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拝啓神へ
拝啓神へ
あなたの身勝手な悪戯で私は死にました。
そしてこれもまたあなたの身勝手な悪戯で私は転生しました。
スキルは【神殺し】だそうです。
なのであなたを殺します。
敬具
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「手紙を書いたのは何年ぶりだろうか。」
俺は一人書斎でペンを回しながら考える。
こちらの世界に来てはや一ヶ月ほどだろうか、この体にも幾分慣れてきた。
神に手紙を書こうだなんてだいぶ変なことをしている。
あの日俺は確かに神を見た。
死ぬ間際に見えたあの顔だけは今でも忘れることができない。
俺は書いた手紙を思わず握りつぶす。そして紙は発火し塵となって夜の空へ消えていった。
もう一度ペンを取りインクを付ける。
『拝啓神へ──』
少し開いた窓から吹き込む夜風が机に置かれた便箋を揺らしていた。