表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/69

36.興味ないのよね、スポーツって side-H

赤色のリボンをカチューシャの様に巻いてリボン結びで整えるだけで準備は整う。


鏡を見て「今日も私は可愛い」と思ういながらも、自分が仕立てた莉央を思い出して陽菜は達成感を感じ、うっとりした気持ちになる。


日焼け防止のためにジャージの上を羽織っているが中にはクラスで制作した球技大会用に作った赤いTシャツを着ている。

「クラスT作って正解だったね!なんか一体感あって熱くない?」とユイが言い、案外熱血なとこがあるミサキが「うん!気合い入るし、テンションあがる~」と両手の拳を握って胸元あたりにグッと掲げている。


陽菜は体重キープのための有酸素運動と、スタイルキープのための筋トレとストレッチ以外の運動にあまり興味が無いから適当に「そうだね~!楽しみ~」と答えならがら、全生徒に配られている大会の進行表の紙をポケットから出して開き、


─まずは自分らの試合より前にある戸田のバスケ見に行って~野球の時は莉央が試合無さそうだから今日のお昼は莉央ちゃんに誘われて戸田くん達ととることになってるんだよな~、誘ってくる時死ぬほど噛んでたけど、莉央ちゃんグッジョブ。


などと考えながら自分の動きをおさらいした。



陽菜は普段はクラスメイトと教室で昼食を取ることが基本だが、ここ最近はたまに戸田達に混ざることも増えてきた。

元々、ユイとミサキと1番一緒にはいるが、ランチはその2人を含めた7人の女子でとるようにしているし、″今日は〇〇ちゃんが話があるらしいから〇組で食べてくるね″などと言って他所に顔を出したりして、普段から抜けることが珍しくならないように気をつけて行動している。


─嫌いなのよね、絶対にそいつらと過ごさなきゃいけないみたいなグループの空気感。


ユイとミサキは元々出身中学が一緒なので仲が良く、そもそもが2人でいれば問題ないところに私を引き入れたので、自分にとっては都合がいいと思っていた。

自分が自由に動いても、残った方が余ることもない。

ユイとミサキは陽菜が人付き合いの幅が広いこと、人気があることをよく分かっているから内心どう思ってるかはさておき、別行動を取る時表立って不満を見せることもないからその辺は楽なのだ。

どうせ不快に思っていても力も影響力もない女子は裏で悪口を言って、私には私には笑いかけることしか出来ないのを陽菜はよく理解していた。


─おかげでこの球技大会も自由に動けるわ。


とは言え、戸田のバスケの応援は、その時間手の空いてるユイとミサキも絶対見に行くだろうから前もって3人で行こうって話済みだ。



─うわ、想像以上。早めに来といて良かった。


第1体育館は確実に戸田を見る目的の女子がどんどん集まり、1年男子の試合、しかも初戦なのに異様な雰囲気だった。

下の階とかギチギチだし、2階の周回通路、ギャラリーで1番見やすいとこを確保できてラッキーだったなと陽菜は思った。


男子生徒達は大量の女子の視線に怯えたり、何事?となったり、きっつ!自分が見られる訳じゃないけどきっつ!と言ってその場から逃げたがったり、逆にかっこいいところを見せようと奮起してる人もいたりで様々である。

ふと陽菜が入口を見ると高田と莉央がそっと体育館の中を覗いているところだった。

高田は眉間にシワを寄せたあと、莉央を連れて戸田が試合するコートからちょっと遠いところに腰を下ろした。


─二人も戸田君の応援しに来たんだろうな。


女子の多さにドン引きしてそうな高田の反応に陽菜はクスリと笑う。

彼は普段女子に対して普通の男子が持つ変な期待のようなものを持っていない感じのする人だった。


─誰に対しても公平と言うかなんと言うか…、だから戸田君みたいな注目度高い人と一緒にいれるのかな。


きっと今の状態も戸田も注目されて大変だな、くらいに思ってるんだろうな、と陽菜は思った。



試合が始まる前にふとこちらを見た戸田とパチッと目が合う。

陽菜がどう反応しようかと考えるより前に向こうが笑顔でヒラヒラと手を振ってきた。

周りの女子から少し嬌声が上がる。

陽菜がそれに応じるように「戸田くん頑張ってね~!」と声をかけ、ユイとミサキも控えめながら続けて応援すると戸田はは~いと言ったように右手を軽くあげた。


─いや~、ほんとだいぶ近付けたよね、やっぱりこの学校では私が1番距離近いんじゃない?


あくまでも″戸田を狙っている女の中で″の1番なので莉央のことは除いている。

「やっぱり付き合ってるのかな?」「でも~」みたいなヒソヒソ話が聞こえる分にも間違いない。


─それにしても、これだけ人気の男って初めて遭遇するから、そこに認知されて好対応される優越感ってすごい。もちろん、そんな優越感に溺れるのは3流の女がすることだけど。


恋愛感情の伴わない優越感なんて浅ましい感情でしかない。


─といっても私は恋自体したことすらないんだけど。


恋愛なんて目的のためには邪魔でしかないと思ってしまっている、自分が誰かを好きになることなんか想像できないな、と莉央は自棄を気取るように考えた。



コートで見る戸田は、たしかに周りの男子生徒とは異なる存在だった。

人体の造形美としては断然女体の方が好みな部分が多い莉央ですら、美しい筋肉の付き方してるなぁと感心した。


─ハーフパンツから覗く膝から下が長くて足首が締まってる、ヒラメ筋と腓腹筋…だっけ?私は減らしたいと思ってるけど男の子はしっかりメリハリあった方が綺麗ね。


体操着の上からでも背筋がしっかりついてそうな線がすこし見えて分かる。


─姿勢の良さも背筋と腹筋がしっかりついてるからよね、やっぱりなんでも着こなすのに筋肉は必須ね!…筋トレもっと増やそうかな~。


ユイやミサキがはしゃぐのに笑顔で付き合いながら頭の中でそんなことを考える。



戸田はバスケット経験者のようで、しっかり活躍するが決して自分だけが目立つプレイをするワンマンという訳でもなく、クラスのバスケ部の男の子と協力したりして楽しそうに試合をしている。

陽菜はスポーツ観戦にもそこまで興味がないため、戸田のプレイスタイルから戸田の性質を分析しようと専念する。

余裕があるときにはボールを触って無さそうなクラスメイトにパスしたりしてるし、気遣いが出来ているように感じて、そう悪い印象は持たなかった。

陽菜は女の子の顔付きや身体の線の方が好きです。

同性愛者ではなく、美的感覚での好みです。

自分のことが大好きなのと、自分を守るのにいっぱいいっぱいなので異性愛を知れるようになるのはまだちょっと先になります。


次は「野崎陽菜の信念のようなもの」です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ