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夏休み初日

 期末テストも終えたあとはすんなりと7月に入り、夏休みが始まった。そして夏休み初日、僕のところに来た子が3人いた。


「はじめまして!佐々木冬香です!夏休みの前半だけ護衛になることになりました!よろしくお願いします!」


佳奈さんたちが護衛本部にいくため夏休みの前半は別の護衛が派遣されることになり、来てくれた1人が冬香さんらしい。冬香さんも僕と同い年で結構元気がいい。


「私は原崎阿美です。よろしくお願いします」

「ワタシは中村マリンです。よろしくオネガイシマース」


阿美さんは真面目な雰囲気で佳奈さんに近い印象を受けた。マリアさんはハーフなのか、金髪でところどころ日本語がカタコトだ。そして3人とも僕より若干身長が高い…悲しい…


「もう知ってると思うけど僕は柳雪、短い間だけどよろしくね」

「ぐっ…」

「え、大丈夫?」

「大丈夫です。持病の発作ですので」

「そう…キツかったら言ってね?」

「は、はい…」

「ですが男性でここまで女性と関われる人は珍しいですね。」

「佳奈さんたちから聞いてないかな?僕、記憶が混乱というか、曖昧で…女性に警戒心を抱く理由がわかんないんだよね。もちろん誘拐されたことはあったけど…」

「誘拐されても女性を警戒しないとか…ごほん…失礼しました。そこに関しましては佳奈さんから聞いています。では、本日はどこに出かける予定なのでしょうか?」

「今日は髪を切りに行こうと思ってて、流石に髪伸びたからね」

「なるほど…わかりました。既に行く場所は決められているのですか?」

「うん、桜さんからここがいいって言われて…」

「わかりました。2人とも、初日からミス…いえ、初日じゃなくともミスは許されません。気を張ってくださいね」

「「ハイ!」」

「じゃあ行こうか」


・・・


 そんなこんなで床屋というか美容室に来たのだが…


「やっぱり女性しかいないなぁ」

「そうですね。美容室や床屋ではどうしても店員との接触が避けられませんので、男性はあまり来ないイメージですね。」

「え、じゃあ普段はどうやって髪切ってるんだろ…」

「多いのは髪を伸ばしてある程度伸び切ったら自分で少し短くする方ですね。もしくは身近にいる同性に頼むなどですね。」

「なるほど…っと店の前で立ち止まるのもよくないよね。入ろうか」


そして美容室の中に入る。


「いらっしゃいませ!って男!!?」


驚いたように店員が驚く。その声に釣られて他の従業員、お客さんすらもこちらを向く。そしてたちまちざわつき始める。


「全員落ち着きなさい!この方は私が依頼を受けたお客様です。」


1人の赤髪の女性が全員を静かにさせた。その女性は徐々に僕に近づいてくる。阿美さんたちは警戒しながら女性を見ている。


「驚かせてしまい申し訳ありません。」

「大丈夫ですよ。で、貴方は?」

「これは失礼しました。私は遠藤鈴美といいます。」

「遠藤…え、もしかして…」

「はい、桜の母です。娘から話は聞いています。あ、ご安心ください。私も昔は男性の護衛をしていた身、距離感は心得ていますので」

「じゃあ、今日僕の担当をしてくれるのは…」

「はい。私となります。」

「わかりました。みんなも大丈夫だよね?」

「桜さんの母でしたら私は大丈夫だと思います!」

「私も問題ないかと…」

「No problemデース」

「ということですので、今日はお願いします。」

「こちらこそ全力でご要望にお応えいたします。では本日はどのような髪型にされる予定で…」

「そうですね…前髪は短め、少し眉にかかる程度で…襟足は結構切っても大丈夫です。横も最近耳によく当たってて、そこも結構切って欲しいです。あ、それとブロックは入れずに結構雰囲気がいい感じをお願いしたいです」

「なるほど…髪の毛量もスッキリさせる感じで大丈夫ですか?」

「はい、お願いします。もう夏で流石に暑いかなと思って」

「わかりました。ではこちらにどうぞ」


そして軽くシャワーを受けた後に席に案内された。


「それじゃあ切っていきますね。」

「はい、お願いします。」


そこから髪を切ってもらいながら雑談が始まった。主に桜さんについてだった。そしてふとした時に一つ疑問に思ったことができた。


「そういえば鈴美さんも護衛をしたことがあったんですよね?なんで辞めたんですか?」

「あー、それですか。私が男性からの扱いにうんざりしたからですね。守ってもらって当然、少しでもミスをしたら叩いてくる。嫌なことがあったら護衛の私たちに当たってくる。そんな生活にうんざりしたんです。」

「そんなことあるんですか!?」

「護衛の世界ではよくある話です。それでも男性といるために護衛を続けたり、お金を集めるために我慢している人は多いものです。でも辞めるのも中々できないんです。知っていると思いますが同世代の男性にしか護衛につけません。そのため同世代の護衛試験に合格した女性を探して交代しなければなりません。ですがそんなに簡単には見つからないんですよ。ですので護衛は一度なればその護衛対象が死ぬか自分が大ミスを起こすかしない限りは9割型辞めさせてもらえないんですよ。」

「じゃあ鈴美さんもそうなんですか?」

「いえ、私の場合は運が良かったんです。上層部へのツテもありましたし、私の世代は護衛が人気でした。そして私が優秀だったこともあってある程度すんなり辞めることができたんです。」

「そうなんですね…」

「それを考えると桜たちは雪さんの護衛になれて幸せ者です。」

「そうですかね…」

「もっと自信を持ってもいいかと思いますよ。最初の頃は私は桜が護衛になることを反対していたんですが…雪さんが護衛対象なら安心してやらせられます。まあ、桜の性欲面の方が心配ですがね…」

「そこは安心してください!僕は叩いたりしないので!」

「ふふ、お願いしますね。と、切り終わったのでジャンプしにいきましょうか」


そしてジャンプも終え会計も終わった。


「今日はありがとうございました。」

「いえいえ、娘の話を聞けて嬉しかったです。またのご利用をお待ちしています。」

「はい!」

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