第一章 6 『転々爆発』
「おい、こんなの冗談じゃねえぞ…………」
ジークが焦りと、悔しさを噛みしめたように顔をゆがめた。
朝起きると、家のどこにもクリスの姿はなくなっていた。
状況を整理しよう。
昨日の夜はいた。
ミアと俺の間でクリスは寝ていた。
すやすや心地よさそうに寝ていた。
居なくなるとすれば俺とミアが眠っている間。
そう、そうだ。その時間しかありえない。
だがなぜだ。
クリスは一人で真夜中、外に出るほど肝は座っていない。
それに動機がない。
いつも俺の後ろをついて回っていたクリスが、
あの可愛いクリスが。
今いないのだ。
「おい、ララ。結界はどうした?」
「異常なんてないわよ。何者かが入った形跡もないわ」
そうだ、この家には結界があるんだった。
ララが張った結界は、魔獣や知らぬものを通さない結界だ。
だから、この家に何者かが侵入した時には気づけるようになっている、らしい。
だから、何者かがクリスをさらった、なんてことではない。
「ふざけて近くに隠れてるってのは」
「魔力感知に反応しないわ。森は魔力が入り乱れてて分からないけど」
「魔法の形跡は?」
「なかったは、どこにも」
「じゃあ、どこいったってんだよ!!」
どん、とジークは机をたたいた。
ジークが怒るとこはあまり見たことがない。
頼りない親だし、そこまで頭がいい奴ではない。
だが、自分の都合で八つ当たりしたりするような男ではない。
ジークはいい奴なんだ。
だから、怖い。
普段温厚だから、なおさら怖い。
聞きなれない怒声と、怒りの表情を見るだけで、
鳥肌が立った。
「待って、あなた、おちつい——」
「どこいったってんだよ!! もしかして一人で森に行っちまったのか?!
いやでも、あいつがそんなこと」
髪をくしゃくしゃ掻きながら取り乱している。
「森に入られちゃ俺たちだって探せるかわかんねえんだ!!
やっぱり不満だったのか?! こんな頼りねえ親父だったらしょうがねえのかもな!!
だいたいこんな俺には荷がおも——」
「——————ジーク」
そう低い声で諭したのはララだった。
呆気にとられたように、ジークはララを見た。
「大丈夫。クリスは大丈夫だから。
ジークと私の子ども。このくらい覚悟していたでしょ?」
ジークは頭をガシガシとかきき、一度息を吐いた。
「そうだ……そうだったな。
そのはずだった。
すまん、取り乱した。情けねえ」
「あなたは、考えるより行動する方があってるわ。
ほら…………あの時みたいにね」
「ああ、ありがとう。愛してる」
二人の間には確かな絆が在るのだ。
決して切れないような太くて、確かな絆が。
「アークとミアちゃんも、すまんな。こんな親父で」
「父さんだって人間だから、取り乱すことだんってあるでしょ。
別に何とも思ってないから」
「お前マジで、俺の子供かよ……。
手か本当に七歳かお前…………」
そう落胆するようにジークは肩を落とした。
ミアもあたり家中を必死に探していた。
彼女が何かするわけがない。あんなにクリスを可愛がっていたんだから。
「森をさがしましょう。クラリスがいるとしたらそこしかない」
「そう、だな」
ミアは冷静だ。中身が大人な俺なんかより冷静だ。
いや、本当は焦っているのかもしれない。
だって彼女の手は震えているんだから。
だが彼女は冷静であろうとしている、
だったら俺も、頑張らないと。
「騎士団には伝手を出した。すぐに捜索が始ま——」
——————コン、コン
突然入り口のドアがノックされる。
一瞬クリスかと思った。
だが違う。
ララはここらを魔力感知で探したがいなかったと言っていた。
だからクリスじゃない。
ジークは恐る恐るドアに近づく。
嫌な予感がする。
嫌な予感しかしない。
俺の中の警戒アラートがビンビンなってんだ。
ミアも警戒している。
——————コン、コン、コン、コン
また鳴った。
ああ、嫌だ。何かが変わってしまう予感がする。
扉を開ければ何かが変わってしまいそうでならない。
ジークはドアの前に立ち止まった。
————————コン、コン、コン、コン、コン
気色悪い。
変な汗が出る。
ああ気味が悪い。
やめてくれ。開けないでくれ。
ほんとにまずい気がするんだ。
だがジークはドアを開けた。
「……何か、ようか?」
ジークが問いかけた先。
そこには、一人の男が立っていた。
黒の装束の男だ。
フードで顔を隠し、猫背だがかなりの背がある。
なんだ、だれなんだこいつは。
見たことがない服装だ。
「そちらに、お嬢様がいらっしゃるとお聞きいたしました」
「お、じょうさま?」
「はい、お嬢様でございます」
だれのことを言っているのか分からなかった。
お嬢様。誰だ。
「ぁ…………なんで……」
ミアが弱弱しい声をこぼした。
男は家の中を覗き込んだ。
気持ち悪い目だ。
濁って腐った、人間の屑の目だ。
すると、男は頬をにちゃっおひきつらせた。
ぞっと鳥肌が立った。
かっと目が開いて、こちらを凝視している。
「あー、見つけた」
「ぁ?」
「あなた方は悪くないです。でもごめんなさいね」
「お前さっきから何言って——————」
すると男は手を突きだした。
これはアレだ。
魔法を打つ前の動作だ。
魔力をためてるんだ。
確かララが言っていた。
魔術で攻撃するときは、魔力を集中させることが大事だって。
だから腕を一直線に伸ばせば、魔力の流れがスムーズになると。
そうすることで強力な魔術を発することができると。
時間がゆっくり、スローモーションみたいに流れる。
ジークが何かを察し男に剣を振り下ろす。
剣を抜いて切りかかるまでが恐ろしく速い。
だがだめだ、もう遅い。
ララは俺とミアをかばう様に覆いかぶさる。
そして早口で何かを唱えている。
多分魔法だ。
「ララああああっ!! 二人をはや——————」
「——————フロストノヴァ」
次の瞬間、意識がぶっ飛んだ。
——————————
「っててて……」
変に頭が痛む。
それに焦げ臭い。なんだ、何が起こったんだ。
周りを見る。
「は?」
え。
ちょっと待ってくれ。
ちょっとだけ待ってほしい。
「いえ、は?」
辺り一面焼け野原だ。
いやあたり一面ってわけじゃない。
俺の家があったであろう場所だけが、黒焦げになっていた。
俺たちが過ごした家が、もうないんだ。
どうしてだ?
あ、そうだ。
家に誰かが来たんだった。
そいつが、妙な奴で……。
「あんたたち! なにが目的で!!
こんな……こんな!! まさかあなたたちがクラリスを!?」
ララがすぐ隣で怒声を上げている。
こんな怒ったララ見たことがない。
ララの目線の先を追うと、黒装束の男たちが、
ざっと十人くらいいた。
剣を振り続けた俺にならわかる。
あいつらはものすごく強い。
そうだ、ミアはどこだ。
「なんで、あいつらが…………」
ああ、いた。
隣で珍しく焦っている。
冷や汗をだらだら流して、男たちを睨んでいる。
「クリスとやらは存じ上げませんが、そちらのお嬢様を連れ去りに来ました」
もう今ならわかる。
お嬢さんと言うのはミアのことだろう。
「う、うぅう…………」
ジークがいた。
全身にやけどを覆い、うつぶせに寝ている。
肉が焼ける匂いと、全身から流れる血が状況を物語っていた。
多分ジークでなければ即死んでいた。
だが怪我がひどい。
早く治療しないと死んじまう。
やばい。
どうする。
「ミア様を連れ帰りに参りました。
まさか、こんな場所にいるなんて。
大陸中を探しても見つからないわけです」
「っ…………」
彼女が何したってんだよ。
俺たちがなにしたってんだよ。
なにも悪い事なんかしてなかっただろ!?
ジークはあれでも騎士団として町を守っていた。
ララは母親としてこれ以上ないくらい家庭を支えてくれた。
俺とクリスなんてまだがきだろ。
「怪我をさせてでも持ちかえれ。
それが勅命でございます」
「わたしはもう、あんな奴の娘じゃない」
「いいえ。あの方の娘でございます」
「あいつは私を捨てた。
それで今になって戻ってこいはおかしい。
私のお父さんは師匠だけだ。」
「いいえ、おかしくありません。
たとえ下賤な女から生まれた子であろうと、
あなたがあの方の血を継いでいると判明したのであれば、
あなたには王位継承権があります。
国に戻る義務がございます。」
なんの話をしているんだ。
王位継承権? 勅命?
何を言ってるんだかさっぱり分からない。
「まだ抵抗するのでしたら……」
「———っ! おじさんは関係ない!!」
男は倒れるジークに向けて魔法を打とうとしている。
ミアが声を荒げた。
まずい。これはまずい。
次は確実にジークが死ぬ。
かといって今飛び出したところで、あの男たちには勝てない。
どうする。やばい。
何もできない。
すると、ミアは俺を見て悲しそうに、泣き出しそうに眉を下げた。
そんな顔しないでくれ。
何かを諦めたような顔、君がしていいはずがない。
「わ。わかった……行く、から…………。
だから、もう———」
「———ジーク!!!!」
声を上げたのはララだった。
その声と同時にジークは立ち上がった。
ふらつきながら歩んだと思えば、次の瞬間、風のように駆けた。
右手には剣を携え、怪我をもろともせず、駆けている。
そして、一人で男どもに斬りかかった。
「二人とも逃げなさい」
「で、でも」
「早く!!」
ララは俺を突き放し、男たちへ向く。
そして、手を天に掲げ叫ぶ。
「下賤な人間ども。今一度己の行いに後悔するがいい」
するとララの背後に無数の氷の槍が形成される。
すごい量だ。
これは今まで見た魔法の中でとびきりすごい。
「なんと、こんなところに珍しい!
くふふふ、一度ハイエルフと殺し合ってみたかったんです」
ああ、こいつは狂ってるんだ。
かしこまった口調でいるが、頭のねじがぶっ飛んでる。
人間の屑なんだ。
「あの魔人族の男。どこかで……」
男はジークとララを数度見比べると、突然目を見開き笑いだした。
「あははははははは!!
もしや、もしやです。禁忌破りの子供が生まれているなんて!!
ああ、なんて罪深いんだあああ!!
売ればどれだけの金になるのやらああ!」
「この、狂人が」
ララは眉を顰め、そして、待機してあった氷の槍を放った。
凄まじい速度で放たれたそれは、地面に当たるなり爆ぜたように爆音を鳴らした。
まるで、戦場だ。
いやララがすさまじいのだ。
ここまでの大魔法、そうそう使えるもんじゃないはずだ。
ララは紛れもない、怪物なんだ。
そして、ララがジークの動きに合わせ援護している。
その動きは驚異的だ。
まるでジークの隙をララが埋め、それはまさに完璧だった。
完璧だったのだが、
「———ぅっ!」
あの男が化け物だった。
正面から迫る無数の槍を、まるで風に揺れるかのように躱し、
そして、ララの足目掛け、短剣を投げたのだ。
ぶす、っとララの太ももに短剣が刺さった。
ああやばい。
こんな二人でも、数に押されちゃ厳しいのだ。
それにジークだって満身創痍。
限界も近い。
うずくまるララ。
均衡が崩れる。
ララもなんとか男に魔法を打つが、
そのすべてをやすやすと躱す。
男はニタニタと気色悪い笑みを浮かべ、ララに剣をかざす。
まずい。
このままじゃ、二人は死ぬ。
俺たちだって死ぬ。
だが、相手と俺との力量差は歴然だ。
手と足が震える。
心臓が胸を突き破らんばかりに鼓動を起こし、
瞬きを忘れた俺は、引き伸ばされた刹那であまたの考えが過ぎった。
俺が入ったって変わらない。
そう、変わらないんだ。
俺が入らなくても二人は死ぬ。
俺が入っても、俺は痛い思いをするだけ。
痛いのは嫌いだ。
じゃあ、ここで見ていた方がいいじゃないか。
そう合理的に考えて、ここで見ていた方がいいんじゃないか?
痛いだけなんて嫌だ。
怖いなら辞めればいい。
俺が入っても意味がないんだから。
だからこのまま見殺しに…………。
男はララに物凄い勢いで迫り、
そして剣を振りかぶる。
「———っ!?」
剣と剣が弾けるおとが 響き渡る。
「……子供は、おとなしく見てればいいのに」
「俺は、剣士だから」
見殺しになってできない。
できるわけがない。
前世の二の舞なんて御免だ。
俺は守るために今まで頑張ってきたんだ。
男の剣は重い。
これが鋼同士の重さか。
俺は走る途中で、ジークからもらった真剣を拾ったのだ。
木が燃えても、鋼は燃えない。
だが状況は変わらない。
今も足が震えている。
怖い、逃げ出したい。
そんな気持ちを踏みつぶして、今立っている。
俺は一度距離を取る。
体格・技術ともに差は歴然。
勝てる可能性なんてチリほどしかない。
いや、別に男に勝つ必要はない。
俺の勝ちはすなわち、親と友達が生き残ることだ。
そして、それを実現する方法は。
「ねえ、おじさん。
ちょっと大人げなくありませんかね。
ミアにどんな状況があるか俺は知りませんけど、
それにしても、大人げない」
「何が言いたいんですか?」
乗った。
俺はあたかも余裕であるかのように、笑って見せる。
「こっちは大人が二人。戦力にならない子供が二人。
それに比べてそちらはどうですか?
準備万端、完全武装の男が大勢。
女の子、一人さらうのに、そこまでするんですね」
「戦いに卑怯など存在しません。
準備に不足も存在しません。
何ですかあなた。そんなこともわきまえない子供は早くそこからどいてください。」
男が言っていることはその通りだ。
完全に男の言い分が正しい。
だがそんなこと関係ない。
俺がいますることは論破することじゃない。
——————時間を稼ぐことだ。
ジークは騎士団に、クリスが居なくなったと伝手を送ったと言った。
これは緊急性がある事案だろう。
何が原因か判明していない。
加えて、騎士団でも腕のあるジークからの通報だ。
本当はクリスは家で隠れいただけでした、ごめんなさい。なんてことはないと断言できるはずだ。
つまりは、魔獣の出現、人さらいの被害。
考えられる原因が、どれもこれもが、将来被害を拡大させる可能性が高いものばかり。
それを騎士団が分からないはずがない。
だから騎士団はすぐに来る。
騎士団本部から、この家まで、馬を使えば数十分といったところだ。
つまり、騎士団が来るまで時間を稼げれば、俺たちの勝ちだ。
「確かに戦いに卑怯もくそもないでしょう。
では、あなた方が私たち家族を殺したとして、あなたに不利益がないとでも思ってるんですか?」
「……どういうことですか?」
「ミアと俺たちは、もはや家族と言っていいほど仲がいい。
あなたが俺たちを殺して、それでミアが自暴自棄になり、
お前たちに連れてかれるくらいなら、首を切る。
なんてことになるかもしれませんよ。
そしたら、あなたはどうなっちゃうんでしょうね。
勅命とやらは果たせそうですか?」
そして、もう一つ。
男はあまり、俺を傷つけたくない。
それはもちろん男の良心が……とかではない。
なぜなら、男は俺を禁忌破りの子供とか言った後に「売ればどんな金になるのやら」
と言っていた。
つまりは俺には利用価値があるのだ。
俺の体だけが目当てであり、腕や足、単体でも価値があるのだとしたら、
こんな話せずに今すぐにでも切りかかってくるはずだ。
と言うことは俺の存在自体に価値がある。
つまり傷は余りつけたくないのだろう。
「あなた妙ですね。
何か狙いがあるような。そんな、私を陥れるような目をしています。」
「俺達も色々立て込んでましてね。命よりも大事な妹を探さなくちゃならないんですよ。」
男はじっと俺を凝視する。
「考えが変わりました。
ミア様を連れて帰ることだけに集中するとします」
まあそうなるよな。
さてこれからどうするか。
こいつには勝てないし、勝つ必要はない。
だが負けるわけには行かないのだ。
冷静になれ。
視野を開くもて。
ララの援護はあるか?
いやだめだ。
ララの意識は途切れつつある。
およそ刺さった短剣に毒でも塗られていたのだろう。
ララは解毒魔法を使えるはずだが……。
ああそうか。魔力が足りないのか。
ジークがあのけがを負ってあんなに動けるわけがない。
と言うことは、ララが治癒魔法をかけていたんだ。
この距離から。
それにあんな大魔法ポンポンと永遠に打てるわけがない。
つまりララの援護は見込めない。
ジークは?
こっちもダメだ。あの人数を一人で抑えている方が異常なのだ。
こっちには手が回らないだろう。
ミアは?
ああ、あっちもダメだ。
もう完全にまいっちまってる。
立ち尽くして、うつむいて、精気なんて感じない。
じゃあ、一人で戦うしかない。
「ふぅ……」
神経を研ぎ澄ませろ。
こいつは魔法も使える。
手には剣を握っているが、ほかにも手はあるはずだ。
警戒を怠るな。
俺が持つアドバンテージをフルに使うんだ。
「——————!」
男が来た。
大きく、剣を振りかぶっている。
ああ、なめられている。
こいつは俺をなめているんだ。
だが都合がいい。
俺はいつもより低い体勢を取る。
これが俺の唯一のアドバンテージ。小さいことである。
これはミアから盗んだ戦い方だ。
低く構えれば、当然剣も低くなる。
そうすれば、剣を大きく振りかぶれない代わりに、
素早く動けるんだ。
そして、その僅かな違いが、俺の勝利への道標だ。
俺は極限まで男が迫るのを待つ。
じっと。
じっと。
男は俺の首目掛けて剣を振る。
この太刀筋は、バカでも分かる。
俺は受け流すことだけを考える。
「————————っ」
刹那、男の左腕から何かが飛び出す。
剣を握っていない方の手だ。
これは、さっきララに投げていたのと同じ、
短剣だ。
狙うは俺の胸。
こいつは舐めていたんじゃない。
誘っていたんだ。
俺が油断するのを誘っていたんだ。
「んん!!」
無理やり、身をひねり、短剣を擦れ擦れで避け。
その力を利用し、剣を受け流す。
そして、男の首目掛け、剣を振るう。
低く構えていなければ、間違いなく当たっていた。
しかし。
しかしである。
男には魔法があった。
予備動作なしで、相手に致命傷を与えられる、
魔法と言う武器があったのだ。
男は俺の頭に向け、左手をかざし。
「ウィンドウ」
風の塊が目の前に生まれる。
これじゃ間に合わない。
俺の剣が届く前に、俺が死ぬ。
まずい。
いやこれ、詰みだ。
「うあああああ!!」
女の怒声が聞こえた。
気付けば男の左手首が中を舞っていた。
鮮血がひらりと形を変え。
形成されていた魔術は消えていく。
俺はその場に尻を着いた。
そこには女がいた。
体が小さく、そしてとても華奢な女。
されど、その背中はとても大きかった。
「ミア……」
ミアが立っていた。
拙い文章をお読みいただきありがとうございます。
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