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ヤブローニャ 〜蟲愛でる鬼姫は穏やかに暮らしたい〜  作者: ふぐりり
走り出した者たち
19/29

嫌よ嫌よは何の内?

 今日も今日とて人間研究。近頃はめっきり話しかけて来なくなったディムを置いて、ウチは地上を地下を駆ける。


 実は地下では、時々人間を見かける。何をしてるかは分からない。遠くからこっそりついて行くだけだ。ついて行くと、大抵は決まった場所から地上に登る。ウチはその場所が、地上でも特に大きい、いくつかの工場に繋がっていることを知った。時々工場から離れた場所にあることもあったけど、地下水道独特の臭いを辿れば必ずどこかの工場に辿り着く。ウチの嗅覚を舐めるなよ。


 この工場は、ウチらが目をつけていたものだ。勝手に動く箱()がよく出入りしている。この車に捕まれば外に出て行くことは可能だ。実際、色蜻蛉(カラフルフライ)絡繰蜘蛛(シュウペスパイダー)を、これに仕込んで送り出したことがある。でもウチが乗ることは出来ない。なぜなら色蜻蛉(カラフルフライ)絡繰蜘蛛(シュウペスパイダー)は見つかっているのだ(虫だから見逃されたけど。色蜻蛉(カラフルフライ)は追い出された後追走した)。

 でも勝手に動く箱()は魅力的だ。絶対欲しい。


 実際、この考えはディムも持っているようだ。工場の近くに行くとちょいちょい空糞(ゾバンバ)子蜘蛛(チースバイダー)を見かける。手を振ってくれるから、ディムが勝手に呼んだやつだ。



「いい加減、仲直りされては如何ですか?」

 ナビンに言われたことがある。


「いやだよ。あんな奴知らない。」

 ぷいとそっぽを向く。


「本当に嫌いなら、なぜアヤツラのように閉じ込めてしまわないのですか?」

 最近、慧肢蚕(ヘルヴィレス)は大変な魔力喰らいであることが解った。でも捨てるのは勿体無いので、何匹かはナビンの蜜を固めて閉じ込めてる。すると気絶したようで、体に恐ろしく活力が満ち満ちた。


「そもそもそんなに嫌うことではないのでは?」


 いや....いや違うもん。違うったら違う。






「とべ、転寝蝶(ドーズフライ)。」


 車の入った工場の一つに目をつけ、眠りを誘う蝶を放つ。時間は夜、中でも人の数や出入りの少ないところを狙う。


「紛れられるような荷物があれば良いんだけど.....。」


 人間がいたときは暗転蛾(フェアイトモス)の毒で眠らせる。今回はただの調べ物だから、騒ぎは起こさず慎重に。

 


「ヤブローニャ様、近くに人間は見えません。」

「よし、今の内にちゃっちゃと確認しよう。」


 工場の中身は想像以上だった。何とそこには、魔石があったのだ。

 魔石を燃やして動く機械、魔石に何かを押し付ける機械。機械のあちこちにも魔石が埋め込まれており、そこら中魔石だらけだった。



「ヤブローニャ様!こんなにも魔石が!これほど魔石があれば....」

「んー、これは無理かな?」


 魔石を一つ、手にとってみる。魔石には大きな刻印があり、その内側はヒビだらけだった。力を入れるとすぐ崩れる。魔力ダダ漏れで、そんなに長くは持たなかっただろう。

 周りに沢山の人間は、大体この魔石の交換が仕事であったようだ。他にも、魔石に何か彫り物をする人間や、魔石を運んだり、機械の周りで雑用をする人間も居た(全員寝てるけど)。

 工場を隅々まで探したが、綺麗な魔石はどこにもなかった。でもどうやら、車はこの魔石を運んでいるようだった。1、2個だけ残っている。

 


「決めた!この魔石は全部ウチのもの!この街にある魔石は、全部手に入れてやる!」

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