初めての登校
僕は2週間入院することになった。だが男性が貴重だからか待遇はめっちゃいい。ただ…
「今日の体調はどうですかぁ?」
ユキ「あ、はい。いつも通りです」
「それは良かったです…念のためおでこ触りますね」
こんな感じにかなりスキンシップが激しい。てかなんかよだれ出てないか?他にも廊下を歩くだけで視線が集まる。そして1番の問題点は男性が少ないためトイレが男女混同になっていることだ。昨今では男性トイレも作るべきだという意見も多いが、まだ実現にまでは至っていないらしい。だがある程度安全に2週間を終えることができた。
「それじゃあ今日で退院ですね。親御さんが迎えにきてますよ」
ユキ「はい。佐々木さん、ありがとうございました!」
佐々木「じゃあ、また病気や怪我になったらいつでも来てね…もちろん何もない時でも…」
ユキ「はーい。それじゃあ」
佐々木「…『私の恋…さようなら…』」
そして僕は退院をした。
・・・
ユキ「で…学校に行きたいんだけど…」
僕が学校に行こうとするとその行手を楓と母によって防がれていた。
ハルカ「ダメよ!学校なんてメス共の巣窟なのよ!獣しかいないのよ!そんな中に雪を入れたら…一瞬で食い尽くされちゃうわ!」
カエデ「そうだよ!お兄ちゃんはメス共の怖さを知らないんだよ!」
ユキ「いやいや…そのための護衛がいるんでしょ?」
女性からの性的被害が世界全体で問題となり、日本は男性1人に護衛を3人つけることとなった。もちろん護衛は女性だが、同い年で一定の試験を突破した者しかなれないらしい。
ハルカ「でも…」
ユキ「このまま家に居るのも暇だしさ」
カエデ「ぐぬぬぬ…かくなる上は…私がお兄ちゃんの童貞を!」
そんな感じでカエデが襲いかかってくる。それを後ろから頭を叩く人物が1人…
「すみません。雪様は護衛対象ですので、雪様の妹だとしてもその行為を許すことはできません」
ユキ「君が僕の護衛の1人かな?」
カナ「はい。急な入室失礼しました。私は山岡佳奈、予定時刻になられても出てこないため何か起こっていると考え侵入させていただきました。」
山岡佳奈さん、身長は高く、顔もスタイルもかなりいい。いわゆる美女に含まれるタイプだ。元の世界にいたらモテるどころかアイドルになっていてもおかしくないほどだ。
ユキ「他の2人は?」
カナ「外で待機させています。見知らぬ女が同時に3人も現れれば雪様へのストレスがかかると思い、リーダーである私のみが入っております。」
ユキ「なるほど…」
カナ「それで…どうされますか?」
ユキ「いや、普通に学校に行くよ。それじゃあ行ってくるね」
ハルカ「あ!ちょっと!」
そんな母の静止を振り切って俺は外に出た。するとそこにはこれまた美女が2人待っていた。
「ん…遅かったね」
「それなー、うちを入ろうと思ったんだけどーさくらっちから止められてさー」
カナ「はいはい。そんなことより雪様に挨拶して!」
サクラ「私は遠藤桜、よろしく」
ナナミ「うちは田口七美、よろしくー」
遠藤桜さんは低身長でぱっと見だけだと中学生程度に間違えてしまうような見た目だ。田口七美さんはギャルのような見た目で制服も着崩している。髪色も金髪に染められている。2人とも佳奈さんに勝るとも劣らないほどの美女だ。
ユキ「もう知っていると思いますが僕は柳雪です。よろしくお願いします」
俺がそういうと2人は驚いたような表情で固まった。
ナナミ「うわー…あれってマジだったんだー嘘かと思ってた」
サクラ「ん、私も」
ユキ「??どういうこと?」
カナ「えーとですね…男性は女性に恐怖心があり、喋るどころか挨拶すらしない人が大半なんです。なので雪様のような存在は本来小説・漫画の中だけの存在なんです」
ユキ「なるほど…って時間がやばいね。遅刻しないように歩きながら話そうか。」
カナ「わかりました。じゃあ、訓練通りに…」
ナナミ・サクラ「はい」
そういうと佳奈さんは俺の右隣に、桜さんは左隣、七美さんは後ろについていた。
ユキ「これは?」
カナ「これは所謂隊列のようなものです。リーダーである私が右側を守り、身長の高い方が後ろを守る。そしてもう1人が左側を守るという感じです。」
ユキ「そうなんだ…でも僕は七美さんとも仲良くなりたいな」
ナナミ「!?…なにそれ…誘ってんの?」
ユキ「??」
カナ「雪様…そう言った言動は控えていただきたいです。勘違い女を作り出してしまうので…」
ユキ「そういうものなの?」
カナ「はい。と…駅に着きましたね。次の電車はすぐ来るそうなので急ぎましょうか」
ユキ「そうだね」
そして僕たちは電車に乗り学校を目指した。その時だった。
ユキ『ん?なんかお尻に違和感が…気のせいかな?』
誰かの手が僕のお尻に当たってくる。最初はたまたまだと思っていた。時間が時間のため人も多いし、当たることもあるだろうと。だがその手は徐々に激しさを増し僕のお尻を鷲掴んできた。瞬間だった。サクラさんがその人の手を掴み上げる。
サクラ「何やってるのかわかってるの?おばさん。男性への痴漢は罪が重いよ」
そこにいたのは母と同い年程度の女性だった。
「す…すみません!出来心だったんです…許してください」
サクラ「ダメ…私の護衛対象を狙ったんだから…反省してもらわないと」
ユキ「いいよ。そこまでしなくても…お姉さんも次からはこんなことはしないようにね」
「は、はい!『好きぃ』」
サクラ「はぁ…」
ユキ「どうしたの?疲れたの?」
サクラ「ううん…これからのことを考えてたら憂鬱になっただけ…」
ユキ「というか佳奈さんと七美さんは?」
サクラ「2人は少し離れたところでこっちを見てる。複数人で護衛してたら一人一人の行動範囲が狭くなったり、一瞬の思考が命取りになる。だから狭い場所では1人が護衛対象の側、他2人が遠くから危険人物の捜索をするの」
ユキ「そうなんだ。でもそれなら普通佳奈さんがここにいるんじゃないの?」
サクラ「七美がじゃんけんで決めたいって駄々コネたから…私じゃ嫌だった?」
ユキ「そんなことないよ!桜さんも美人だし、普通に嬉しいよ。」
サクラ「///…そんなことを平然と言わないで」
ユキ「あ、ごめん…」
その後は何事もなく駅に着いた。
カナ「桜、何も起きなかった?」
サクラ「痴漢しようとする変態はいた。でもすぐに追い払った」
カナ「警察は?」
サクラ「雪くんが別にそこまでしなくていいって言ったから忠告だけして解放した。」
カナ「…わかりました。雪様、今後はそういう甘いことはしない方がいいですよ。女…雌というのはそういう隙を狙って入り込んでくる獣なので…」
ユキ「大丈夫だよ。痴漢してきたお姉さんも注意したらやめてくれたし」
カナ「はぁ…まあいいです。と、ここが私たちが通う恋楽学園です」
そして僕はこの世界に来てやっと学校に着くことができたのだった。