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27.莉央の学習 side-R

戸田、高田、陽菜、莉央の4人で下校した日に、その4人で勉強会をすることになった。

場所は立地的に全員が集まりやすいしそれなりに広さもあるからと戸田の家になった。


莉央は自分の中間テストの結果を言った時の周りの反応を思い出して、勉強をするべきなんだろうか…と少し考えた。


莉央は昔から勉強は得意ではなく、中学は引越し先の公立中学に普通に通い、高校は自宅から近いところと、自分の成績に合いそうな少し遠いとこにある私立を受けいて、家から比較的近い進学校が運良く繰り上げ合格になったために今の高校に進学することが決まった。


そのせいか勿論高校に入ったら授業は難しく、莉央自身は全くやる気はなく、母も莉央の成績に対しては放任なところがあるため、学年でも最下層気味と言う結果になった。

順位を言った時の皆の反応、陽菜の勉強に対する熱意を考えると、自分も少し頑張らないと皆と一緒にいられないのでは?という考えに珍しく至れた莉央は、勉強を少し頑張ることにした。


戸田の前で泣いた日から、莉央はまた趣味の絵を描くようになっていた。

陽菜と仲良くなってからはさらに筆が進んで、クロッキー帳にクレパスで動物の絵を描いたり、水彩紙に水彩絵具で花の絵を描いたりしていたが、ひとまず莉央はその遊び道具を人知れず封印する。



約束した土曜日の午前中、莉央は通話アプリに共有された位置情報の場所に向かうと、戸田の住むマンションに着いた。

すでに高田と陽菜は着いていたらしく莉央は最後の到着だった。


インターフォンを鳴らし、オートロックを開けてもらって、エレベーターで指定の階へ向かう。

部屋番号を間違えないように確認したあとドアベルを鳴らすと陽菜が出迎えてくれた。

陽菜は淡いピンクのVネックの薄手のニットに、黒のガウチョパンツを履いていて、莉央はそれをとても可愛く似合っていると思った。

莉央は黒のパンツに何の変哲もない白のセーターで、陽菜の女の子らしくオシャレさもある服装と比べると地味だったが、莉央自身服にこだわりもなく、人と比べると言う思考がないために、陽菜の可愛さに満足して終わってしまったし、挨拶をした後に頭から足元まで莉央のことを一瞥して一瞬だけ納得いかない顔をした陽菜にも気付かなかった。


莉央が陽菜について行く形で、玄関から廊下を抜けると、広めのリビングがあり、壁掛けのテレビとソファとローテーブルが置いてあった。

すでにテーブルについてノートを出していた戸田と高田が莉央に挨拶をしてくる。


莉央が戸田が一人暮らしをしている事を知ったのは、この勉強会が決まった時だったけど、戸田の家は広くて綺麗であまり物が置いてない印象だった。

陽菜に「部屋綺麗だよね~」と言われ「クローゼットの中とか引き出しの中はごちゃごちゃしてるよ~」と戸田は答えていた。


陽菜に飲み物は何がいいかと何種類か候補を出されたので、その中から麦茶を選んで答えると、陽菜は勝手を知ったるかのように冷蔵庫から麦茶を出し、コップに注いで、そのコップを自分が座る席に置いてくれた。

莉央は陽菜の隣が良かったが、席は戸田の隣だった。そして目の前は高田で、陽菜は斜め前に座っていた。

莉央は陽菜が遠くて少し寂しくなる。

これは、莉央が高田にも戸田にも分からないところを聞きやすくするための配慮だったが、莉央は勿論それには気付かなかった。


「さ~、じゃあ勉強会の始まりだね~!」


戸田の号令で莉央の初めての友達との勉強会が始まった。



勉強会は午前中から夕方までの予定で、昼食や休憩は取るけど、勉強に充てる時間はたっぷりあった。

今日メインの教科は、数学と英語、あと一教科は自習的に自分のしたい教科の勉強をする流れだ。


最初は数学、数学は基本的に数式を覚えて、それを使って計算する単純なものと、応用する少し難しい問題が出るくらいで、中間試験の出題傾向と、そう中身は変わらないだろうと言う見込みを高田が話していた。

基本的には教科書の問題を解き直す、それが出来たら高田達がコピーしてきた市販の問題集の問題を解く、答え合わせする、間違ってるとこをなぜ間違えたのか把握する、そんなやり方で進む。


やり方の提案は高田がしているが、この4人の中で数学が1番得意なのは戸田で、戸田も問題は解くけど基本的には数学では指導員の役目になってもらうから、分からないことは戸田に聞くように、と高田は言った。


莉央はもちろん教科書の問題で早速躓く。

シャープペンが止まっていると、戸田が目ざとく気付いて覗き込んできて、ヒントをくれる。


─先生より分かりやすいかも。


戸田は、莉央には数式の導出過程を説明してもまっっったく理解出来ないと言うことにすぐに気付いて、数式を暗記させて、それに問題を当てはめて解くと言う基本的なやり方に方向転換した。

そして難易度の低い問題だけを何問も解かせることによって、この問題にはこの数式!のパターンを定着させることを狙ったのだ。

もちろんそんなことにはまったく気付いてない莉央は戸田の教え方にそう思いながら、ゆっくり問題を解いた。



高田と陽菜は同じくらいのペースで問題を解く、たまに陽菜が躓いて、手が空いてる戸田に聞いたり、戸田が莉央にかまっている時は高田と応用問題について話し合ったりしていた。



時間はあっという間に経ってお昼前になった。

莉央は勉強マジでやって来てないのでほぼ何も出来ません、最初はスポンジ的な吸収力を発揮出来ますが、どちらにせよ勉強に対する能力は低いので、打ち止めは早いです。


次は「居場所」です。

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