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35.はぁ~~楽しいぃ~~ side-H

人もまばらな教室で、陽菜は莉央の髪に櫛を入れる。


─前から思ってたけど、やっぱり傷んでる。染めてない黒髪で、毛量はしっかりあるし、癖はないし、うなじもおでこの生え際の形も頭の形も綺麗なのに!あとやっぱり額の形も綺麗だった!!染めてもない髪を痛ませるってどやったら出来るの?理解不能だわ。


そう思いながら陽菜は指先で莉央の髪を挟んで質感をチェックするように撫でた。


─絶っ対ロクな手入れしてない。洗って乾かして寝てるだけ、起きて1回櫛入れるだけしかしてないだわこれ。許せない。


素材がいいのに磨かないその感じにとてつもない勿体なさを感じる。

ヘアミルクやオイルを塗ったくりたくなる衝動を抑えつつ、温めたヘアアイロンで髪を巻く。

巻き下ろしも似合うな…と思いつつも今日は球技大会だからね、と陽菜はセット用のワックスを莉央の髪に揉み込む。


ずっと、ずっと、ずっと陽菜は莉央の髪に櫛を入れたかったのだ。

絡む機会が増えれば増えるほど、その欲求は高まった。

今日は陽菜にとって、その欲を満たすのに一番の口実が作りやすい日だった。

髪に櫛をいれるだけではなく、他にもしてやりたいことは腐るほどあった。



「今日は整髪料付けてるから、お風呂で2回シャンプーしなね」


と優しく言うと莉央は頷く。


─本当はドライヤー前に洗い流さないトリートメントもつけろよって言いながらコメカミをグリグリしてやりたいわ。


サイドに編み込みを作って、高い位置でポニーテールを作ってまとめて、いい感じに後れ毛を出す。


─傷んでる髪って形成しやすいわね。


サラサラツヤツヤの方が巻きが早くとれたり纏まらなかったりするのだ。

それに自分の癖っ毛と比べたら断然に扱いやすくてヘアセットするのがとても楽しい。


細かい調整をしたあと、後方全体にスプレーをして、次は前髪と顔面に取り掛かる。



本当は顔面から作って髪セットの方が効率が良かった気もするけど、髪の毛に櫛を入れて整えたい気持ちが先走って順序を間違えてしまった。


多めの前髪をピンで止めてまずすることは眉毛の処理だ。

案の定、手付かずのボーボー、とまではいかないがもっと綺麗にした方がいい状態ではあった。

陽菜は小さなカミソリをポーチから取り出す。


─生え方もいい、毛流れもいい、濃すぎず薄すぎない、周りの余計な毛を処理するだけでそれなりに整いそう。…ほんと素材いいな。


眉サロンが不必要な感じの元の眉に嫉妬してしまう。

陽菜だってサロンまでは通ってないが、自分のベスト眉に辿り着くまで試行錯誤しまくったし、今でも完璧とは言い難い。眉は難しいのだ。



眉が整ったら、下地だ。

コントロールカラーは入ってない、普通の日焼け止め成分が入ったものにした。

どうせ汗で崩れるし、とんでもない色白で顔の堀も深いから今回色味は必要ないなと思ったのだ。


─外で観戦もするから日焼け止めは必須だけどね。多分髪と同じでろくに手入れしてないだろうけどそれでもきめ細かいこのスベスベした肌を紫外線で傷付けるとか無理無理。


下地の後はまつ毛を慎重にビューラーであげて、お湯落ちするクリアマスカラを塗る、唇にリップ下地を塗ったあとでピンクのグロスを薄くつける。

どれもも石鹸で落ちるヤツだ。


─メイク落とし持って無さそうだもんねこの子。


そしてヘアアイロンで前髪を軽くセットする。

カールのコテでセットするようにカットされてない重たい前髪は扱いが難しい。



「おぉ~すごい!めちゃくちゃ可愛くなったね。陽菜ちゃん、職人さんみたいだったよ」


いつのまにか横にいた戸田が感心したように褒める、これは莉央を褒めると言うよりは陽菜の腕前を褒めているように聞こえた。


「あ、戸田くんおはよう」


陽菜は作業に集中しててつい無視しそうになったが、挨拶と笑顔を忘れたらダメだと慌てて答えた。

莉央は口数がなく、指示を静かに聞くので思ったよりも作業に集中していたようだ。


「まだ終わってないんだよ~、あ、莉央ちゃん唇は触っちゃダメだからね!」


と言いながらサブバックからベロア生地の深い青色のリボンを取り出してポニーテール部分にリボン結びにしてセットする。


「このリボンね、私が今日つけるのとイロチだから、お揃いね」


と莉央に言うと、莉央はとても嬉しそうに頷いた。


─頬が真っ赤ね、チークいらず。


そんな莉央を見て、陽菜は少し笑った。



仕上がった莉央を見てクラスメイトもその可愛さに注目しているのを見て、ライバル候補の評価上げてどーすんの!という気持ちに一瞬苛まれるが、仕上がった莉央を見るとそんな考えはすぐ覆される。


─美、美しい、可愛い。こんな可愛いを作れるなんて私はやっぱり天才。


と、結局陽菜は自分が仕上げた可愛いに満足してそれを写真に納めてさらに満足して「自分の準備しよっ」とご機嫌で教室に帰ることになった。

陽菜に顔作ってもらってる間、莉央は髪をいじられたり顔にあたる指を気持ちいいと思って満喫してます。

またされたいと思ってます。



次は「興味ないのよね、スポーツって」です。

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