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33.普通の夏休みの過ごし方

「はぁ~スッキリした~!」


野崎さんがご満悦で、本当にカラオケをストレス解消にしてるんだなと僕は思った。


「久しぶりに歌ったな~」

「戸田やっぱり上手かったよね」


僕が思い出し笑いをすると戸田は少し拗ねたような表情で「いじるの禁止~」と言った。


「莉央ちゃんは電車だね、また明日ね!」

「気をつけてね~。」

「また明日。」

「…うん。また明日ね。」


改札で浅葱さんを見送る。


そして商店街の本屋に寄るついでに、野崎さんを家まで送る流れになった。

野崎さんは次のカラオケの時までに戸田にあるアーティストの曲を歌えるようになって欲しいから覚えて欲しいと頼み込んでいた。

歌唱力のある歌手のなかなか難しそうな曲だが、戸田なら歌えるだろう。


「この曲知ってる~」

「ほんとに!?歌えそうかな??」

「練習してみるよ~」

「やったぁ!!」


野崎さんがいつもより鬼気迫る感じがある気がする。


─もしかして推しの歌手、とかなのかな。野崎さんはけっこう大人な趣味なんだなぁ。でも分かる、僕も戸田に歌って欲しい難曲(アニソン)が何曲かある。


いつも明るいがうるさくはなく、穏やかで優しい、それは激しくテンションが動かない、ある意味で冷静だという意味でもある、そんな野崎さんをあんな風に控えめにでも興奮させれるのだ、歌が上手いと言うのはそれだけでとんでもない武器になるのだなと僕は学んだ。



野崎さんを送ったあと、本屋へ寄り、戸田は着替えて僕の家に行くといったので二人で戸田の家に向かった。

サクッと着替えてコンビニでお菓子を買う。高台方面へ向けて歩く。


「期末終わって、来週球技大会あって、その後は夏休みか~」

「なんかテスト期間終わったからかな、夏はあっという間に時間経ちそうな気がする。」

「だね~。」


「…夏休みって普通は何して過ごすの??」


少しの間の後に突然戸田に質問をぶっ込まれる。


─なんだその質問。普通、普通の高校生はって意味かな。戸田は…まぁ色んな意味で普通の中学時代送ってないっぽいからそういう質問でちゃうのか、困ったな、そんなこと言われても僕だって友達出来たのここ数ヶ月の話なんで、友達との夏の過ごし方なんて漫画でしか…否!青春漫画の高校生の夏休みの過ごし方こそ最適解では!?それだ!!


思考をフル回転させた結果そこに辿り着いた。


「普通~は~、うーん、まずはお祭りだよね!」

「お祭りかぁ!なるほど~!」

「花火大会とか!」

「花火かぁ~遠目でしか見た事ないな~。」

「たしかにこの辺で花火大会っていったらちょっと開催地まで遠いよね。」


─花火じゃなくともお祭りで浴衣の女の子とのデートはラブコメでは鉄板!外せないよなぁ。


「あとはプールや海に行くとか!」

「プールや海…」


戸田が渋い表情になる。


─どうせ戸田の想像する海はアレだろう、ギャルなお姉ちゃんをナンパする…いや、戸田の場合はナンパされるか。とにかくそんな荒んだ男女のアレではなく、友達な女の子の普段は見れない水着姿にちょっとドキドキする…程度の甘酸っぱいものを経験しろという事だよ!そこ楽しめないなら海に価値はない!(偏見)


という冗談はさておき、たしかに戸田を海なんかに連れていったらもうそれは色々と大変なことが起こりそうだ。

その上野崎さんと浅葱さんを誘ったらそっちも声かけられて大変だし、手の空いてる僕が女子2人をナンパの魔の手から守るとか難易度が高すぎるから海は却下だ。



「少しハードルが高いけどキャンプとか」

「キャンプ…!」


─お、なんか興味ありげだな。


「ちょっとハードルさげるなら、水族館とか遊園地とかのレジャー系日帰り遠出かな~」

「遊園地…。」


─あれ、その浅葱さんみたいな反応、もしかして遊園地行ったことない感じ?もしかしてキャンプもそうだった?も~、これだから家庭不全ボーイは!触れにくいじゃ~ん。


うちの家で毎年やる夏のキャンプ、戸田誘ったら喜ぶかな、とちょっと考えてしまう。



「も、もっとハードル下げるなら映画館で映画観るとか、夏休みは映画作品の配給数増えるよね~」

「なるほど映画館か~!意外と行かないよね、映画館って」


漫画に紐付けて話したせいか、少し饒舌になってしまった気がする。


─なんか…そう考えると今あげたの全部デートスポットじゃない?ラブコメ漫画の見すぎでそう見えるだけ?なんか想像も全部野崎さんと浅葱さんがいるものとして出てきたし。そうじゃなくて、男同士でも行くものアリなのかな…男子高校生同士の普通の夏休みが…分からない…。


遠い目になりかけた時に戸田が「なんか楽しいことしたいな、今あげたやつのどれかしようよ~」と言ってきて我に返る。


「そうだね、夏休み、満喫しよう。」


─野崎さんと浅葱さんに協力を要請しよう。


とは言っても、二人だって予定はあるだろうから難しい日もあるかもしれない、戸田と2人っきりで映画に行く可能性も鑑みて、戸田には今のうちからこの夏公開の漫画原作の劇場版アニメの、シーズン1とシーズン2を履修しておいてもらおうと思う。



ちなみにちょっと気になったので、戸田は今までどんな夏休みを過ごしてたの?と聞いた。


「中学の時可愛がってもらってた先輩?が結構年上で…夏休みは毎晩繁華街連れ回されてた…。あとはジムとか?その先輩は好きだったから楽しいは楽しかったよ。

でも夏じゃなくてもだいたいそんな感じで…。

同じ年頃の連中と1回だけ海行ったことはあるけど…皆飲むかナンパするかって感じで、女の子達が…こう、色々…面倒…いや、大変で。」

「分かった、戸田分かったよ。聞いて悪かった。海はやめとこうな」

「…うん。」


恐らくだけど、青春未経験な僕よりタチの悪い感じだ。

戸田に健全な夏休みを過ごして青春を知ってもらうために僕も、一肌脱がなければならないなと覚悟を決めた。

陽菜ちゃんはなんでも″実力派″が好きです。

アイドルとかは容姿を重視しますが、歌手なら歌唱力と作詞作曲の能力が高さに惚れ込みます。


次は陽菜ちゃん視点で「野崎陽菜の欲望」です。

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