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無限初回ログインボーナスを貰い続けて三年 ~辺境伯となり辺境領地生活~  作者: 桜井正宗
メテオゴーレムダンジョン地下二十五階

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ギガントメテオゴーレム

 素早く後退していくオーガスト。

 右腕を即座に再生していた。


「な、なんだと……」

「この程度の治療は簡単さ。俺はダークエルフだぞ」


 どうやら、ダークエルフとは便利なスキルが色々あるようだな。

 俺は追いついてオーガストに攻撃を加えようとしたが、それどころではなくなった。



「た、大変です、アビスさん! ギガントメテオゴーレムがこっちに!!」

「ローザ! ミランダ! 仕方ない、そっちへ向かう」



 一旦、オーガストから離れていく。

 ヤツは愉快そうに笑った。



「フハハハ! ギガントメテオゴーレムを倒す!? 無理だ。そいつは最強ギルドを壊滅させた最強のボスモンスターだぞ!!」


「そうか、以前のギルドもオーガスト、お前が……!」


「そうさ。ケイオス帝国の辺境伯は、ダークエルフのある秘密に気づいてしまったのさ。だから、このダンジョンへ誘い込み――殺してやった」


「お前……どこまでクズ野郎なんだ」

「なんとでも言え。俺はもうこのダンジョンに用はない! 一足先に脱出する」


「逃げる気か!」


「逃げるぅ? 違う。俺はお前に勝ったのだ。ギガントメテオゴーレムを召喚した瞬間にな!」



 オーガストは、逃げ出そうとワープポータルを開く。……しまった、逃げられる。


 焦っていると、ミランダが魔法攻撃を与えてくれた。ナイス、スプラッシュ!



「逃がしません!!」

「――ぐっ! 貴様はエルフか!」


「事情はよく分かりませんけれど、あなたはアビス様の敵のようですね!」


「邪魔をするな、エルフ!」

「邪魔をさせていただきます!!」


 ミランダは、オーガストを容赦なくスプラッシュで壁際に追い込む。すげぇ、あのまま押さえつけてくれれば助かるな。



「ミランダ、そのままを維持! 俺とローザでギガントメテオゴーレムを撃破する!」

「そ、そんな無茶ですよ~!」


「無茶でもやるんだ。それに、今の俺ならきっと……勝てる。そんな気がするんだ」

「アビス様……はい、わたくしはあの男を押さえつけておきますから!」



 頼んだぞとアムズアップを送り、俺は駆けだしていく。

 ギガントメテオゴーレムは、ローザに襲い掛かろうとしていた。いくら大聖女でも、あの巨人を相手にはできないはず。


 だけど、俺なら――!



「支援魔法・イントロイトゥス! アビスさん、あとはお願いします!!」


「おう、ログボで得たステータス補正がアップするアイテムも全部使っている」


「あと、これもお忘れなく!!」



 くるくる飛んでくる『ダークポーション』。そうだな、これを忘れちゃいけない。ゲロマズだけど、攻撃速度がアップする。


 これで対等になれはずだ。


 俺は、そのままギガントメテオゴーレムの前に立ち、インビジブルアックスで巨大刀を受け止めた。


 流星刀・アランヒルズの巨大版か。


 極端に高い筋力パラメータのおかげか、俺は何とか防御(ガード)に成功。だが、あまりに衝撃が強すぎて、地面にクレーターが出来ていた。



「なんてパワーだ。だけどな」



 インビジブルアックスでなんとか敵の武器を押し上げ、俺はそのままジャンプ。敵の頭上でインビジブルランスに切り替えて――ブン投げた。



『――ガァァァァァッ!!!』



 巨体が一気に吹き飛び、かなりの距離を飛んでいく。

 その状況にオーガストもぶったまげていた。



「そんなバカな!!」

「オーガスト、お前はひとつ見誤ったようだな」


「な、なに!?」


「俺を強くしすぎたってことさ!! お前は、鍛錬のことを教えてくれたな。あれは言わなきゃよかったんだ」


「く、くそ……お前を信じ込ませる情報が仇となったか」



 でもそれだけではない。

 ローザがくれた無限初回ログインボーナスがもっと俺を強くしたんだ。


 だからこそ、負けられない。


 ギガントメテオゴーレムは、直ぐに体勢を整えて向かってきた。



「ならば、インビジブルアーバレストを食らえッ!!」



 一気に三本を射る。

 ミランダに『矢生成』してもらった『ファイアアロー』に、ローザから貰った『猛毒の矢』の余りを使った。


 ビュンと飛んでいく矢は、ギガントメテオゴーレムに命中。


 燃えるなり、ボディが紫色に変色。

 苦しみだしていた。


 おぉ、効いてる効いてる。


 しかし、ボスモンスターというだけあり、その効果の持続時間もあまりにも短かった。たったの十秒ほどしか持たなかった。


 なんてヤツ!



『ギギギギギ』



 ギガントメテオゴーレムが目の前に現れた。なんて素早い動きだ。あんなに大きいのに……とんでもない移動速度だ。


 横払いの刀が飛んでくる。


 この程度なら、インビジブルソードで十分だ。


 すぐに変形させ、俺は敵の刃を受け止めた。



「へっ、余裕じゃねえか!!」



 ――が、しかし、背後から別の刃の気配があった。



「アビスさん! ギガントメテオゴーレムが流星刀・アランヒルズをもう一本取り出しましたよ! 二刀流のようです!!」



 なんだと……二刀流だと!!

 そんな器用な真似をこのゴーレムがするのかよ。


 俺の背後には、流星刀・アランヒルズの刃が接近していた。このままでは――死ぬ。くそ、ここまでなのか。



「くそおおおお!!」


「諦めないで下さい、アビスさん! 奥義・真剣白刃取り!!」



 ローザが俺の背後にくっつく。

 そして、あの奥義を繰り出したんだ。


 見事に刃をキャッチし、ギリギリで食い止めていた。あと少し遅れていたら、俺は死んでいたな。ローザに感謝だ。



「ローザ、ありがとう」

「礼を言っている場合ではありません。わたし、もう持ちそうにないです……」


「な!」


 そりゃそうか。

 あんな巨大な刀を受け止めている方が奇跡だ。


 このままではローザが……!



『……!!』



 ギガントメテオゴーレムは、全力全開のフルパワーを使ったのだろうか。ローザをの奥義を突破した。



 やべえ!!



「きゃあ!!」



 刃がローザを切り裂く。


 ……そんな。



「ローザ……! くそがあああああああああああ!!」



 インビジブルソードを怒りのまま振って、ギガントメテオゴーレムの腕を叩き切った。ローザを救出して、俺は後退。



「……アビスさん。わたし」

「ローザ、しゃべるな! 血が……こんなに」



「えへへ……失敗しちゃいました」

「失敗なんかじゃない。お前のおかげで俺は何度救われただろうか。いつもお前がいたから、俺は生きていけたんだ」


「うれしい……うれしすぎて涙が止まらない。アビスさん、好きですよ……」


「ああ、知ってるさ。だから、生きて帰ろう」

「……はい、きっと一緒に」



 ――くたっと脱力するローザ。


 まさか……そんな、死んだのか。



 絶望を感じ始めていると、矢が飛んできてローザの脳天に突き刺さった。……な、なんだぁ!?




「回復の矢です!!」


「ちょ! ミランダ! 回復の矢は一本しかなかったんじゃ!?」


「一本と言いましたね、あれは嘘です!! こんなこともあろうかと、二本目を隠し持っていたんです!」


「嘘かーい!」



 死にかけていたローザは、むくっと起き上がり元気になった。



「あれ、わたし……生きていますね!」

「あ、ああ……そうだな。うん、良かった」

「アビスさん、ちょっと冷たくありません!? わたし、死んじゃうところだったんですよぉ!?」



 ……いや、さっき“好き”とか言われて、ローザの顔をまともに見れなくなってしまったとか、恥ずかしくて言えなかった。


 けど、俺も少しは素直になろう。



「ローザ、その……生きていてよかった。俺もローザが――って、うわッ!!」



 告白しようとした瞬間、ギガントメテオゴーレムの二刀流・アランヒルズが降ってきた。


 なんてバケモノ火力だ。

 さすがに二刀流ともなると桁違いのパワーだ。


 焦っていると、ローザが聖属性魔法『ホーリークロス』を放った――が、慌てていたのか俺のインビジブルソードにぶつけてしまった。



「ちょ、ローザ! なにやって……ん?」



 おかしい。

 インビジブルソードが脈打ち、色が変化しはじめていた。俺視点でもほぼ透明色の剣がどんどん色を変えていく。


 それは『黄金の剣』と生まれ変わった。


 透明じゃなくなった!?」



「アビスさん、その剣……」



 聖剣カレトヴルッフ――改め。



【覚醒エクスカリバー】

【レアリティ:EX】

【部位:右手武器/左手武器】

【詳細】

 Excalibur(エクスカリバー)Online(オンライン)のゲームマスター専用武器。インビジブルソードの真の姿。

 覚醒した黄金の剣。

 一振りで国を滅ぼせる威力を持つ。


 物理攻撃力(ATK):50000。

 魔法攻撃力(MATK):50000。


 この武器の持ち主は、全ステータスが10倍となる。一般モンスターに与えるダメージ +50%。ボスモンスターに与えるダメージ +50%。


 この武器は破壊されない。

 この武器は破損しない。

 この武器は武具解除スキルを無効にする。


 持ち主の装備に『インビジブル』系の防具が装備されている場合、ひとつにつき攻撃力 +1000アップ。



「な、なんだこの剣!!」



 俺の剣、めちゃくちゃ強くなったぞ!?

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