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屑ご主人様と白薔薇騎士団

作者: 紅の目

連載用で考えてたやつだけど、まあきりがよさげなので投稿してみた

 俺の名前は神凪 九郎、俗に言う転移者というやつだ。1年前、特に神様に会ったわけでもなく、気がついたらこの国、ルーミス王国の路地裏にいた。

 最初は驚いたが、俺はこういった転移もののサブカルチャーを読み込んでいるためすぐに『ステータス!』と叫んだ。するとウィンドウが開き、自分のスペックを確認することができ、その後はテンプレで冒険者となった。

 まぁ最初は苦労したけど順調にランクを上り詰め、現在はBランク冒険者だ。しかもスキルレベルがチートなので本来ならAランクでもおかしくないと思っている。

 そんな俺だが、現在酒場である男と酒を飲んでいる。この男は俺が手に入れようとしているSSランク冒険者パーティ『白薔薇騎士団』のヒモだという屑男だ。こいつをどうにか排除して、あの美女たちを手に入れてやるつもりでこいつに近づいたんだが、この男聞きしに勝る屑みたいだな。酒を飲まして話を聞いているんだが、まぁ聞いた会話を思い出してみよう。



 俺はこの男、草薙 健吾が入り浸っているという酒場へやってきた。そこは少し薄暗い内装でカウンター席と4人がけの机が6セットほどの小さな店だった。草薙はカウンターで酒を飲んでおり、すでに出来上がっている状態でくだを巻きながらさらに酒を注文していた。

 周りには奴隷の男や、いかにも冒険者然としたパーティが机で飲んでおり、店主は忙しそうに酒とつまみを用意している。

 そんな酒場のカウンター席で飲んでいる草薙の隣へ俺は腰を下ろし酒と簡単なつまみを注文してから話しかけた。


「よう、見たところ御同郷の人だと思うけど少し話さないか?」


「おう、あんたも転移者か。俺のような屑になんか用か?」


「いやなに、転移して1年なんだが、ご同輩がいると聞いてな。少し話を聞いてみようと思ってやってきたんだ」


そういって俺は店主がおいていったエールをあおった。


「そうかそうか、まだ1年か。俺は15年ほど前にこちらに飛ばされたんだが、これでも最初は苦労したんだぜ?今じゃこうやって昼真っから飲んでも大丈夫なぐらいに貢いでもらってるがな!」


 草薙はククッと笑いながら蒸留酒を飲み干した。


「うらやましいねぇ、聞いてるぜ?あの『白薔薇騎士団』のヒモやってるんだって?どうしてそうなったのか教えてくれよ」


「何だ?こんな屑男の自慢話に付き合ってくれんのかよ、まあ言いか。よっく聞けよ」


そういって草薙は新しく葡萄酒を注文すると饒舌に語りだした。


「あれは飛ばされたときのことだ。俺の職業が『契約士』っていう貧弱職業でな。ぶっちゃけ戦えない職業なんで冒険者になれなかったんだわ。しかもスキルがほとんど支援系のスキルで、俺は考えた。でスラム街にいたガキをひっとらえて契約魔術で強制的に奴隷に落として戦わせたんだよ」


「マジかよ」


「ああ、マジだ。しかたねぇだろ、当時の俺は自分じゃ戦えないんだ。なら変わりに戦ってもらうやつが必要だったからな。で、とりあえずメスガキ4人を何とか戦えるように仕込んで、冒険者登録させて依頼をこなさせたってわけだ。勿論依頼料は俺が全部ピンはねしたがな」


「やりたい放題だなアンタ...」


「そんなほめんなよ。2年ほどはそうやって生活してたんだが、それくらい立つとメスガキも女らしくなってきな。まぁやっちまったんだわ」


「おっおい!やっちまったって・・・」


「あ~あいつらが11歳ぐれぇか?俺ロリでもいけるからさ。折角の奴隷なんだし、しかも可愛かったからしかたねぇよな?」


「いや、俺に同意求められても・・・」


「まあいいや、その時期はDランクにあがって安定してたから新しい稼ぎとして奴隷増やしたんよ。エルフの母娘とほかに何名かで新しいパーティ組んでレベル上げしたっけな。ああ勿論母娘は丼でおいしく頂いたぜ?」


「何やってんだよ!」


「ナニに決まってんだろ。男の夢じゃねぇか奴隷ハーレムは!エルフ母娘はその後商売したいってんで店任してんだけどな。その後は似たようなことの繰り返しさ。スラムから人さらって奴隷に落として、その後は店で働かせたり娼婦にして娼館で働かせたりしたな。ついでだから娼婦ギルドって闇ギルド作って運営負かしたりもしたっけな」


「闇ギルドって...ホント何やってんだよ」


「しかたねぇだろやらなきゃこっちの命もあぶねぇ状況だったんだよ!まぁおかげで今じゃ奴隷たちの稼ぎをピンはねしてこうやって酒飲んで暮らしてんだよ。どうだ?なかなかの屑っぷりだろ?」


 そういって草薙は葡萄酒を飲み干してお変わりを要求していた。ちなみに今の話を聞いて周りの連中は笑いながら

『たいした屑だな』『また言ってるよ、この屑が』などとはやし立てている。



 思い出しても反吐が出る屑っぷりに俺は決断した。『こいつ殺そう』と。草薙は酔いが回ったのかカウンターに突っ伏して寝息が聞こえてきている。俺はチャンスとばかりに道具袋から暗殺用に毒を塗っている針を取り出して、草薙にめがけて突き出した。


ガシッ!


 その瞬間、いつの間に俺の背後に立っていた男に腕をつかまれていた。しかもいくら力をこめてもまったく動かない、まるで万力に締め付けられているみたいに微動だにしない。


「な?!」


「たく、また勘違い野郎かよ。あれだろ?姉御のファンで俺らのご主人様があまりに屑ぽいから排除しようとしたんだろ?」


「はっはなせ!」


「あ~、はいはい。たく、物騒なもん持ち出しやがって。オラ!」


 俺は更に力をこめられて針を取り落としてしまった。ちょうどそこへ『白薔薇騎士団』が酒場へ入ってくるのが見えた。


「ご主人様の護衛、御苦労様。また勘違い君が出たみたいね」


「へい!姉御、どう始末つけますか?」


「いつもどおりでお願い。ミラ、リズ、ミルフィ、ご主人様をつれて戻るわよ。アルさん、御代ここに置きますね!」


「毎度あり!ご主人様にちっとは酒控えるように言っといてくれよ」


「わかったわ、それじゃあね」


 そう言って『白薔薇騎士団』は俺の目の前から草薙を両脇から支え店を出て行った。後には筋骨隆々なおっさんに囲まれた俺が残るのみである。


「さて坊主、俺たち『赤薔薇傭兵隊』と熱い夜をすごそうか?なに、獲って食うわけじゃないから安心しろや」


 俺はお尻がキュッ!となるような感覚感じたのだった。






『白薔薇騎士団』side


 私はの名前はエリー・クサナギ、巷では英雄なんて呼ばれてたりするSSランクの冒険者ですが、私は元奴隷でした。このことについては同じパーティのミラ、リズ、ミルフィも同じで、ご主人様に拾っていただき今の地位があります。

 そんな私たちですが、現在は多くの仲間たちとご主人様を支える素晴らしい日々を過ごしています。ですが今日もご主人様は『自分はクズだ!こんなブラック企業を運営してるなんて!』と言いながらアルバートさんのお店でお酒を召されているようです。クズだなんてとんでもない、私たちはあの境遇から引き揚げていただき、多くの仲間のためにその身を削っていたご主人様を敬愛しており、今の日々に感謝をささげています。

 そんなご主人様との素晴らしい日々を語りましょう。




 ご主人様との出会いは私たちが9歳の時でした。私たちはスラムの孤児で、4人で力を合わせて生きていました。しかし、しょせん子供、大人に縄張りを追われその日の食料にすら困窮する日々...

 その時です、ふらっと現れた身なりのよい人が言いました。


「スラムのガキか、まあ大人よりは素直かな? おい、3食宿付きで俺の奴隷になれ」


 その時の私たちは3日も飲まず食わずで憔悴していて、その言葉に考える余裕もなくうなずいていました。あとになって思い出せばこれがこの人生で一番の救いの瞬間で、運命の転機でした。


「よし、じゃあ契約するか。『契約文書、奴隷契約作成。契約執行!』」


 どこからともなく紙が現れ、発光したかと思うと私たちとご主人様の中に飛び込んできました。そしてその時、唐突に理解したのです。私たちが奴隷になったことを...


「じゃあまずは金だな。はぁ、しっかし売るもんなんてこれしかねぇしなぁ。取りあえず服売ってる店に行くぞ!」


 そう言ってご主人様に連れられて私たちは歩き出しました。さっきまでは動ける力もなかったはずなのに。後でご主人様にお聞きすると、『それは俺と奴隷契約したから俺からスキル支援がパッシブ状態で適用されたからだ』とうかがいました。あぁ、素晴らしいこれこそがご主人様なのです!

 私たちは服を取り扱っている商店にたどり着きました。奴隷である私たちは中に入ることができず、商店の表でご主人様を待っていました。すると店から出たご主人様は衣服がみすぼらしくなっており、大きな袋を抱えていました。


「思いのほか高く売れたな。さすが異世界、化学繊維なんてないから吊るし売りのスーツでもいい金になった。これで2週間は大丈夫か? いやもっといけるか?」


 何ということでしょう、この時ご主人様はご自分の衣装を売り払い、私たちのためにお金を用立ててくれたのです。私たちは唖然としました。なぜならあんな見たこともないような服を平然と売り払い、ご自分もみすぼらしい平民服をお召しになり、しかも私たちの服までご用意してくださったのですから。

 その後は『まずは宿屋だ』問うことで商店で聞いた安くて評判のいい宿屋へ移動しました。そして宿の狭い部屋で服を全部剥ぎ取られ、


「なっお前ら女の子だったんか... ガリガリすぎてわからんかったが、まあいいか。おら湯をもらってきたからこれで体を拭いて清めな。まずはそっからだ」


 そう言われお湯をたっぷりいただき、さらには布まで施されました。しかも、


「取りあえずこれがお前らの仕事着だ。さっさと着たら飯にするぞ!」


 そう言って厚手の冒険者が着るような、上等な衣服を与えてくださりました。本来奴隷はこのような衣服は与えられません。せいぜいが薄手の貫頭衣ぐらいで、それも最低限の物でひどいときにはこしみののみの時もあります。

 私たちはありがたく衣服を着こみ、食堂へ移動しました。奴隷という身分である私たちはそれ専用の食事があります。大体は薄いスープとカチカチになった黒パンのみ、ご主人様の気前が良ければ食べ残しなどがいただけます。これだってスラムの時に比べるべくもないほどの好待遇で、スラムだとこのような食事すら食べれないのです。そしてご主人様はテーブルへ、私たちはその足元に座りました。


「あっ?お前ら何で床に? ああそうか、そういう奴隷文化なんだな。机に座らしてぇけど絡まれたら切り抜け出来ねぇか...」


 そう言ってご主人様は料理を注文します。


「取りあえず奴隷用の飯ってどんなの?え、マジでか、はぁ仕方ねぇな、今日のお勧めを5人前で。余ったらこいつらに食わすから」


 どう考えても余ります。お店の店員さんは呆れた様なまなざしでご主人様を見ています。周りの人たちも生ぬるい目でこちらを見ており、ご主人様はその視線を無視しています。

 そして料理が届き机の上にはたくさんのお皿が乗せられ、明らかに一人では食べきれないほどの量が配膳されました。


「ふむ、予想以上のボリュームだな、さすがに食べきれないか。おし、残すのも作ってくれた料理人に悪い、お前らちょっと手伝え!」


 ご主人様は私たちに届いたばかりの料理を授けてくださいました。この時の料理の味は一生忘れません。この日からも食事に関してはご主人様と一緒の物を施されました。


「おら、ちゃんと食えよ。お前らやせすぎだから、ちゃんと体作るために食え! それが俺の安全につながるんだからな」




 翌日から私たちは冒険者登録され依頼をこなすことになりました。私たちの年齢が低かったため最低のGランクからの出発でしたが、ご主人様はそんな私たちを叱るでもなく励ましてくださいました。


「ふむ、まずは下積みをしろということか、なら午前中は依頼で午後からは鍛錬だな。やっぱり外の仕事のほうが実入りはいいが今の状態では危険だし、必要なスキルも知識も足りてない。ここは我慢の時だ...」


 Gランクの依頼とはほとんどが町の雑用で、1日に3件こなしてやっと3食食べれるぐらいの安いものです。しかも内容はゴミ拾いや町の清掃、品物の配達や土木工事の手伝いなどの体力勝負が基本です。なのでスラムにすむ人たちではとても務まらないことが多く、しかも割のいい仕事は信頼が必要なためすぐには受けれないのです。


「よし、今日は午前中は依頼をこなせ、午後からは剣術と算数だ。俺は調べ物をしにギルドに行ってくる」


「はい!ミラ、リズ、ミルフィ、午前中に2件ずつ分担で依頼をこなすわよ!」


「「「うん!」」」


「頑張れ、今は下積みでいろんなやつらと顔をつなぐんだ。それが後々役に立つ」


 これがご主人様と出会って1か月ほどの私たちの日常でした。この間に冒険の準備として剣を振り、体力を鍛え、知識をたくわえました。まぁ知識を蓄えたのは主にご主人様で、私たちはそれをお教えいただいたのですが・・・



 2カ月ほど立ち、私たちはFランクへランクが上がりました。日々の依頼を順調にこなした結果です。ちなみに成人した人が冒険者ギルドへ登録するときはFランクから始まります。Gランクは子供が登録した時のお試し期間的な扱いで、そこで真面目に依頼をこなし実力がギルドに認められるとFランクへ昇格できます。これは無駄に子供を殺さないための措置として導入されているのです。

 さてFランクに上がった私たちは遂に魔物の討伐に挑むことになりました。といっても最下級のスライムやホーン・ラビットなどで子供でも何とか倒せるレベルの魔物です。


「よし! これから薬草採取の依頼を遂行する。併せて常時討伐依頼の出ているスライムやホーン・ラビットを狩るぞ!」


「「「「おー!」」」」


「初めての外での依頼だ。俺も支援スキルで支援するが何があるかわからん、十分注意していくぞ!」


「「「「ハイ!」」」」


 ご主人様はFランク冒険者として登録されていますが、私たちとは正式にパーティを組んでいません。なんでもランクを上げすぎると指名依頼とかで大変になったり、強制依頼が来るからだそうです。私たちはランクを上げるために『白薔薇騎士団』という名前でパーティを登録しました。ご主人様を守る騎士団として頑張っていく所存です。


 ちなみに最初の外での任務はつつがなく終了しました。薬草も予定の2倍ほど収穫でき、そのほかにもスライムやホーンラビットも狩れました。私たちがご主人様に拾っていただき、初めての黒字が出たのです。その夜はちょっと豪華な食事としてデザートをご主人様から振る舞っていただきました。


不評ならその打ち消しときます


ちなみに裏設定でご主人様から手を出すことはない!

むしろ食われる側w

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