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無限初回ログインボーナスを貰い続けて三年 ~辺境伯となり辺境領地生活~  作者: 桜井正宗
帝国追放

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初回ログインボーナスを知る男

 黒衣に身を包む賢者風の男。

 不健康なまでに肌が白く、余裕がありそうな顔でドラゴンから降りてきた。


 男は、俺の前に立ち――静かに笑う。

 なんだ、コイツ。


「君が新しい領主様かい」

「そうだ、俺はアビス。お前何者だ」


「僕の名は『アグニ』。君がマッドネスを撃退したって噂を聞いてね。飛んできたのさ」

「なるほど、お前の仕業だったのか」

「さあね。証拠がないからなんとも言えない。それより、今日は交渉しに来たんだ」

「交渉?」



 (うなず)くアグニは、更に俺の方へ歩み寄ってくる。だが、ローザが俺を(かば)うように前に立った。



「それ以上、アビスさんに近づかないでください」

「女、貴様に用はない。とにかく、アビス……お前の力は素晴らしい。その実力は、あのメテオゴーレムダンジョンで示された」


「なぜそれを!」


「分かるさ。僕はあのダンジョンの作成に関わっているからね。だから、情報を盗み見るくらい簡単なのさ」



 なにもかも筒抜けで監視されていたわけか。確かに、ダンジョンはダークエルフの技術が(もたら)したものらしいからな。



「悪いが俺の力は、悪事には使わない。使うのは正義だけだ」

「くだらない、なにが正義だ。この世界は永久(とこしえ)の“混沌”に満ちているのだよ」


「で、世界征服か。それこそ、くだらない。なぜ争う。なぜ支配する」



 アグニは愉快そうに笑う。



「ははっ! アビス、正気か!? 貴様がそこまで凡庸(ぼんよう)だったとは恐れ入った! だが、それでも許そう。お前は特別(・・)だからな」


「なにが言いたい」



 睨むと、アグニはローザを指さした。


 なにっ、ローザだと!?



「その銀髪の女から与えられたのではないかな。特別な力を」


「し、知るか」


「誤魔化しても無駄だ。僕は見たのだよ。ケイオス帝国の中央噴水広間でありえないほどの“金の魔晶石”を投げ込みガチャをしていた光景をな」



 見られていたのか……!



「それがどうした!」

「その力は素晴らしい。どのような能力は大体の見当はついている。初回ログインボーナスを無限に受け続けているのだろう!?」



「「んなっ……」」



 俺もローザもビックリした。

 このアグニってヤツが見事に推理して当てたからだ。



「驚き――つまり、正解か。なら話は早い。アビス、君の力を使って『インビジブル』と名の付く武具を集めたい。あれは世界最強の武具でね。α(アルファ)テスターでしか入手できないものだったんだ。しかも、不思議なことに聖剣を扱えるという。僕はそのアイテムを使って手始めに世界を支配したいんだ」



 そういうことだったのか。

 でも、コイツは俺がほとんどの『インビジブル』アイテムを入手していることを知らない。そりゃ、そうだ。透明(・・)なのだから。


 そして、聖剣。


 あれはケイオス帝国のキャメロット城で見せつけてしまった。そうか、あの情報が伝わったか。親父はなぜ()えて露見させたのだろうか。おかげで、ダークエルフがすっ飛んできたじゃないか。


 もしかして、真実を知って貰う為か? それとも、俺ならなんとか出来るという期待か。まあ、どちらにしてもなんとかするけどな。



「断る」

「そうか。ならアビス、貴様のスキルを奪うまでだ。いいか、ダークエルフの秘術には、相手のスキルを奪う力もあるんだよ」



 ニヤニヤと笑い、手を向けてくる。

 なんだ、なんかヤバそうだぞ。



「アビスさんに手を出さないでください!!」



 ついに激怒したローザは、+9SSS級ディバインフィンガーグローブを装備して猛ダッシュ。あのアグニに先制攻撃をした。


 俺は、ローザの行動が意外すぎてビックリした。



脆弱(ぜいじゃく)でひ弱な女の分際で、この僕に歯向かう気か!」



 手を広げるアグニは、黒い盾を生成してローザの強烈なストレートパンチを耐えた。


 ガンッと激しい音が響く。


 すげぇ力だ……けど、あのアグニのシールド魔法も相当な防御力だ。物理攻撃の耐久性を持つスキルとはな。



「……ッ! ネファリアスシールド!?」

「なに……女。なぜ僕のスキルが分かった!」




【ネファリアスシールド】

【Lv.5】

【補助スキル】

 ダークエネルギーを使い、シールドを展開する。物理・魔法攻撃から身を守る。


 Lv.1:耐久値 100,000

 Lv.2:耐久値 200,000

 Lv.3:耐久値 300,000

 Lv.4:耐久値 400,000

 Lv.5:耐久値 500,000




「わたしには『炯眼(けいがん)』という相手を分析するスキルがありますからね」


「くそっ、卑怯だぞ!!」

「世界征服を企んでいる人に言われたくありませんね」



 まさにその通りだ。

 ということで、俺も前へ出た。



「ローザ、俺も戦うぞ。その男を捕えて何もかもを吐かせてやる」



 向かおうとすると、ローザは素早くバックステップしてきて俺の元へ。



「いけません。彼にスキルを奪われてしまいますよ」

「大丈夫だ。奪われる前に倒せばいい」

「そんな単純な」

「シンプルこそ美学だぞ、ローザ」


「もぉー! アビスさんってば強情なんですから~。でもでも、そういうところも素敵っ!」


 戦闘中にも関わらず、ローザは抱きついてきた。あまりに可愛かったので、俺は頭を撫でた。



「……な、なにイチャイチャしてんだ!! アビス、僕にそんな光景を見せつけて……くそおお!! 僕がモテないからってええええええ!!」



 なぜか発狂するアグニは、黒い物体を飛ばしてきた。魔法か!


 俺はブンッと剣を振る。

 インビジブルソードの攻撃スキル『コールブランド』を飛ばした。



「おりゃ!」



 敵の黒い魔力の塊を呆気なく押し返し、アグニに命中。



「しまったああああ!! 怒りに任せてしまった……感情的になった僕の敗北だぁぁあ……くそぉ、だが覚えていろアビス! これは……これは、はじまり(・・・・)に過ぎないのだ!! うああああああああああああああああああああ!!」



 カオスドラゴンにすら無視され、アグニは山の方までぶっ飛んでいった。



「さすがアビスさんです! ぶっ飛ばしちゃいましたけど」

「構わんさ、きっとまた来るだろうし。倒したせいか冒険者ランクがまた上がっちまったよ」



 アビス:SS級(88位) → SS級(32位)



 どうやら、決闘でもそれなりの相手を倒すと影響があるらしい。



 ダークエルフを撃退したところで飯にしよっと。

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