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幕回 影に動く者

「あーぁ、予想的中ってね・・・いやな事だ。

備えあれば憂いなし、勘を頼りに動いてせーかいってね。」



異世界初めての夜、不安を抱えながら眠った忍を見てボヤく。

メイドは確実にアウトだろうし・・・・。

死んで、魂の状態だけになってもスキルとかが使えるからそっちで分体を作りメイドや書庫と王・・・最後に元老院の動きを調べさせる。

もちろん気づかれないように細心の注意を払わせてだ。

分身それぞれで思考して行動させる。



「さて、俺も俺で動こう。」



そう言い懐から一つの刻印が半分で途切れている薄い鉄板を折る。

そうすれば一瞬で白い空間に到達する。

刻印が施されてる鉄板は【夢渡り】と言うスキルを封じられた物。

それを使う事であらかじめ対の半分の刻印が刻まれてる物を持ってる奴を精神世界に引きずり込み対面する事が出来る。



「・・・・お前の嫌な予感は的中か?」



真っ白で何もない空間に俺と俺が折った鉄板の半分を持つ男が目の前にいる。



「あぁ、まったくもって嫌な事だ。

あいつが・・・忍が吊し上げ対象になる。」


「確定か?」


「あぁ、城の中で生産職持ちは娼婦、男娼なんて話しをしてるのがいた。

あいつ・・・忍は薬師の職業だ。」


「なるほど、偽装スキルで偽装はしたのか?」


「したが、メイドがついてる。そいつらがチクるだろう?」


「メイド?

待て、お前の従妹は女だろ!?」


「あー・・・忍は両親が亡くなった火事で下半身に火傷を負ってる。

だから制服は男子制服だから勘違いされてる。」


「そ・・・そうか。」



火傷のくだりで驚かれるも理由を告げれば納得される。

叔父夫婦が亡くなった火事の事、知ってるからなこいつ・・・。



「で?連絡理由は予感的中だけか?」


「いや、ハメられた後は忍は自力でやり返せるだけの技量はあると思う。

まぁ、俺も助言とかはするつもりだし。

分体で城の中で情報収集中だ。」


「こっちはお前にやれる情報は精査してないからな・・・・。

欲しい情報があるなら冒険者ギルドに来いつっても俺は本部の方だからな。」


「中立国家の方か?」


「あぁ。王都だと危険すぎる。」


「確かにな。」



敵の陣営ともいえる敷地にいるのは危険すぎる。

そんな場所に終わりが見えない間居続けないとなると精神がすり減り続けるわ。

そう考えつつ1枚の紙を取り出し渡す。



「なんだ?」


「今回こっちに召喚されたメンツ。

どういう訳か、あのクラスには俺等の関係者が揃ってる。家族、親戚、幼馴染とかな・・・。」


「うそだろ・・・?」



愕然とした顔で俺を見るそいつにゆるく首を横に振る。



「事実だ。」



なんとも言えない顔で紙に視線を落とされる。

まぁ、そうだろうなぁ・・・作為的過ぎるのもあるがな。

一体誰の指示でこうなったのか?って思ったメンツがあのクラスには揃ってる。

かつて異世界こちらの世界に召喚された俺達の関係者が揃ったクラス。

担任ですら関係者なんてできすぎてる。

愕然とする相手を見ながら今後の事を相談に入るか。



「とりあえず、忍が離反した後はあいつをダンジョンへと誘導する予定だ。

お前には他の連中への連絡役を頼みたい。」


「そ、れは良いが・・・・。

正直、この情報を持っていっての反応が怖い。」


「そう言うな・・俺はそれを想像してない胃がメッチャ痛かった・・・・。」



思わず腹をさすってしまう。

幻痛は錯覚だ。(自己暗示)

思い出せ、俺!!俺はすでに死んでるんだ!!霊体なんだ!!(切実)

黄昏てしまったのに相手からの哀れと言うか同情的な視線なんぞいっらねぇわ!!!



「と、とりあえず・・・・。

ダンジョン攻略後にお前のところに行くか?

それとも育ててからかだ。」


「途中経過次第だ、夜ごとに会合としよう。」


「了解。

それと叩き起こすにしても回らないとか?」


「あぁ、信用を得ないと無理だろうな。

それと勇者の方は監視を頼む。前みたいになったらまずい。」


「いや、勇者は諦めろ。」



きっぱりと無理を示せば顔をしかめられる。



「あいつ俺等の時の聖女の弟だ。

あいつ自身言ってだろ?歪んだ正義って。信じたいもんしか信じないし中途半端な事しかしねーわ。」


「確証が?」


「虐めに対する対応見て判断。」


「チッ・・・・厄介だな。」


「まぁ、そこの確定は忍の対応次第かな?

男子制服着てるあいつを男と勘違いしてる。

ステータスを見ても多分スルーされるだろうからそのあたりでハメる方向だと思う。」


「んー、まぁ・・・それが妥当だろうな。」


「そのあたりの当代勇者の反応次第で対応は変える。

後、忍の幼馴染は一緒に連れまわす。残してても孤立するだろうからな。」


「孤立だとさらにハメそうだからそっちの対応が良いだろう。」



そろそろ時間らしくお互いの姿が薄れ始めるのを確認し笑い合う。



「最終決戦への準備としようぜ。」


「願わくば、全員連れて帰れる事を・・・って、帰れる?」


「ぶっつけ本番になるが理論的には出来てるから残りの仕上げは理系組にぶん投げる。

魔術系は俺はマジで無理だから。」



希望があるのを言えばあからさまにほっとした反応をする相手に苦笑いをする。

この空間から出たら俺達の止まった時が動きだすのだ。

望む未来を掴む為に精々強くなってもらわないとな・・・・。



「願わくは・・・今回召喚された彼等の困難は少ない事を祈るよ。」


「そいつは無理だなぁ。困難を多く作りそれを乗り越える事で力をつけてもらうんだ。

そうでなければ生き残れない。生き残る為に挫折し、立ち直れなくならない事を祈ろうぜ・・・。」


「あぁ、それもそうだな・・・・。」


ある意味で俺等が巻き込んでしまったかもしれないあいつ等を・・・・。

少しでも多く元の世界に戻れるようにするのが俺達のすべき事だと俺は考えてるのだから・・・。


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