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無限初回ログインボーナスを貰い続けて三年 ~辺境伯となり辺境領地生活~  作者: 桜井正宗
メテオゴーレムダンジョン

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エルフの少女が仲間に入った

 新たにエルフの少女“ミランダ”を迎えた。その優しい表情に、俺は心が洗われるようだった。なんだか知らないけど得をした気分になるな。


「よろしくお願いします。その……」

「ああ、俺はアビス。身なりはボロいけど、そこは気にするな。それと、こっちの銀髪の子はローザ。俺の仲間だ」


「そうなのですね。とてもお顔が可愛らしくて、その、お人形さんみたいです」


 ミランダは、(うな)るほどローザの容姿を絶賛。そうか、こんな美しいエルフから見ても、ローザはかなり美人なんだな。


「ご紹介に(あずか)りました、ローザです。よろしくです」



 手を伸ばすローザは、丁寧に握手を交わしていた。へぇ、礼儀正しく社交的だな。


 それから、ミランダへ『パーティ加入要請』を飛ばした。直ぐに【受諾】され、これでミランダは正式に俺の仲間(パーティ)となった。


 早くも三人目を迎え入れることになるとはな。


 感慨(かんがい)深く思っていると、ミランダが改めて頭を深々と下げた。



「アビス様、ローザ様、よろしくお願いします。こちら、わたくしミランダのステータスとなります」




【ミランダ】

 種族:エルフ

 年齢:16歳

 性別:女性

 職業:ジプシー/ソーサラー

 冒険者ランク:70,334位(B級)


【上段頭装備】C級ハイビスカス

【中段頭装備】C級イヤリング

【下段頭装備】A級ノーブルネックレス

【鎧】+7A級ベリーダンスドレス

【右手武器】S級アンブローズ

【左手武器】なし

【右腕】A級スペリオルリング

【左腕】A級スペリオルリング

【外套】なし

【靴】C級ダンスシューズ

【アクセサリー①】なし

【アクセサリー②】なし




 本当にステータスが見れちゃった。

 ここまで詳細に見れるんだ。


「アビスさん、そこまでの詳細なステータスは気を許した相手にしか見せないものです。普通は、名前くらいですよ。だからミランダさんは、アビスさんを信頼してくれているんです」


 そうだったのか。

 そうだよな、こんなの弱点を晒すようなものだ。


 それにしても、まさかエルフで“踊り子(ジプシー)”だったとは。しかも、魔法も使える“ソーサラー”のようだ。そんな人物像をローザが言っていたような。



「なんか凄いな。装備もなかなか充実している」

「ミランダさん、エルフのお姫様とかかもですね。すっごく美人ですもん」

「ありえるな」


 コソコソ話はこれくらいにして、俺はミランダを連れて隅へ向かった。


「今日はもう休もう。どうやら、外の世界は夜のようだし」

「分かりました。ですが――」


 ミランダは困っていた。

 あー、セインか。

 ずっとこちらを(にら)んでいる。


 だが、パーティに見限られて捨てられていた。それに気づいたセインは焦って元仲間に説得するけど断られていた。孤立してしまった。



「大丈夫。さっきのオーガストって人がしばらく見張ってくれるってさ」

「良かったです。セイン様に何をされるか分かりませんから」

「俺も君を守るさ。てか、ミランダはどうしてアイツと婚約を?」


「ええ、エルフの国である『聖地アヴァロン』の聖老様がお決めになったんです」


「そんな一方的に?」

「その……詳しく話すと長いのですが、手短にお話しますと――」



 どうやら、ミランダは元々別の婚約者がエルフの国にいたらしい。だが、あのセインが現れ『決闘(PvP)』をした。その結果、男エルフは敗北。


 ミランダを奪っていったらしい。


 決闘のルールは絶対。

 聖地アヴァロンの聖老とかいう高い身分を持つ老人でさえ、止めることはできなかった。結果、ミランダはセインについていくことになった――と。


 けれど元々、アヴァロンの女性エルフの間では『より強い男性』を求める傾向があるらしく、ミランダもセインならと思ったようだ。



「セインのことは好きだったのか?」

「確かに彼とは婚約を交わしました。最初は頼りになる人だなって思ったんですけど……ですが、他の女性とも婚約を交わしていたようで……その、最近では不信感しかなかったんです」


「な、なんだって!?」



 アイツ、寄りにもよって不倫を。

 そりゃ、ミランダも見限るわけだよ。

 それを聞いていたローザも「最低ですね!」と憤慨(ふんがい)していた。おぉ、怒っているなあ。



「だから、わたくしは……辛くて」

「これからは俺が君を引っ張っていく。だから一緒に頑張(がんば)ろう」


「アビス様はお優しいのですね。はい、わたくしも頑張ります」


 少し元気を出してくれた。

 ミランダは繊細(せんさい)なのかもしれないな。



「ところで、ミランダ。俺たちはこの『メテオゴーレムダンジョン』の最下層である30階を目指しているんだが」


「え、そうなのですか! 噂に聞いたのですが、リディア共和国の攻略ギルドが全滅したとか」



 やっぱりそうなんだ。

 ということは、メテオギガントゴーレムとかいうボスは、かなり手強いな。もっと装備とかアイテムを整えていく必要はありそうだな。


 それと仲間もかな。

 ギルド結成も視野に入れるべきだろうか。



「大丈夫。俺には特殊な能力もあるし」

「特殊な能力?」



 言いかけると、ローザに口をふさがれた。


 ちょ、ええ!?


 何事かと驚いていると、ローザは小声で耳打ちしてくる。



「無限初回ログインボーナスの能力は内密でお願いしますよ、アビスさん」

「なぜだ? ミランダは、仲間じゃないか」


「わたしとアビスさんの二人きりの秘密です。いいですか、そんな便利な能力が他の冒険者に知られたら大変です。狙われたり、殺されたりするかもです」



 そうか。俺の力は、そういうリスクがあってもおかしくないわけか。逆に仲間を危険に晒す可能性がある。


 ならば、ローザの言う通り二人だけの秘密にしておくか。ということで、俺は“武器”の話に()らすことにした。



「それで、能力とは?」

「ごめんね、ミランダ。能力とはちょっと違うかな。俺には“透明な武器”があるんだ。さっきセインを倒したのも、その武器のおかげさ」


「ああ、そういえばアビス様は、不思議な構えをしていらっしゃいましたね」


「うん。武器の名前は『インビジブルスクエア』と言ってね、四種の武器に展開できるんだ」


「それは素晴らしい武器です。アビスさんの秘密が知れて嬉しいです」



 ニコニコと笑うミランダ。

 なんだか本当の事を言えなくて申し訳ないな。でも、隠している能力には違いないから、間違いではない。



「ああ、話はこれくらいにして、そろそろご飯にしようか。食料は、おいしいニンジンがある。飲み物はレッドポーションかな」


「ふふっ、アビスさん。それなら、わたしにお任せを」

「ん? どういうこと?」

「実は、わたしのアイテムボックスに食糧を備蓄してあるんです。半年分はありますよ~」


「マジ?」

「マジです。それに、お料理は大得意なんですよっ」



 ふんすっと胸を張るローザは、フライパンやらお玉杓子(たまじゃくし)を取り出す。調理器具を持っていたのか。


 ローザの手料理かあ。

 うん、食べて見たい。楽しみだ。

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