ep7 皇太子からのお願い。
沈黙が続く。沈黙って続いても気まずくない人っているけど、その人ってずっと一緒にいた人とかなんだよね〜。つまり私が言いたいのは、初対面のやつに言うことなんかねぇよぉ。めっちゃ気まずいんだが…ってこと…。頑張って話題探して…………話題がない…。お母さま…すみません。約束、破ります!
「『あの…っ!』」
「『あ、』」
「先にどうぞ」
『いえ、殿下がお先にどうぞ』
「殿下って…ははっ、まだ名前覚えてないのか。紙にでも書いておけ。ジークファルト・ルイ・ディエロスだ。ジーク、ファルト、ルイ、ディエ、ロス、よし。それ、毎日音読でもして覚えろよ」
『はい。ありがとうございます』
書いた名前を見つめる。今度こそは覚えておこうと心に誓う。
「で、話していいか?」
『あっ…、すみません。どうぞ』
「お前、何も聞いていないんだよな?」
『はい、すみません…』
「なんで謝るんだ。仕方ないだろ。聞かされていなかったんし。だから、その分俺が説明してやろう」
『はい。お願いします!!…って…あれ、さっきは我って言ってたような…?』
「あぁ、その事か。使い分けてるんだ。大人たちの前と大人がいないところで。大人の前で俺など言ったら叱られてしまうからな。だから言葉遣いも今はそんなに丁寧ではないだろう?」
『あぁ、確かに!』
「お前も俺と二人の時は言葉遣いを崩していいぞ」
お言葉に甘えちゃっていいのかな。この話し方窮屈なんだよね。防音室だし、大丈夫か。
『おっけー』
「おぉ、お前結構容赦ないな。まぁいいや。で、説明だが、まずどこまで知ってるんだ?」
『あぁ、えっと、さっき殿下が婚約者って言ったときに婚約者だって初めて知ったかな〜、』
「それすら聞かされてなかったのか…」
『うん。もちろん、殿下と会うとしか聞いてないもん』
「そうか…、その〜、また話変わるんだが、タメ口と殿下は違和感しかない…。…そうだ!ジークぐらいは覚えられるだろう?ジークと呼んでくれ!二人のときはタメ口&私の事をジークと呼ぶこと!」
『え、いや、でも…』
流石にそこまでは…
「いいからっ!そう呼んでくれ!」
『わ、分かった…』
うぅ…私がやすやすとタメ口使ったからだ…だって敬語難しいし、面倒くさいし…
…それにしてもなんであんな真剣に言ってきたんだろ……。ま、いいか
メルフィーナ(偽)はあっさりとした性格だった
テッテレー、ただの紙とペン〜!