ep8 い、犬系…!?
「ごめん。だいぶ話が脱線してしまった。話を戻そうか。それで、そうだな…婚約の話からしていこう」
『はい、お願いします。殿下』
あれ、殿下の顔がムスッと…
「うん、お願い。ジーク、だ!」
『あ、う、うん、お願い。ジーク』
やばい、ついさっきのことなのに完全に忘れてた。
「で、婚約の話なんだけど、メルフィーナ嬢が俺と婚約したいって言ったと聞いたんだが…?」
『え?』
あ〜、妹なら言うかも…。言いそう。とりあえず…
『すみません…じゃなくて…ごめん、覚えてない…』
「そうか…まぁ、身分が釣り合ったからだろ。メルフィーナ嬢が婚約したいと言って、他の公爵家のご令嬢は婚約したくなかったそうだし…」
嘘でしょ?メルから聞くに女性の憧れだって…
『な、なんで…?』
「どうやら、愛する人と幸せに自由で健康に暮らすのが夢だとか…」
あ〜、確かに王宮って色々面倒くさそうだもんね〜。自由か〜…
「それで、候補に上がった人の中で一番身分が釣り合っているのはメルフィーナ嬢だと。…あと…メルフィーナ嬢は呼びにくい。何か愛称はない?」
そっか、一人だけジークって言ってるのにあっちはメルフィーナ嬢ではね…。
『家族からはフィーや……メルと呼ばれてる…よ…?』
「ん〜。そうだな…じゃあフィーと呼んでいいか?」
『もちろん。えっと…それで…?』
「あっ!すまない。完全に忘れてた」
さっきから話逸れすぎだしね〜。もしかして話脱線しまくるタイプ…?まぁここまで見てたらわかるか。色々気になりすぎるタイプだろうな。
「それで、まぁ、率直に言うと身分と申し出で婚約が決まったんだ。一応、婚約者候補、ではあるんだけどほぼ確実だよ。でもまさかこんなにも何も知らないとは思わなかったな」
『うぅ…ごめん…』
「あっ、謝らせるつもりはなかったんだっ…ごめん…」
うぁ!?今垂れてる耳と尻尾が見えた気が!?犬系だ…。一見ハスキーなのにゴールデンレトリバーだぁぁ。ハスキーもレトリバーも両方好きぃ…うぅ…同じ男として見てもこりゃ、惚れるわ。身分関係なしに。めっちゃ可愛い。
『ううん、全然大丈夫!』
それにしてもどうして3人とも断るんだか。王族になるのが面倒だからだけどさぁ…。だけどね?こんな美形なんだよ。もったいない。その点で言うと妹ナイス!まぁどうせ妹の事だから身分とか名誉とかだろうけどな。しかも病気だし。うーん、どうするべきか…。妹を悪化させるべきか健康にさせるべきか…。
まぁ、謹慎中暇だし、後で考えるか。魔法でも使いながら。………あれぇ、魔法使いながら考えれるのかな……。ま、それも特訓かな。