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無限初回ログインボーナスを貰い続けて三年 ~辺境伯となり辺境領地生活~  作者: 桜井正宗
帝国追放

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満天の星空の下で

 ヴァーリを少し周回し、俺とローザは屋敷へ戻った。


 玄関前にはアルフレッドの姿があり、頭を下げていた。



「お帰りなさいませ、主様。それにローザ様も」

「ただいま。さっそく防衛を果たしたぞ」


「伺っております。なにやら、街の方でダークエルフが現れたとか」

「早いな。もう知っているのか」


「ええ、私の眼帯の方の目は“遠見”となっているのです。失礼ながら、状況を拝見させていただきました」


 遠見、つまり遠くの出来事を見られる能力スキルってところか。便利な目を持っているんだな。


 このアルフレッドという執事、やはり只者ではないな。



「そうか。それなら話は早い。とりあえず、何とかなりそうだな」

「いえ、今日は様子見に来たのでしょう。ダークエルフの力は、あんなものではございません」


「詳しいな」

「ええ、何度かその力を目の当たりにしておりますから」


「詳細をそのうち教えてくれ。今は食事にしたい」

「既に準備は整っております。こちらへ」



 屋敷に入り、食堂へ向かった。



 辿り着くとすでにミランダや三姉妹がいた。



「戻ったぞ、ミランダ。それに、三姉妹の方達」

「アビス様~! お待ちしておりました。もうご飯出来ていますよー!」



 テーブルには、豪華な料理が並べられていた。ドラゴン肉、高級野菜、レインボーフィッシュの刺身とかジャイアントクラブの料理とか――豪華すぎてビックリした。



「これ、アルフレッドが全部!?」

「今日は特別な日でありますから、腕によりをかけさせていただきました」



 かけすぎだろう、これは。

 いや、嬉しいけどね。


 こんな何十種類の料理が並べられているテーブル風景は、初めてだ。


 それに、こんな大人数で一緒に食事というのも初めての経験だった。


 俺は専用の席に着く。

 隣にローザが座る。



「わぁ、アビスさん。良い匂いですぅ」

「そうだな。これほど色彩豊かな料理は初めてかもしれない」



 ないわけではないが、ここまでとは恐れ入った。


 さっそくナイフとフォークを手に取り、ドラゴン肉を切っていく。


 柔らかい。

 圧倒的な柔らかさ。

 それに赤身が鮮やかだ。


 ミディアムレアなのか、これは!?


 このまま食して大丈夫なのかなと心配になるけど、俺は勇気を振り絞ってパクっと食べた。


 口の中で肉が蕩けた。



「んまっ!!」

「アビス様、アビス様。このお肉、すっごく美味しいです!!」



 あのミランダも目をキラキラ輝かせていた。

 後に続いてローザも肉を切り分け、ゆっくりと口へ運んだ。すると、ローザは涙を流した。



「素晴らしい味付けですね、アルフレッドさん。真心を感じます」



 料理スキルの高いローザが認めるほどか。

 アルフレッドの料理スキルもカンストしているのだろうな。


 三姉妹たちも上品に食事を進めていた。



 こんな楽しい食事は初めてだ。



 ▼△▼△▼△



 ――食事を終え、俺はひとり庭に出た。


 満天の星空。

 煌めく銀河。


 涙のような流星。


 このヴァーリから見上げる空は美しい。



「アビスさん、ひとりでどうしたのですか」

「いやぁ、星が綺麗だなって」

「ええ、こんなキレイな夜空は中々見れません。この辺境の地だからこそかもですね。山も近いですし」


「ずっと平和が続けばいいのにな」

「本当ですね。でも、それが難しいのでしょうね」


「かもな。けど、それでも俺はこの街を守り続けていくよ」

「はい、わたしもアビスさんを支え続けていきます」


 手を取り合っていると、ミランダも現れた。



「あー! 二人ともずるいです」

「ミランダ、すまんすまん。別にのけものにするつもりはなかったんだ。ちと、夜の風に当たりたくなってな」


「わたくしもです。ご一緒していいですか?」


「ああ、もちろんだ。ここにベンチがあるし、座ろう」



 ちょうど三人座れる椅子があった。

 そこへ座り、俺は女子に挟まれた。



「ローザ、ミランダ……近いな」



「いいんです!」

「構いませんっ」



 二人が良いというのなら、良いのか。


 さっきまで少し肌寒かったけど、今は体温のおかげか燃えるように暑かった。

 ローザもミランダも体温が高い。



 ローザが俺の手を握ってくる。

 ミランダも対抗するように俺の手を握る。



「二人とも……」



「初日の夜ですから、ちょっと羽目を外すくらいいではないですか」

「ローザ様の言う通りです。わたくしも、少しは素直になりたいのです」



 二人に手を握られ、

 俺は心臓のドキドキが止まらなかった。



 美しい夜空を見上げながら、二人に囲まれるこの状況。俺はなんて幸せ者なんだ。



 思えば、碌な人生ではなかったけれど――ようやくここまで辿り着けた。



 ヴァーリという街、住人達、この屋敷や執事のアルフレッド、三姉妹たち……そして、ミランダやローザがいれば、俺はもう何もいらない。



 平穏さえあれば、それでいい。



 だから俺は守り続ける。



 この場所(ヴァーリ)を――。




 いつ、なにがあるか分からない。




 俺は、ローザとミランダに気持ちを伝えた。



「ローザ、ミランダ……二人とも好きだ。大好きだ。二人が居ないと俺はもうダメかもしれない。いや、ダメなんだ。ローザが必要だ。ミランダが必要だ。俺とずっと一緒にいてくれ」



 ローザもミランダも手を握りながらも、頭を寄せてくれた。それだけで“答え”は十分だった。


 そう思っていたけれど、ローザは俺の右頬を。ミランダは左頬をキスしてくれた。



 ――俺は幸せ者だ。

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