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29.勉強会

前が短かったので連続更新です。

かくして、7月の期末試験まで、毎週末、一番人が集まりやすい立地&環境がある戸田の家に集まってテスト勉強会が開催されることになった。


無計画にやるのも勿体ないので戸田と作戦会議を立てる、午前中に集まって夕方まで、1日2科目と自習時間。

教科書の見直しと、参考書をコピーしたものをやることにした。

友達との勉強会なんて僕も戸田も初めてなので、これでいいのか分からないからとりあえずやってみて合わなければ変えていこうかと言う話に落ち着いた。


「お母さんに家で友達と勉強会するから、人数分の座布団が欲しいって言ったら、あの人それをジジイに言ったっぽいんだよね」


「あら。」と僕は思わず変な返事をしてしまう。


「そしたらジジイ大喜びで、めっちゃお小遣い渡されたからそのお金でお昼食べよ~」

「え、…いいの?」

「いいよいいよ~、全員分払ってもあまるくらいもらった」


─え、いくらもらったの?


と気になったがそれを聞くのはなんか違う気がする。置いておこう。

なんとか説得して高校に通わせた非行少年が、中間ではそう悪くない成績とって、その上友達と勉強会だ。

そりゃ祖父母も大喜びするに決まっている。


それにしても遠慮なしに戸田の奢りに乗っかってしまった。

我ながらなんともはしたない感じだ。

僕はテストまでの勉強会、3回分のお昼ご飯、昼食に自分のお小遣いを使うという発想がなかったので、母に休みの日にお弁当頼むの申し訳ないな~とか思っていたのだ。

そしてよく考えたら戸田の家で食べるとも決まってないし、外食の可能性も全然あるということに、戸田から奢るよ~と言われた瞬間に気付いたのだ。

友達と遊んだことない弊害がモロに出ている。

そして脳内でそれにかかるであろう費用を調べて計算し、自分のお小遣いと照らし合わせた上で、貯金もあるし全然必要経費として範囲内だけども、それが奢りになると言うのはメリットがあり過ぎる!と即座に飛びついた流れだ。


奢りだなんて、遠慮した方がいいか?と一瞬良心が顔を出したが、これも適材適所だ!

お金を貰った戸田がそれでいいと言うなら遠慮なく馳走になるのが1番!と僕は開き直る。


─いやぁ~助かるぅ~!戸田と戸田祖父に大感謝!



テスト勉強会は個人的にとても楽しかった。

戸田は基本的に浅葱さんにつきっきりで教えていて、聞いてて教え方上手いな~と感心した。

僕と野崎さんは、学力が近いけど得意教科がそれぞれ違うのでお互いで教えあったりしていた。


浅葱さんは集中力が続かない時もあって、ぼーっとしたり無心でチョコレートを食べている時がある。

戸田はそういう時は無理強いせずに、自分の勉強を進めたりして適度に放置するとまたノートに向き合い出すのでその時に教える、と言ったふうに上手くやっている様だ。

逆に野崎さんは集中力がしっかりある感じで、いつもの明るくて穏やかななりは消えて真剣に勉強している。

集中しすぎて休憩にしようと言っても「ちょっとここの解き方が…」と粘ろうとしたりする。


─それぞれ性格が出るなぁ。


普段のノートのとり方もそうだ。

戸田のノートは死ぬほど綺麗だ。見やすい。

先生の言った大事なこととか、要点のまとめ方とかが分かりやすくて、見てるだけで頭良くなりそうだけど、戸田は「ノートを見返すことはないな~。」言っていた。

天才型め。

野崎さんのノートは、女子らしい色合いの可愛いノートだった。癒される。

浅葱さんのノートは…。

まず黒板に書かれた全部は書いていない、どうやって選んでるのか分からないけど途中からバッサリ内容が無くなる時がある。

これは浅葱さんが授業を聞いてない時の空白なんだろうな…と何となく察する。

そして所々にやたらと上手い絵や不思議な模様が書いてある。


─性格が出すぎている気がする。


とちょっと面白がりながらも僕は勉強を続けた。



昼食は最初はファミレス、2回目は戸田が好きらしいお蕎麦屋さん、3回目は野崎さんオススメの洋食屋さんだった。

どれも美味しかったし、ほんとに戸田と戸田祖父に感謝感謝だ。

ただ初めてご馳走してもらった時、開き直ったはずだったのにやっぱりこれはなんか申し訳ない気がするぞ!?となった僕は、ご馳走になる度に戸田にコーラを買って心ばかりのお返しをすることにした。


やったぜ奢りだぜぐへへ!という僕と、友達に奢ってもらうばっかりって良くないなという僕が脳内で戦う。

自分が1度決めたことに後から気持ちが反することなんて初めてで、こんなこともあるんだな、と新鮮な気持ちになった。


野崎さんは集まりの度に勉強で頭を使うからとチョコレート系のお菓子の差し入れをしてくれた。

戸田は甘いお菓子を好まないから戸田用のスナック菓子も複数個添えてあって流石だなと僕は感心した。


浅葱さんは…、まぁ、彼女はそのままでいいのだ。



3回も個人的に集まって共に勉強をすると、流石に関係も変化する。

特に浅葱さんと野崎さんは女の子同士だからか、集まる回を重ねる事に距離感が近くなっている。


僕は野崎さんと話す時にだいぶ緊張がなくなったし、野崎さんも相変わらず完璧可愛い感じはあるのだが、以前よりも気安く接してくれるように感じる時がある。

戸田も、野崎さんの前で女の子の前で良くする紳士かつ距離感ある感じの空気も残しつつ、くつろいだ時の緩~い感じを出して、僕に対してだけどいつもの様にワガママで甘えた感じを出す瞬間があるのを、僕は見逃さない。


浅葱さんは懐いたら相手にスススっと近づき、そしてちょっと距離感がバグるとこまでは知っていたが、その上にピトッとくっつく性質がある事を新たに知った。

くっくかれた野崎さんも特に気にする様子もなく、普通の様に浅葱さんに対応しているし、食事中浅葱さんの口周りについた食べカスを「もぅ、ついてるよ?」とか言って拭いてあげたりもする。


─可愛い女の子同士が目の前でイチャイチャしてるの、普通にご褒美だな。


そんなキモいことを僕は真剣に考える。

もちろん絶対に口には出さない、絶対にだ。



そういえば野崎さんは、浅葱さんにくっつかれることは気にしてないみたいだけど、たまに浅葱さんをじーっと見て、何か言いたそうな顔をしている時がある。

悪感情ではなく、悩んでいるというか、葛藤しているようなそんな表情だ。

本当に一瞬だから最初は僕の勘違いかもと思ったが、そんな表情をしてるのを何回か見かけたので間違いないと思う。


─浅葱さん、ツッコミどころが多い子だから、野崎さんも実は脳内でツッコミ入れてるのかもな。


優しい野崎さんが、僕みたいに頭の中では色々変なこと考えてたら面白いのにな、と想像して、少し面白くなった僕はクスリと笑った。

直哉(主人公)のお小遣いは月7000円です。

高校1年生の平均より多いですが、通信費込で、実際使える金額は5000円程度。

全額漫画にぶっ込んでる訳ではなく真面目に貯金もしてます。

高校入学で2000円も増額して、直哉はご機嫌です。


次は番外編「ユイとミサキ」です。

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