モノローグ
初めまして。新作です。ちょっと虫系書きたいなぁって思って。
よろしければお付き合いお願いいたします。
ゴブリンとは。多くの人間が聞かれれば、「汚い」「雑魚」と答えるだろう。
”汚い”とは何故か。彼らには衛生観念というものが存在しない。土汚れ汗まみれなんてマシな方。涎を垂らし、生ゴミや死肉を漁る姿を見れば、誰もが鼻にシワを寄せるだろう。
オマケに奴らは極めて生殖欲と繁殖能力が高い。群れにはいつも必ず妊娠した個体がおり、また全く別種の生物でも平気で着床させてしまう。この為、常に他生物の雌を求めているのだ。不潔極まる体でこんなことをするのだから、もはや「穢らわしい」というレベルである。
次に”雑魚”とは。彼らは”魔石”を持ち、弱い為によく狩られるからである。
この世界の人間は”魔石”を活用する技術を開発した。この世界には”魔力”という不思議な力が、神羅万象全てに宿っている。特に生物にとっては欠かすことの出来ない物質であり、肝臓に栄養を蓄えるように魔力を蓄える。この「魔力を蓄えた器官」が”魔石”と呼ばれる。大抵は石ころにしか見えないが、籠る魔力が強くなる程透き通り、宝石に近い見た目となるのだ。
”大魔導師”トルルマンズ・エドルモンドはこの”魔石”を発見し、物を動かす動力源として扱う術を見つけた。”魔石革命”と呼ばれる産業大事変の立役者である。魔石で明かりを灯し、食材を焼き。人々の生活はそれまででは考えられないほど、豊かで便利になった。
だが魔石を人工的に生み出す手法は未だ存在しない。故に”魔石協会”の管理する保護区域に入り、魔物を狩る必要があるのだ。
そしてゴブリンは弱い。女子供を拐える程度の力はあるが、鍛えた男には叶わない。またゴブリンの魔石は灯りや焼き調理によく使われる為、常時買取依頼が設けられている。故によく狩られるのだ。
「ハハハ!人間様に逆らうからこうなるんだよ!よくも俺の飯に口付けやがって!!こうだ!!」
「よっしゃ!魔石6個だ。最高記録だ!」
「抜かせ、俺様なんか7個だ!もうランクアップも目の前だぜ!」
まぁそのなんだ。つまりこの世は、ゴブリンにとって兎にも角にも行きづらい。
人間は別に、ゴブリンに悪意は持っていない。「あまり触りたく無い」というのが本音だから、魔石以外に興味を持とうともしなかった。
だから、ゴブリンが何を願い、何を夢見ているのかも知ろうとは、気付こうとは、しなかった。
初日なので連続投稿します。次の投稿は6:00です
2/21:革命の呼称を変更