小遣いも多めに貰えたので予算も足りるだろう。

僕は色々書き込んだカレンダーを満足気に壁に戻した。

高田家は成績歩合制のお小遣いですが、成績にやたら厳しい家ではないです。

父も母も表向きは勉強しようね、いいますが正直なとこは「真ん中よりいい成績なら上々だよ」と思っています。


次は「夏休みスタート」です。

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