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23.ほんと大丈夫かこの子

ホームルームが終わって、戸田と浅葱さんと靴箱へ向かうと、一緒に歩いていた浅葱さんの視界が何かに奪われているのに気付いた。


ここ数日でよく見るこの表情は、彼女が野崎さんを見つけた時にするものなので「あ、野崎さんいるのかな」と思い目線の先を見たら案の定、野崎さんが一人で靴を履こうとしている所だった。


浅葱さんを見るとまた迷子になった子供みたいな顔をしていた。

きっと声をかけたいけどどうすればいいのか分からないんだろうなと僕は察する。


「野崎さん!」


と僕が声をかけると、少し遠くにいた野崎さんはこっちを見て少し驚いた顔をして小さく手を振る。


─さぁ、チャンスは作ったぞ、一緒に帰ろうと頑張って誘うのだ!一緒に登校してるならハードルは普通よりは低いはずだ!!


と考えながら浅葱さんを見つめると、

「陽菜ちゃんだ~、帰りに会うの珍しいね~?一緒に帰ろうよ~」と戸田が先を越してしまった。


─あかん、コミュ力高いやつが周りにいることによってこの子のコミュ力が育たないコースに入ってしまってる。


と僕は思ったが、浅葱さんは満足そうに頷いてるからまぁ良しとするかと思った。

対人能力なんてものはゆっくり育てていけばいいのだ、僕も彼女も。

ただ、浅葱さんには球技大会の時に自分で野崎さんを昼食に誘う様に提案はしてみようとは思った。出来るかな。



「えっ、戸田くんの家、駅の近くなんだ~!ご近所さんだね~」


いつも通り愛らしく野崎さんが微笑む。


「高田くんは高台か~、私は商店街だし、電車通は莉央ちゃんだけなんだね。」


野崎さんの言葉に浅葱さんはコクリと頷く。



野崎さんのいる6組は担任教師の性質上、ホームルームがめちゃくちゃ短く、いつもすぐ終わるらしく、野崎さんは帰宅したら家の手伝いをするからそのまま帰っていため僕らと鉢合わせすることがなかったみたいだ。

今日は4組も球技大会の種目決めがあったため、僕らのクラスのホームルームと終わるタイミングが同じくらいになった様だ。


ちなみにいつも一緒にいる神田さんと矢野さんとは部活に入ってるらしく別行動である。



「莉央ちゃんバレーボールにしたの?私もだよ!一緒だね!」


浅葱さんはコクリと頷いた、心做しか嬉しそうだ。


「高田くんは野球選んだんだね!やったことあるの?」

「いや、体育でくらいしかないよ。でもバスケよりは出来るかな。」


ボールが小さい分ね、と僕は考える。


「そうなんだ~!戸田くんは両方出るんだよね?」

「うん~、なんかそんな流れになった~」

「すごいね~!」

「バスケは好きだから楽しみだな~」

「2人のこと応援しにいくね~、ね、莉央ちゃん!」


そういうと浅葱さんはさっきよりも明らかに嬉しそうに頷いた。


─ほんとこの子野崎さんが好きだな。まぁ分からんでもないけど。


僕だって、野崎さんの弾む声が紡ぐ提案にはなんとなく「活躍出来る訳じゃないんだから応援とかやめてくれ~」とかの否定的な返しが出来なくなる。

反応できなかった僕のかわりに、という訳では無いけど戸田が「なら頑張らなきゃな~」と答えていた。



「でもその前に期末だよね~!」

「テストかぁ~」

「考えたくないね。」

「私中間205位で…もっといい順位とりたいな~…」


野崎さんの何気ない一言に何か真剣さを感じる。


「陽菜ちゃん真面目なんだね~?」


多分それを汲み取った戸田がそう聞くと「お小遣いかかってるからね!」と冗談めかして野崎さんが答えた。


とても共感できる理由だと僕は納得する。


「うちもお小遣いかかってるから真剣だよ。」

「高田くんのとこも?気合いはいるよね~!」


野崎さんが嬉しそうに答える。


「俺、この前の中間そんなに悪くなかったけど、期末は範囲増えるしやっぱり下がるかな~」


戸田が真面目な学生っぽいことを言ってるのはなんか変な感じだ。

あれだけ毎日毎時間授業中寝ていたのに、人は変わるものだなと思う。

ちなみに戸田は、真面目に授業に取り組むとやはり記憶力がいいらしく、特別真剣にテスト勉強したわけでもないのに、中間ではなんなく学年全体で言うと上の下くらいの成績を取っていた。

ちなみに僕は真面目に試験勉強して中の上くらい、前回の中間テストは472人中177位だった。

戸田にはしっかり順位を抜かされている。



「…そういえば浅葱さんは前回の中間何位だったの?」


全員の視線が浅葱さんに集まる。

少しストレートに聞きすぎたかな?と思ったが、気になって聞いてしまった、何となく嫌な予感がしたのだ。



「…………450位あたり…?」



全員が、成績にこだわりのそこまでなさそうな戸田ですら、絶句してしまう。


─この子なんでこんなにもポンコツなんだろうか…。本当に色々と心配なんだけど…。


初めて見た″固まってる野崎さん″がハッとして動きだす。


「そうだ!一緒にテスト勉強しよっ?皆で!ね?」


流石野崎さんである、建設的かつ、その場が温まる提案に誰もが頷き、次の土曜日にテスト勉強会が開かれることになった。

莉央ちゃんは一芸特化でそれ以外はドポンコツです。


次は莉央ちゃん視点。「莉央の世界」です。

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