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39.球技大会1

夏休み直前にある球技大会。

僕はその日に戸田人気が大変な事になると踏んでいる。


僕の体育は外で野球の練習になるので、体育館でやってる戸田のバスケの練習風景を見ていないが、それを見た女子達の反応、その反応を興味深そうに聞く他クラスの女子の反応を耳で拾うと、球技大会ってそんなに楽しみにするものでしたっけ?とツッコミたくなるレベルだった。



僕と浅葱さん、そして野崎さんと行動するようになってからは、戸田をガッツリ占領して面倒な絡みをしようとする女子は少しづつ減ってくれた。

戸田が1組女子にキレた効果が強かったのかもしれない。

最近は適度にほっといてくれるし、常識的な雑談や、親しげな声かけ中心になっていて、戸田も随分気が楽そうだった。


ただ、戸田が気が楽そう=気だるげで近づき難い空気が減った、という事だ。

ずっと起きてるし、僕らといる時は機嫌もいいから入学当初みたいに、気だるげで、話しかけられたら穏やかに答えはするけど笑ってないあの独特な雰囲気がないのだ。

その上最近、球技大会に向けた体育の練習によってクラスの男子と戸田がけっこう打ち解けていて絡みも増えて、その流れでクラスの女子から戸田が話しかけられることも増えた。


それでも今はまだ平和だ。

でも球技大会後にはまた戸田にストレスが溜まるような事案が増えるんじゃないかと僕は危惧している。

危惧したところで、今のところ僕に打つ手はないのだけれど。



─というか、人の心配より自分の心配だ。


体育で一度もヒットを出せない僕は、戸田をバッティングセンターに誘う。

浅葱さんも興味ありそうだから誘って、その流れで野崎さんも誘ったが、家の仕事を手伝うらしく野崎さんは来れなかった。残念だ。


綺麗なフォームの戸田にコツを聞くが「ここをシュってして、ギュンってなってこう!」みたいな教え方で、マジでなんの参考にもならなかった。


─勉強は教え方上手なのにスポーツは擬音系なんだなぁ。


とりあえず打ち方は戸田のフォームを出来るだけ真似をして、打てる遅い玉から徐々に速い球にして練習した。

浅葱さんも試しにとやらせてみたが、一球も打てなかった。一球もだ。



自己満足な練習を経て、球技大会当日だ。


朝学校に行くと、浅葱さんが変身していた。

いつものそのまま下ろした髪ではなく、クルクルしたポニーテールになっていて、唇がほんのり色付いていて、「え、アイドルですか?」と危うく口をついてでる所だった。危ない。

もともと綺麗な子だったが、少し着飾るだけでこうも輝くとは、女子は偉大だ。


僕だけではなくクラスメイトも眩しいものを見るように浅葱さんを見ている。


「すごいよね~、陽菜ちゃんがしたんだよ~」


そう戸田が教えてくれた、さすが野崎さんだ。


そんな野崎さんも廊下で出くわした時は、多分浅葱さんのリボンと色違いのものをカチューシャにしていて、クラスで作ったらしき赤いTシャツで笑顔でこちらに手を振る姿は「え、球技大会の妖精ですか?」と思える愛らしさだった。


─こんな2人と友人になれるって、ほんと自分恵まれてるわぁ。神に感謝。


そんなことを考えたあと、なんか、球技大会の空気に乗せられてテンション上がってしまってる自分に気付いて少し恥ずかしくなった。



最初は戸田のバスケの試合の応援だ。


浅葱さんを連れて体育館に行くと、体育館は戸田目当ての女子でいっぱいだった。


─これは…想像以上だな。


「少し離れたとこから応援しようか。」

「……。(頷く)」


戸田は大活躍だった。

クラスのバスケ部員と上手く連携してプレイしていて、いつのまにそんな練習を…と僕は感心する。

普通に3ポイントシュート決めた時は感動すらした。

浅葱さんも、戸田が活躍する度、隣で一生懸命拍手してて可愛い。


うちのクラスが勝った時は大歓声だ。



─こんな球技大会、初めてだなぁ。友達としてちょっと誇らしい気持ちになるな。


関心すると同時に、不安にも駆られる。


警戒しすぎかな、とも思っていたが、体育館を出たところの隅の方で「カッコよすぎて…」と言いながら友達に宥められながら泣いてる子を見かけてしまい、そんなことある?と驚くと同時に、自分は間違ってないと確信する。


完璧なイケメンが学校にいるってことがもたらす影響の凄さ、侮っていたら絶対に痛い目を見るだろう、主に戸田が。


「浅葱さん、僕は戸田を助けてから女子の応援に行くから、浅葱さんは先に一人で第2体育館に行っておいで。」


そう言うと、浅葱さんは無言で頷きトボトボと体育館方面へ歩き出した。

こっちもなんか心配ではあるが、今は戸田だ!と思い僕は戸田の救出へ向かった。



「戸田!次うちのクラスの女子試合だよ!」

「あぁ、応援行かなきゃ、じゃあごめんね~」


戸田はそう言い自分を囲む女の子の輪から抜け出した。

「クラスの応援とかどうでもよくない?こっちで話そうよ~」などと身勝手なことを言って戸田の腕を引っ張ろうとした子もいて、戸田はしれっと避けてはいたけど、僕的には心配は的中しそうだなと感じた。



「お疲れ様、色々と。」

「ありがと~。助かった…」


少し遠巻きに女の子のグループがあとを着いてきているから、僕は小声で話しかけると、戸田も小声で返してきた。

僕が助けに行かずとも、戸田はその内自分で抜けて女子戦を見に来れただろうけど、戸田の反応を見ると自分で彼女らを解散させるのと、人の手によって仕方なく抜けるのでは使う体力が違うのだろうなと僕は思った。



「見たことない子たちに囲まれてたね?」

「うん、さっきのは2年生らしい。」

「なんか距離の近い子いたね」

「全然知らない子だよ~」

「今日はそんなん増えると思うよ」


僕がからかうように言うと戸田は「勘弁して~」と珍しく弱音を吐いた。

最近の平和な感じとの落差にやられている様だ。

戸田と話慣れてない子には写真を断ったり色々かわしたりがまた一からになるから戸田の気苦労も増えるのだろう。



その後も女子に捕まり、脱出し、捕まりかけ、回避し、付け回され…などを経て、僕らは1年女子がバレーをやっている第2体育館になんとか到着出来た。

戸田は勉強に関しては暗記も得意ですが仕組みをしっかり理解するのが得意なので人に教えるのも上手です。

運動に関しては勘の良さ・模倣の上手さ・身体能力の高さやってるので全く指導できません。


次は「球技大会2」です。

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